【弁護士が解説】借地権付き建物の不動産投資のメリット・デメリット、注意点
溝口 矢
溝口 矢
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。弁護士法人Martial Artsにて不動産関係の問題に多数関与。(法律相談、交渉、訴訟、講演等)。不動産投資DOJOにてコラム執筆中。

自宅用や投資用の不動産を探しているとき、借地権付き建物を見かけることがあります。そのような時、「借地権って何なの?」「どういう権利なの?」「メリットやデメリットはないの?」という疑問をお持ちになる方も多いと思います。

この記事では、そのような疑問をお持ちの方に向けて借地権付き建物を購入するときに注意が必要なこと、メリット・デメリットを解説いたします。

借地権とは?

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権のことをいいます(借地借家法第2条第1号)。より平たくいえば、土地を借りる権利ということです。

※不動産投資において借地権とは、ほとんどの場合、土地の賃借権のことをいいます。そこで、本記事でも、土地の賃借権を念頭に置いて説明します。

そして、土地に借地権が付いている物件のことを借地権付き建物といいます

借地権については、借地借家法という法律でルールが定められています。

地主(土地の所有者であり貸主)に地代(借地料)を支払って土地を借り、その土地上の建物を自分で保有するというイメージです。

地代は借地契約で決まっており、広さや場所によって大きく変わってきます。

借地権の種類に注意

借地権については、平成4年8月の借地借家法改正により大きく変化がありました。改正前に成立した借地契約は改正前の内容のまま引き継がれて残っているため、一口に借地権としっても改正前の借地権と改正後の借地権の2種類があります。

ア 改正前の借地権(旧借地権)
借主の保護が手厚い傾向。

イ 改正後の借地権
地主の保護が手厚い傾向。

となっています。

ここで注意すべきは、平成4年8月に借地借家法が改正された前後で、借地権の意義を区別しておく必要があるということです。

改正前は、借主の保護が手厚かったのに対し、改正後は、地主(土地の所有者であり貸主)の保護が手厚くなっています

不動産投資においては、改正前の借地権付き建物を対象とするべきです。

改正後の借地権付き建物では、要件を充足すれば、地主の意向次第で、借主との借地契約を終了させることができる(最短存続期間は30年)ため、その土地上での建物の利用を続けることができなくなる可能性があるからです。

※改正後の借地権には、定期借地権といって、約定期間が経過すれば必ず土地の返還をしなければならない借地権もあります。

定期借地権は、さらに①狭義の定期借地権、②事業用借地権、③建物譲渡特約付借地権がありますが、本記事では説明を割愛します。定期借地権付き建物は、約定期間の縛りがあるため、改正後の借地権付き建物の中でも特に扱いが難しく不動産投資の対象としておすすめはできません。

以下、改正前の借地権付き建物を不動産投資の対象とした場合のメリット・デメリットについて述べていきます。

借地権付き建物のメリット

①物件価格が安い

土地と建物の所有権を購入する場合と比較して、土地の借地権と建物の所有権を購入する場合の方が、物件価格は安くなります。借地権はあくまで借り物としての権利であり、所有権よりも制限がある分、価値が低くなるのです。

※価値が低くなるというのは、あくまで物件価格という点で見た場合の話です。土地を利用できる以上、所有権を有している場合と実質的には変わらない状態であると見ることもできるでしょう。

借地権付き建物は、一般に60~70%程度の物件価格に抑えることができることができるようです(条件次第では、半値近くになる場合もあるといわれています。)。

②利回りが高くなる

上記①の点から、当然に利回りが高くなります

利回りの高さによりキャッシュフローを良くすることは、不動産投資において利益を上げるにあたりとても重要です。

③税金の負担が減る

固定資産税や都市計画税は、土地の所有者である地主が負担することになるため、借地権付き建物の所有者はこれらの税金を支払わなくて済みます

※建物については借地権付き建物の所有者が、固定資産税や都市計画税を負担しなければなりません。

※借地権付き建物の所有者は、地主に対して借地権の対価として地代を支払う必要がありますが、経費計上することが可能です。

借地権付き建物のデメリット

①金融機関からの融資が引きづらい

土地の所有権ではなく、借地権となると、その担保価値は下がります

不動産の担保価値をみるにあたっては、価値が年々下がりやすく、場合によっては消滅してしまう建物よりも、価値が安定していて、消滅することはまずない土地が重視されます。そのため、土地の担保価値が下がるということは、融資を受けるにあたって大きなハードルとなります。

そのため、借地権付き建物を対象とする不動産投資を行うには、ある程度の自己資金を用意しておく必要があるといえます。

②売却が容易ではない

借地権付き建物は、流動性が低く売却が難しいです。借地権付き建物の売却による急な現金化が必要になった場合、売り急いでいることに気づかれると、足元を見られたり、買い叩かれてしまうおそれがあります。

③土地の所有権を有する場合には生じないコストがある

借地権付き建物の場合、地主に対し地代を支払う必要があるほか、物件売却時に地主の承諾を得るために必要となる譲渡承諾料、借地契約を更新する場合の更新料、増加築禁止特約がある場合の増改築承諾料といったコストがかかる可能性があることに注意が必要です。

また、トラブル防止のため、地主との良好な関係を築いておく必要があるという点でコミュニケーションコストもかるといえます。

④法的トラブルに発展する可能性がある

地価が上昇したとして地代の増額を地主が請求してくる、正当な理由なく地主が借地権の譲渡承諾をしない、高額な譲渡承諾料を請求してくるなどといった法的なトラブルが発生する可能性もあります。

この場合、交渉や裁判等により解決する必要が出てきてしまいます。

※借地契約書に記載されている契約期間、地代、譲渡承諾料、更新料、増改築特約等の定めを良く見て、法的トラブルの火種がないか確認するようにしましょう。

まとめ

以上のようなデメリットがあることから、借地権付き建物を対象とする不動産投資を行うのは、不動産投資初心者にはハードルが高いといえます。

他方で、これらのデメリットの回避や対処ができ、メリットを十分に受けられる場合には、借地権付き建物も良い投資の対象となり得ます。

本記事を参考にしつつ、ご自身で情報収集をしっかり行って、慎重に検討して、購入の判断をするようにしましょう。

本記事は不動産投資DOJOの転載記事になります。
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