不動産投資で「木造アパートの経営はやめとけ」 その5つの理由とは
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本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

木造アパートの経営はやめとけ……このような意見を不動産投資のネット記事などで見たことはないでしょうか。本記事では、この否定的な意見のもとになっている5つの理由をマンション経営と対比しながら深掘りしていきます。「木造アパート経営を考えている」「アパート経営とマンション経営どちらにすべきか迷っている」といった人に役立つコンテンツです。

木造アパートやめとけの理由1 キャッシュフローが厳しくなりやすい

不動産投資でキャッシュフロー重視の人は、木造アパートを選ぶ際、慎重になったほうがよいでしょう。なぜなら木造アパート経営の場合、マンション経営に比べるとローンの返済期間が短い設定になることが多いからです。同じ金額を借りられたとしても返済期間が短くなると毎月の返済金額が増えてキャッシュフローが厳しくなります。

なぜ木造アパートだと返済期間が短くなりやすいのでしょうか。その理由は、法定耐用年数にあります。2019年3月に金融庁が行った「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」によると「融資期間を物件の法定耐用年数以内に設定している」と回答したのは、「一切行っていない」という回答を除いて銀行97%、信用金庫・信用組合93%でした。(一部案件で実施も含む)

図版出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」
図版出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」

法定耐用年数の長さを比べるとRC造マンションが47年に対して、木造アパートは22年と半分以下です。融資期間を「耐用年数以内」に設定している金融機関が多い傾向のため、返済期間の設定で木造アパートが不利になることは明白でしょう。さらに中古物件になると法定耐用年数から経過年数が引かれる点も忘れてはいけません。

例えば築15年の木造中古アパートであれば「法定耐用年数22年-経過年数15年=7年」で、融資期間を法定耐用年数以内に設定すると最大でも7年しかありません。一方で耐用年数が47年あるRC造マンションは、同じ築15年でも「耐用年数47年-経過年数15年=32年」で融資期間を法定耐用年数以内に設定しても最大で32年もあります。

木造とRC造ではこのような違いがあるため、キャッシュフローを重視する場合は耐用年数の長いRC造マンションを選ぶのが無難です。ただし「新築/築浅のアパート」と「築古のRC造マンション」を比べるとマンションのほうが法定耐用年数の短いケースもあるので注意しましょう。

木造アパートやめとけの理由2 売却時に不利になりやすい

前項では、木造アパートの法定耐用年数が短いとキャッシュフローが厳しくなりやすいと説明しました。しかし法定耐用年数の短さは、物件の売却時にもマイナス要因となる可能性があります。特にキャピタルゲイン(売却差益)を狙いたい人は注意しましょう。例えば購入時に築15年だった木造アパートを10年後に売却すると築25年です。

法定耐用年数の22年をオーバーしているため、「買い手が付きにくい」「購入希望者が現れても耐用年数オーバーを理由に融資審査で落ちてしまう」といった可能性があります。

アパートやめとけの理由3 騒音トラブルが起きやすい

木造アパートは、RC造マンションと比べて騒音トラブルが発生しやすい傾向です。稼働率が落ちてしまうと低利回りになるリスクがあります。2021年1月に株式会社AlbaLinkが運営する「訳あり物件買取プロ」が行った「賃貸物件を借りて後悔する瞬間についての意識調査」によると「賃貸契約で後悔したことがある」と回答した人は、全体の69.8%(500人中349人)もいました。

入居者のかなりの割合が騒音にストレスを感じていることが分かるのではないでしょうか。また後悔理由の第1位は「騒音トラブル」です。後悔したことのある349人のうち152人と約43.6%の人が「騒音トラブル」を後悔した理由に挙げています。後悔しているのであれば当然契約更新をする率は下がるといえるでしょう。

また契約更新前に退去する人もいる可能性があります。外壁や内壁、床などが薄くなればなるほど建物の音を遮る性能は落ちるのが一般的です。木造アパートは、RC造マンションに比べて壁や床が薄いので騒音トラブルが発生しやすいといえるでしょう。

木造アパートやめとけの理由4 物件が供給過剰になりやすい

木造アパートは、RC造マンションに比べて物件の供給過剰になる恐れ(=空室リスク高)があることも要注意です。これは、アパートとマンションの建設用地の特徴が影響しています。マンションの建設用地で多いのは、駅近の容積率200%以上のような土地です。こういった立地は、すでに開発が進んでいることが多いため、短期~中期で賃貸物件が供給過剰になる可能性は低いでしょう。

一方でアパートの建設用地で多いのは、駅から少し離れた容積率が60~100%程度の土地です。こういった立地は「遊休地を活用するため」「相続税対策のため」といった理由で入居者ニーズがないにもかかわらずアパートが次々に建築され賃貸物件が飽和する可能性があります。

木造アパートやめとけの理由5 経営規模が限られる

同じ1棟物件でも木造アパートよりRC造マンションのほうが部屋数としては多い傾向です。将来に向けて経営規模を拡大していきたい賃貸オーナーであればマンション経営を選ぶのが効率的といえるでしょう。一般的にアパートの部屋数は、8~10戸程度が目立ちますがマンションだと低層でも10戸以上が多い傾向です。

このような部屋数に違いがあっても不動産投資を始めるときの以下のような手間はさほど変わりません。

  • 立地や物件探し
  • 施工業者や不動産会社の選定
  • 契約手続き
  • 融資審査などの手間

木造アパート、RC造マンションと相性がよい人とは

「木造アパート経営はやめとけ」という内容は、すべての人があてはまるわけではありません。タイプによってアパート向きの人もいればマンション向きの人もいます。どんな人が木造アパートやRC造マンションに向いているのでしょうか。

木造アパート向きのタイプは?

木造アパートは「自己資金(ローンの頭金)を抑えたい」という人に向いています。自己資金は「物件価格の約20%」を求められる傾向のため、RC造マンションに比べて物件価格の低い木造アパートのほうが抑えやすい傾向です。また郊外や住宅地にすでに建設用地を持っている人も、建物を建てるだけで賃貸経営が始められるので木造アパート向きといえます。

ただし「エリア内に入居者ニーズがあるか」「賃貸物件が供給過剰になっていないか」についてしっかりと確認したうえで不動産投資を始めないと赤字物件になってしまいかねないので注意が必要です。

RC造マンションと相性がよいタイプは?

「まとまった自己資金が用意しやすい人」は、RC造マンション向きです。まとまった自己資金を用意できるアドバンテージを利用して木造アパートよりも規模感があり耐用年数の長いRC造マンションを所有できます。また立地のよい駅近などで不動産投資を始めたい人もRC造マンション向きです。アパートよりも階数のあるマンションを選べば好立地の魅力を最大限に活かして効率良いリターンが期待できます。

ジャンル選びで迷う人は「低層マンション」の選択肢も

本稿では、木造アパートとRC造マンションの2択で考えてきました。しかしこのほかにも不動産投資には「戸建て」「シェアハウス」「テナントビル」といった選択肢もあります。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで自分に合うジャンルを選択しましょう。さらにいえば中層・高層マンションとアパートの中間的な位置づけの「低層マンション」というジャンルもあります。

「アパートだと規模感が足りない」「高層マンションだと規模感が大きすぎる」という人は、こちらも選択肢に加えてみてください。なお低層マンションの特徴については、以下の記事をご参照ください。

<参照記事>
土地の有効活用に「低層マンション」という選択も 費用感やポイントは?

>>【無料小冊子】不動産投資ローンマニュアル - 仕組みから審査攻略法までを解説

>>【無料小冊子】40の金融機関と接する融資のプロがコロナ禍でも融資を引き出せる方法を解説

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