

将来のことを見据えて資産運用をしたい人には、ポートフォリオの作成がおすすめです。適切なポートフォリオを組むことでリスクを抑えながら安定したリターンが期待できるため、将来に向けての堅実な資産運用が実現できるでしょう。本記事では、投資におけるポートフォリオの必要性やメリット・デメリット、組み込める投資先について解説します。
目次
投資のポートフォリオとは
投資におけるポートフォリオとは、分散投資を前提とした金融商品の組み合わせのことです。一口に投資先といっても株式投資や不動産投資など多岐にわたりますが、どのような投資先でもリスクは付いてまわります。また投資先には、同じ要因で値動きが連動するものもあるため、それらの金融商品に資金を集中させてしまうと資産を大きく減らしてしまいかねません。
しかしバランスのよいポートフォリオを組むことができれば全体のリスクを抑えながらリターンを安定させることが期待できます。
投資初心者がポートフォリオを作る必要性
投資初心者や資金が少ないケースでは、効率良くリターンが獲得しにくいため、ポートフォリオを組むメリットを感じにくいかもしれません。そのためつい利回りが高い商品に目が行きがちです。しかし高利回りの金融商品は、その分リスクが高く資金を大幅に減らす恐れがあります。大事な投資資金を減らさないためにもリターンの高い商品と低い商品でポートフォリオを作りましょう。
リスクとリターンのバランスをしっかりと見極めることが大切です。
ポートフォリオを作るメリット
ポートフォリオを作るメリットは、大きく分けて以下の3つです。
投資先を分散できるので投資リスクを抑えられる
投資には「卵は一つのかごに盛るな」という格言があります。これは、卵を複数のかごに分散しておけば一つのかごを落としても他の卵を守ることができるという意味です。つまりポートフォリオを作っておけば投資先の一つの市場が暴落してもリスクを分散させることが期待できます。ポートフォリオを作る際は、投資先の地域や通貨など に偏りがないように分散させましょう。
投資先を入れ替えることで利回りを調整できる
「家族が増えた」「子育てが終わった」など世帯の状況に応じてリスクの許容度 は変化していきます。ポートフォリオを作るとリスクに応じて利回りを調整できる点がメリットです。「より多くのリスクを許容できるならリターンの高い投資先の割合を増やす」「リスクを抑えたいなら安定した投資商品の割合を増やす」など金融商品の組み替えが調整できます。
ポートフォリオを作るデメリット
ポートフォリオを作ることは、さまざまなメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットもあります。
管理に手間がかかる
ポートフォリオを作ると最低でも2つの投資先が生まれます。安定性を求める場合、投資先はさらに増えるでしょう。ポートフォリオは、一度作ったらほったらかしではなく定期的な見直しが必要です。見直しの際に投資先が多いほど管理が手間になります。
短期間での大きなリターンは見込めない
ポートフォリオを作ることは、リスクを抑えるメリットがある一方でリターンが減ってしまうデメリットもあります。具体的に株式市場で株価が2倍になる銘柄が生まれたとしましょう。資金が500万円だとして、もしその株式にすべての資金をつぎ込んでいれば資金は2倍の1,000万円となります。しかし資金の8分の1となる62万5,000円分しか買っていなかった場合は、125万円です。
ポートフォリオは、投資先を分散して長期的なリターンを見込む ため、短期的な機会損失が生まれてしまいます。
ポートフォリオの作り方
ポートフォリオを作ることを決めたら以下の手順で自身に最適なポートフォリオを組んでいきます。
・投資目標と金額を決める
・ポートフォリオのバランスを決める
・具体的な投資先を決める
投資目標と金額を決める
はじめに以下の4項目を決めましょう。
- 最初に投資する金額
- 想定する利回り
- 積み立てる金額
- 積み立てる期間
最初に投資する金額を決めます。ポートフォリオは、分散投資が前提となるため、金額が少なすぎるとメリットが薄くなる点は事実です。そのため投資金額は、100万円以上あると好ましいでしょう。次にポートフォリオの大枠として「〇年後に〇円」という大まかな目標を定めて、それに伴う利回り・積み立てる金額・期間を設定します。
