確定申告
(画像=PIXTA)

不動産投資を始めたばかりの人がこの時期に悩むのが、「確定申告書の書き方」です。今回は、初めての人にもわかるように、不動産所得の確定申告のやり方を2回に分けてお伝えします。

目次

  1. 不動産投資初心者からの申告相談は結構多い
  2. ココだけ押さえよう「不動産所得の確定申告のやり方」
    1. 「所得」「収入」「必要経費」「控除」は難しくない
    2. 「決算書または内訳書 → 確定申告書」の順番で作る
    3. 「収入(総収入金額)」「必要経費」「控除」ごとに必要な書類を分ける

不動産投資初心者からの申告相談は結構多い

毎年1月半ばから確定申告期限まで、国税庁では確定申告の電話相談センターを開設し、納税者からの確定申告の相談に対応しています。質問はさまざまですが、不動産所得の確定申告についての質問も少なくありません。

不動産投資の初心者が、確定申告に悩むのは自然なことです。「所得」「収入」「必要経費」といった専門用語には、なじみがないでしょう。初めてなら、何を提出したらいいのかさえわからないかもしれません。国税庁は不動産所得がある人向けの手引を用意していますが、「読みにくい」「わかりにくい」と思う人は少なくないでしょう。

不動産所得の確定申告は、ツボさえ押さえれば難しくありません。一度やってみれば、次からはラクに書き込めるようになります。

ココだけ押さえよう「不動産所得の確定申告のやり方」

不動産投資初心者が確定申告をするにあたって最低限押さえておきたいのは、以下の項目です。

「所得」「収入」「必要経費」「控除」は難しくない

「所得」「収入(総収入金額)」「必要経費」「控除」という用語に、最初は誰もが戸惑います。不動産所得の場合、これらの言葉は以下の意味を持ち、それぞれ定められた箇所に記入します。

【収入(総収入金額)】
・1月1日から12月31日までの間、賃貸事業によって発生した収入の総額
・例:家賃収入、管理費収入、駐車場・駐輪場収入、更新料、礼金など
・青色申告決算書または収支内訳書と確定申告書Bに記入する

【必要経費】
・不動産収入を得るために支払った費用を指し、不動産事業に関係するものに限られる
・例:不動産管理費など管理会社に支払う費用、水道光熱費、印紙代、固定資産税、司法書士や税理士など専門家への報酬、物件確認や打合せのための交通費、建物の減価償却費など
・青色申告決算書または収支内訳書に記入する

【所得】
・不動産賃貸事業による利益を指し、所得税の課税対象となる
・所得=総収入金額-必要経費の総額(青色申告している人は「所得=総収入金額-必要経費の総額-65万円または10万円」)
・青色申告決算書または収支内訳書と確定申告書Bに記入する

なお、青色申告をする人で65万円を差し引けるのは、「5棟10室」という基準をクリアして大規模な不動産投資をし、複式簿記で記帳をしている人だけです。それ以外の人は10万円を差し引きます。

【控除】
・その人の個人的な事情に合わせて所得から差し引くもので、無理な課税を防ぐための措置
・例:社会保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除など
・確定申告書Bに記入する

「決算書または内訳書 → 確定申告書」の順番で作る

初心者の中にはいきなり確定申告書から手をつけようとする人がいますが、いきなり申告書を作ることはできません。所得税は所得額に対してかかるものなので、所得額を決算書または内訳書で計算しないと税額がわからないからです。そのため、以下の順番はきちんと守ってください。

青色申告決算書または収支内訳書 → 確定申告書B

なお、青色申告決算書は青色申告承認申請書を事前に提出期限までに提出した人が使います。それ以外の人は収支内訳書を使いましょう。また確定申告書にはAとBがありますが、不動産所得がある人は確定申告書Bを使います。

「収入(総収入金額)」「必要経費」「控除」ごとに必要な書類を分ける

「収入(総収入金額)」「必要経費」「所得」「控除」の意味をお伝えしましたが、確定申告の作業で使う書類は「収入(総収入金額)」「必要経費」「控除」に係るものです。不動産賃貸の所得は「収入(総収入金額)-必要経費」の計算結果なので、そもそも資料が存在しません。手元にある明細や領収書を以下のように分けます。

【青色申告決算書または収支内訳書に記載する項目】
・収入(総収入金額)…通帳、契約書、管理会社からの収支報告書(家賃などの収入を見る)
・必要経費…通帳、管理会社からの収支報告書(管理費などの必要経費を見る)、固定資産税の納付書および領収書、借入金と支払利子の明細書、水道光熱費の領収書や明細書、司法書士や税理士からの請求書、印紙税や不動産取得税の領収書

なお、青色申告決算書や収支内訳明細書には、領収書や明細書を添付する必要はありません。借入金については、支払利息のみが必要経費になります。借入金は、「貸借対照表」に年末の借入残高を記載します。建物の減価償却費は、自分で計算します。

【確定申告書Bに記載する項目】
・控除(所得控除)…給与所得の源泉徴収票(正社員など給与所得者のみ)、公的年金等の源泉徴収票(年金受給者のみ)、社会保険料控除証明書(国民年金や国民年金基金)、小規模企業共済等掛金払込証明書(iDeCoや小規模企業共済)、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、寄付金受領証明書(ふるさと納税などの寄附)など各種控除証明書

控除証明書は、確定申告書Bに添付します。源泉徴収票は添付しません。国民健康保険税は昨年1年間に支払った分を合計して記載します。住宅ローン控除(税額控除)がある人は、別途「住宅借入金の年末残高の証明書」を用意します。

控除項目は不動産所得に限らず、確定申告をする人のすべてに関係します。何が所得控除になり、何が税額控除になるのかなど、細かい内容については国税庁サイトで確認するといいでしょう。

参考:「申告書に添付・提示する書類」(国税庁)

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後半は【その2】でお伝えします。

鈴木まゆ子
鈴木まゆ子
税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU Online」「KaikeiZine」「朝日新聞『相続会議』」「マネーの達人」「納税通信」などWEBや紙面で税務・会計に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著」。

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