【不動産投資用ローンの基礎知識⑤】 返済額の増額で総返済額を減らして得する
(画像=TimeShops/Shutterstock.com)

不動産投資用ローンをはじめとする各種ローンは、契約書の約定通りに返済するだけではなく元金の一部や全部を繰り上げて返済したり、毎月の返済額を増額したりして完済までの期間を短縮することが可能です。

金融機関によっては一定の手数料が必要なケースもありますが、最近はインターネット上での手続きであれば無料で対応しているところもあります。

手元資金に余裕があれば一部繰上返済は非常に有効です。ほかにも「あまり手元資金はないけれども年収がアップしたので毎回の返済にかなり余裕ができた」という人であれば毎回の返済額の増額によって残り返済期間を短縮するのが得策でしょう。

借入後に返済にゆとりが出てくれば返済額増額

返済額の増額とは、例えば当初のローン契約の約定返済では毎月8万円だったものを毎月10万円などに増額して残りの返済期間を短縮させ、結果的に完済までの利息を含めた総返済額を大幅に少なくできる仕組みです。

借入時にはかなり厳しく返済計画を見積もって毎回8万円の返済額でスタートしても、実際にローン返済が始まってみると意外にゆとりがある場合なども検討できるでしょう。

また人気エリアの物件で空室リスクは少なく賃料ダウンも考えにくいため、「毎回の返済額を10万円など増額できるのではないか」と考えるケースもあるかもしれません。

以下では「返済額増額によってどれくらいの効果があるのか」について借入額2,000万円、金利2.0%、30年元利均等・ボーナス返済なしの事例でシミュレーションしてみましょう。

毎月2万円の増額で返済期間を7年間短縮

借入額:2,000万円(ボーナス返済なし)
金利:2.0%
返済期間:30年
返済方法:元利均等返済

上記の条件だと毎月の返済額は7万3,923円です。東京圏や大阪圏などの比較的利便性の高いエリアの投資用マンションなら毎月7万円、8万円の家賃収入を得られる可能性もあります。

購入から一定期間が経過し安定して家賃が入ってくることに自信を持てるようになり、収入もある程度増えてくれば返済額を増やしてもそこまで負担にはならないかもしれません。

そこで借り入れから3年経過後に毎月の返済額を2万円程度増やして返済期間を20年に短縮した場合、毎月の返済額は9万3,537円になります。本来なら残り返済期間は27年ですが、返済額の増額によって7年も返済期間を短くすることができるのです。

増額せずに残り27年間、毎回7万3,923円の返済を続けると7万3,923円×12ヵ月×27年で総返済額は2,395万1,052円です。それを毎月約2万円増額して9万3,537円にすれば9万3,537円×12ヵ月×20年で総返済額は2,244万8,880円になります。

そのまま返済を続ける場合に比べて総返済額は150万2,172円も減少させることができます。賢い不動産オーナーなら、これを実行しない手はないでしょう。

精神的な安心感といざというときの備えにもなる

例えば30年返済のローンを35歳で組んだ場合、完済時には65歳とリタイア年齢になってしまいます。しかし返済額増額によって7年間短縮できれば58歳でローンが終了します。

その後は家賃収入の大半を老後の備えなどに回すことができ、ゆとりがあれば2戸、3戸と投資用物件の買い増しも可能になってくるかもしれません。返済額の増額をうまく活用すれば悠々自適の老後を送ることも期待できるでしょう。

また返済額増額は万一への備えの役割も果たしてくれます。増額によって返済期間を7年短縮しておけば将来空室や本業の収入ダウンなどで返済が厳しくなったときに、返済期間を延長して毎回の返済額を軽減することも検討可能です。

単純な返済期間の延長ではなく、本来30年返済だったローンを7年短縮したものをもともとの契約通りの30年に戻すのであれば、金融機関も無理なく対応してくれる可能性はあるのではないでしょうか。そうすれば、毎回の返済額を少なくでき危機を乗り越えやすくなります。

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