確定申告〜自分でやった方が良い人と税理士に依頼した方が良い人

【はじめに】

毎年恒例の確定申告のシーズンが近づいてまいりました。ここ数年はコロナウイルスの影響により、4月15日が申告期限でしたが、今年も条件付で4月15日が申告期限になり、また申請が認められれば、4月16日以降の提出も可能になりました。本日はそんな確定申告でも、自分で確定申告をやった方が良い人と税理士に依頼した方が良い人について解説していきます。

確定申告を税理士に依頼した方が良い人は、ずばり以下のような方々です。
・本業が忙しい人
・不動産を購入・売却した人
・消費税の納税義務がある人
・親御さんがご高齢で賃貸不動産の家賃収入がある人などです。
 それでは、順番に見ていきましょう。

【本業が忙しい人】

 税理士に依頼する最大のメリットは決算書、確定申告書の作成など、分かりづらくて面倒くさい作業をすべて丸投げできるところにあります。売上が分かる資料、領収書などを送付していただければ、税理士が集計し決算書、確定申告書を作成します。そのため、特に冬場に繁忙期を迎える職種の方や、本業に専念したい方は、ご自身の業務に集中することができます。
また、前回の記事でも書きましたが、青色申告特別控除を受けていない、または控除額が少ない方などが多く見受けられます。毎年数十万円ほど税金を多く納めてしまっている可能性もありますので、税理士に依頼すればそのような特別控除の適用漏れを防ぐことができます。

【不動産を購入・売却した人】

 不動産を買う、あるいは新築する場合、それが、自宅でかつ、要件を満たしていれば住宅ローン控除の適用を受けることができます。また、投資用アパート・マンションについては確定申告が必要になります。特に中古の投資用アパート・マンションでは、最初に決めた耐用年数により、その後の減価償却費が大きく変わっていきます。不動産投資において、減価償却費はその後のキャッシュフローに重要な影響を及ぼしますが、こちらはある程度操作できることが、あまり知られていません。
 また、不動産を売却する場合、買ったときと同じ値段で売ったとしても譲渡所得税が発生します。これは、建物が減価償却費により、年々建物の価値(原価)が減っていきますので、売却益が出やすくなり、譲渡所得税が発生してしまうのです。
なお、自宅の売却であれば、売却益を軽減する3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。しかし、この3,000万円の特別控除は、すぐに新たな自宅を購入する場合の住宅ローン控除と併用することができませんので、どちらが得になるかよく検討する必要があります。
このように不動産の購入、または売却はとても奥が深いので、思わぬ納税負担で損をしてしまう可能性があるのです。

【消費税の納税義務がある人】

 2年前の確定申告で売上が1,000万円を超えている方は、消費税を納める事業者に該当する可能性があります。消費税を納める事業者といってもピンときませんよね。皆さんは取引先に売上を請求する場合は、消費税も含めて請求しているかと思います。その入金された消費税は、売上ではなく、国に納めるためのいわば一時的に預かっている税金です。
反対に仕入れや経費を払った時には、消費税を支払っていますので、売上にかかる消費税と相殺することができます。そのため、確定申告時に集計して、最終的に納める消費税を算定します。
〈消費税の算定式〉
売上に対応する消費税仕入・経費に対応する消費税=納税額(または還付額)

 しかし、消費税が発生する取引、消費税が発生しない取引、消費税は発生するけれど非課税とされている取引など、取引ごとに消費税の有無を考えなければいけません。さらに、現在では軽減税率が導入されていますので、税率にも気をつける必要があり、これからインボイスの制度も始まります。とてもじゃありませんが、消費税をご自身で算定するのはかなり難しいと考えられます。

【親御さんがご高齢で賃貸不動産の家賃収入がある人】

 親御さんがご高齢で家賃収入がある場合や、それなりの資産を築いている場合は要注意です。今は確定申告をスムーズに行っていて、所得税・住民税は大丈夫だとしても、相続税が発生する可能性があります。亡くなってから、なんとか相続税を安くできませんか?というお問い合わせをよくいただきますが、相続税は亡くなる前の生前から十分な対策を行うことが非常に大事です。
 それは相続税が、「資産から負債を差し引いた純資産に、基礎控除を考慮して課税される」ため、生前に資産をご子息に移すか、または生命保険金などの相続税が非課税の財産を作ることができるか等によって、相続税は大きく変わってくるのです。

【終わりに】

 いかがでしたでしょうか?前回の記事でも執筆したとおり、税務署は税金が安くなるためのアドバイスは基本的にしてくれません。今回は本業が忙しい人のみではなく、不動産の購入(売却)、消費税、相続税のことにも触れましたが、税理士でなければ、中々専門的なことに対応するのは難しいかと思います。今回触れた方々以外はご自身で確定申告ができるかもしれませんが、この時期は無料で税金の相談に対応している税理士もおりますので、是非一度相談してみてはいかがでしょうか。
当事務所でも無料相談をお受けしております。

執筆
田中会計事務所
東京都墨田区両国3-23-10 田中会計ビル
所属税理士(執筆者)村上 覚
代表税理士 田中 美光

【当事務所の強み】
不動産・相続に精通した税理士として徹底した節税対策を行い、税務調査では納税者の立場にたち「闘う税理士」を実践していることから全国に評判が広がり、たくさんの不動産オーナーが顧問先に。不動産所得がある方がお客様の90%以上を占めており、資産運用によってゆとりある将来への適切なアドバイスなど、お客様が抱えるあらゆるお悩みにも豊富な経験から解決へと導いている。所長自身も収益不動産10棟・太陽光発電22基を保有しており、不動産オーナーの悩みを数多く解決。

【対策ご提案例】
・テナント収入の消費税を軽減させるスキーム
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