マンション経営ではどんな維持費がかかる?コストを下げて実質利回りを上げよう
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大西 勝士
大西 勝士
フリーランスの金融ライター(AFP、2級FP技能士)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数のメディアで執筆しています。

マンション経営では「物件をいくらで買えるか」「家賃はいくら入ってくるか」といった目先の数字が注目されがちです。たしかに物件価格や家賃は、重要な要素となります。しかしマンション経営で安定した収益を得るには「どんな維持費がかかるのか」を理解してなるべくコストを下げることも大切です。今回は、マンション経営でかかる費用や維持費を下げるための対策について解説します。

マンションの維持費は実質利回りに影響する

投資用のマンションを購入する場合、物件情報には物件価格と想定家賃、利回りなどが掲載されています。一般的に物件情報に掲載されている利回りは、維持費を考慮していない「表面利回り」です。物件の収益性を正しく見極めるには、コストを考慮した「実質利回り」を計算する必要があります。

  • 表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
  • 実質利回り(%)=(年間家賃収入-維持費)÷(物件価格+購入時の諸費用)×100

物件価格が手ごろで周辺相場よりも家賃収入が高ければ表面利回りは高くなります。しかし維持費がかさむと実質利回りが低下し想定よりも収益を確保できないかもしれません。また空室などが発生すれば収益がマイナスになる可能性もあるでしょう。マンション経営で成功するには「どんな維持費がかかるか」を意識しつつできるかぎりコストを下げて実質利回りを上げることが重要です。

マンション経営で定期的にかかる費用

まずは、マンション経営で定期的にかかる費用を見ていきましょう。

管理費・修繕積立金

管理費は、マンションの共用部分を良好な状態に保つための費用です。エントランスやエレベーター、階段などの清掃、点検にかかる費用に充てるために毎月徴収されます。修繕積立金は、マンションの共用部分の大規模修繕工事費用などに充当すべく長期にわたって積み立てられるものです。投資用として区分マンションを購入する場合は、修繕積立金も毎月かかります。

管理費・修繕積立金の額は、物件によって異なるため、購入前に確認しておくことが大切です。

固定資産税・都市計画税

固定資産税は、毎年1月1日現在の不動産(土地・家屋)の所有者に対して課税される税金(地方税)です。固定資産税評価額をもとに対象となる不動産が所在する市区町村が課税する仕組みになっています。投資エリアによっては、固定資産税と別に都市計画税がかかることもあります。

賃貸管理手数料

マンション経営では、物件の賃貸管理を自分で行う方法(自主管理)と賃貸管理会社に委託する方法(管理委託)の2つです。管理委託の場合は、賃貸管理会社に支払う手数料が発生します。専業でマンション経営を行う場合は、自主管理も可能でしょう。しかし副業の場合は仕事に支障が出る恐れがあるため、管理委託が現実的といえます。管理委託手数料は、家賃収入の5%程度が相場です。

借入金の返済

マンションは、物件価格が高額になるため、金融機関の融資を活用して購入するのが一般的です。家賃収入から借入金を返済するには、毎月の返済額(元本と利息)も考慮しなくてはなりません。借入金の返済後、毎月いくら手元に残るかを把握しておくことが大切です。

所得税・住民税

マンション経営で得られる家賃収入は「不動産所得」に該当するため、毎年確定申告をして利益が出ている場合は所得税を納めなくてはなりません。また地方自治体から届く納税通知書をもとに住民税を納める必要があります。不動産所得は、給与所得や事業所得などと合計して所得税を計算する総合課税のため、本業の収入など所得状況によって税率は変わってくるのが特徴です。

自分で試算するのが難しい場合は、税理士に相談するといいでしょう。

税理士報酬(確定申告を依頼する場合)

先述したようにマンション経営で得た不動産所得は確定申告が必要です。しかし税金の知識がなかったり本業が忙しく確定申告に時間をかける余裕がなかったりする人は、自分で所得金額や税額を計算するのが難しいかもしれません。自分で確定申告をするのが難しい場合は、税理士に代行してもらう方法もあります。確定申告を毎年税理士に依頼する場合は、税理士報酬も毎年発生する費用の一つです。

マンション経営で不定期にかかる費用

マンション経営では、定期的にかかる費用のほかに以下のような不定期で発生する費用もあります。

  • 設備の交換費用(給湯器、エアコンなど)
  • 退去時の修繕・クリーニング費用
  • 損害保険料(火災保険、地震保険)

一般的に設置済みの給湯器やエアコンなどが壊れた場合、物件所有者が交換費用を負担します。また退去が発生した場合は、次の入居者を迎えるために室内の修繕・クリーニングが必要です。火災保険や地震保険などの損害保険料は、数年分をまとめて支払うケースもあります。

マンション経営の維持費を下げるための対策

マンション経営の利回り(収益)を上げるには、少しでも維持費を下げる取り組みが必要です。ここでは、マンション経営の維持費を下げる方法を紹介します。

管理費が高いマンションを避ける

物件購入時に管理費が高いマンションを避ければ維持費を下げることが期待できます。管理費が高いマンションの特徴は、以下の通りです。

  • 総戸数が少なすぎる・多すぎるマンション
  • 設備のグレードが高すぎるマンション

国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査」によると総戸数が30戸未満、200戸超のマンションの管理費が高い傾向です。管理費は、所有者全員で負担するため「総戸数が少なすぎると一戸あたりの管理費の負担が増加する」「総戸数が多すぎると必要な設備が増える」といったことが考えられます。調査結果を踏まえると投資用マンションは、総戸数50~200戸を目安に選ぶといいでしょう。

設備のグレードが高すぎるマンションも管理費が高くなりがちなので避けたほうが無難です。

修繕積立金が不足しているマンションを避ける

区分マンションへ投資する際は、修繕積立金の不足がないかを確認しましょう。修繕積立金が足りないと大規模修繕工事を実施できないため、将来値上げされる可能性があります。重要事項説明書などで修繕積立金の状況を確認してから物件を購入することが大切です。

好条件で融資を受けられる金融機関を探す

金融機関の融資を利用する場合、適用金利などの諸条件によって毎月の返済額や総返済額は大きく変わってきます。繰り上げ返済を予定している場合は、繰り上げ返済手数料がかかるかの確認も重要です。不動産会社に相談するなど好条件で融資を受けられる金融機関を探しましょう。

可能な範囲で節税に取り組む

マンション経営の維持費を下げるには、節税も有効な手段の一つです。「経費をもれなく計上する」「青色申告を目指す」などできる範囲で節税に取り組んでみましょう。ただし過剰な節税は、2件目、3件目とマンション経営を拡大していく際に悪影響になることがあります。なぜなら十分な利益(所得)が出ていないと金融機関の評価が下がり融資審査に通らない可能性があるからです。

確定申告は自分で行う

マンション経営の規模が小さいうちは家賃収入も多くないため、税理士報酬を払うと利益が残らないかもしれません。できるかぎり自分で確定申告を行って税理士報酬を節約することも検討しましょう。会計ソフトを使えば特別な知識がなくても不動産所得の確定申告は可能です。はじめて行う場合は、時間がかかるかもしれません。しかし分からないことは、ネットや書籍で調べたり税務署に聞いたりすれば解決できます。

まとめ

マンション経営で安定した収益を得るには、維持費を下げることが大切です。物件や金融機関選びを工夫したり確定申告を自分で行ったりすることで維持費を下げられる可能性があります。まずはマンション経営でかかる維持費を把握し、できる範囲でコスト削減に取り組んでみましょう。

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