投資目標を決めるときは、金融庁の「資産運用シミュレーション」を活用すると便利です。「毎月の積立金額」「想定利回り」「積立期間」を入力すると自動的に複利で計算してくれます。最終的に積み立てられる金額が明確になるため、ぜひ活用しましょう。
ポートフォリオのバランスを決める
次に上記の「想定する利回り」に従ってポートフォリオのバランスを決めます。以下の段落で紹介している投資先からいくつか選び目標の利回りになるようにしましょう。ただし利回りが高いほどリスクは大きくなる(ハイリスクハイリターン)という注意点は押さえておくことが必要です。どこまでのリスクを許容できるのかを考えながらポートフォリオのバランスを調整します。
具体的な投資先を決める
ポートフォリオの形が決まったら具体的な投資先を決めていきます。株式であれば「どこの会社に投資するのか」、不動産投資であれば「どこの物件に投資するのか」など細かく選定しましょう。選定の際は「地域的な分散」「情報の手に入りやすさ」の2点を考慮することが大切です。 また情報の手に入りやすさも重要です。投資商品が暴落する情報を早期に知っておくとある程度の被害で食い止められますが、情報が手に入るのが遅れてしまうと暴落後しか売却できないため、被害がさらに広がってしまいます。身近な投資先やネット上で情報を集められる投資先を選ぶようにしましょう。
ハイリスクハイリターンの投資先
ここでは、ポートフォリオに組み込む投資先について年利ごとに解説します。
外国株式
外国株式は、米国や英国などの先進国の株式市場に上場している株式です。日本株式に比べて為替リスク がありますが、 高めのリターンが期待できます。
エマージング債券
エマージング債券とは、新興国の債券のことです。例えばロシアや東欧、中南米、インド、東南アジアなどの新興国の債券が該当します。為替リスクやカントリーリスクが高いため、ポートフォリオの大半を占めるような組み方は、おすすめできません。
エマージング株式
エマージング株式とは、新興国企業の株式のことです。一般的にエマージング債券に比べて年利が高い傾向にありますが、元本割れのリスクも高くなっています。さらに新興国企業の情報は手に入りにくいため、ポートフォリオに組み込むときは大きな割合を占めないように注意しましょう。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産(仮想通貨)は、ビットコインやイーサリアムなどのネット上でやりとりできる通貨のことを指します。資産価値に裏付けがないなどの理由から、価値変動の激しさが特徴です。
先物・FX
先物取引やFX取引は、投資した金額がゼロになるリスクが高い投資です。どちらも投資する資金を証拠金として何倍ものお金を動かせる取引となるため、投資方法によっては「投機」に近いものとなります。場合によっては、投資した資金がゼロになるだけでなく借金を背負ってしまう可能性もあるため、よほど相場知識が豊富でないとポートフォリオに組み込むのはおすすめできません。
ミドルリスクミドルリターンの投資先
ここでは、リスクとリターンのバランスが取れている投資先を紹介します。
国内株式
国内株式は、日本の株式市場に上場している会社への投資です。年利は、約2%になっています。相場が変動するリスクや会社が倒産するリスクがある一方で、銘柄によっては配当金を得たり株主優待を受けたりできるため、投資商品のなかでは人気があります。また身近な企業の株も買えるため、比較的情報が入手しやすく手軽に始めやすいでしょう。
不動産
不動産は、アパートやマンションなどの不動産物件を人に貸して家賃収入を得たり、売却して利益を得たりする投資です。立地や物件の種類によってケースバイケースですが、都心のマンションでは年利は約5%となります。災害のリスクや家賃滞納リスク、空室リスクなど多くのリスクがありますが、毎月の不労所得が生まれるため、人気があります。
外国債券
外国債券は、米国や英国など先進国の債券のことです。商品によってまちまちのため「米国債権」などの提示はできませんが 、MINKABUの「【国際債券】投資信託利回り(リターン)ランキング」(2022年11月21日時点)によると、高いものだと「三菱UFJ米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ<ロシアルーブルコース>(毎月分配型)(スマートスター)」が年利92.24%です 。低いものはあえて商品名を挙げませんが、 0%以下のもの もあります。円安による為替リスクはありますが、国内債券より利回りが高く安全性も高いです。
投資信託
投資信託は、ファンドにお金を預けて、専門家(ファンドマネージャー)が自分の代わりに運用してくれる投資商品です。専門家は、分散投資を基本として資金を運用するため、投資信託を保有するだけで、複数の株を持っていることと同意義になります。年利は商品によって異なります。
不動産クラウドファンディング
近年、新しい投資先として注目されているのが不動産クラウドファンディングです。運用期間は短いもので3ヵ月〜1年ほど、長いもので3年ほどが目安といわれています。投資額は1口あたり1万円や10万円と実物の不動産投資に比べてかなり安価に設定されているファンドも少なくありません。
投資を考えている人が最も気になるのが、「利回り」と「リスク」でしょう。不動産の種類などの諸条件によって異なりますが、利回りは3%程度から高いものだと10%超のファンドもあります。またリスクについては、実物の不動産投資と同様に空室率が高いと想定していた配当(分配金)が支払われない可能性があります。さらに、途中解約ができない、元本保証されていない、ファンドの事業者が倒産する可能性があるといったリスクがあるため、投資する場合は事前にリサーチ・シミュレーションしておくのが賢明でしょう。
ローリスクローリターンの投資先
ここでは、年利1~3%の安定性の高い投資先を紹介します。
国内債券
国内債券は、ローリスクローリターンの定番ともいえる投資商品です。年利は国債で0.05〜0.17程度と低いですが、為替リスクもなく利払いの安全性も高いため、上記で紹介した投資先よりも安心して投資できます。
不動産クラウドファンディングの現状
ミドルリスクミドルリターンで紹介した不動産クラウドファンディングですが、徐々に市場規模が拡大してきています。そもそも、不動産の小口化はバブル期にはすでにありましたが、規制する法律の整備ができていなかったため、混乱した状態でした。
<関連する法整備の年表>
年月 | 出来事 |
1995年4月 | 不動産特定共同事業法の施行 |
1998年6月 | 特定目的会社または特定目的信託を用いて資産を流動化するための仕組みを定めた法律(SPC法)の公布 |
2000年 | 投資信託及び投資法人に関する法律となり、2001年から「J-REIT」登場 |
2007年 | 金融商品取引法(金商法)の制定で規制強化 |
上記のような歴史を経て、2017年12月に「不動産特定共同事業法」が改正され、不動産クラウドファンディングが誕生しました。新しい商品ですが、市場規模は以下のように拡大中で、現在の注目度からすると2021年以降も市場規模は拡大するものと予想されます。

(参照:2022年11月28日)
不動産クラウドファンディングの仕組みは、以下のようなものです。
まずは、事業者(運営会社)が多数の投資家から資金を集めます。その後、それを元手に不動産を購入・運営。そこで得た賃料収入や売却益の一部を投資家へのリターンとして配当する仕組みです。

(参照:2022年11月28日)
投資対象となる不動産は、以下が挙げられます。
<不動産クラウドファンディングの投資対象>
・区分マンション
・一棟物件
・オフィス
・商業施設
・ホテル
・保育園
・グループホーム など
ファンドによっては、個人でも1万円という少額からスタートできることが人気を呼んでいます。また、現在は歴史的な円安となっています。外国債券などは「為替リスク」を考慮しなければなりませんが、不動産クラウドファンディングは円建ての商品で、そうした心配はありません。そのうえで、ある程度の利回りを期待できるのが特長と言えるでしょう。
まとめ
投資商品はたくさんの種類があり、商品によって期待できる年利・考えなければならないリスクもさまざまです。自分で許容できるリスクを決めた上で、リターンとリスクを考えてポートフォリオを組むことが肝要です。
その際、少額で取り入れやすい不動産クラウドファンディングを組み入れるのもひとつの手です。また、不動産投資に興味がある方は、まずは小口化商品で体験してみるのもいいでしょう。
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