

不動産投資というと、いわゆるアパマン投資、つまり現物不動産投資を想像する人が多いと思いますが、間接的に不動産投資ができる方法に「REIT(不動産投資信託)」があります。
投資家から集めた資金で不動産を購入し、賃料収入や売却益を狙う運用をするもので、利益に対する基本的な考え方は現物不動産投資と同じです。現物とは違い、数万円程度の少額からでも始めることができるため人気があり、また昨今の不動産市場が好況という追い風もあって、REITの好調が続いています。
そんなREIT投資を検討している人のために、REITの基礎知識やメリット・デメリット、今後の展望について解説します。
REITの好調が続いている
REITの好調ぶりは、東証に上場されているREIT銘柄であるJ-REITの値動きを見るとわかります。J-REIT全体の値動きを示す東証REIT指数は2009年に730近辺で底値をつけ、そこから10年にわたって緩やかな上昇が続いています。2019年8月現在は2,000を超えており、約3倍に成長しています。
首都圏をはじめとする大都市圏の不動産市場が好況であることを考えると、今後もこの傾向は続く可能性が高いでしょう。
なぜREITが好調なのか
REITは不動産に特化した投資信託なので、運用はプロのファンドマネージャーが行っています。投資価値の高い不動産を保有することで安定した賃料収入を獲得し、さらに有利なタイミングを見極めて売却益も狙っていきます。そのため、REITの運用成績は運用している不動産の価値で決まります。
不動産市場が好況なので、賃料収入だけでなく売却益も出やすい状況となっており、多くのREIT銘柄が優秀な運用成績を収めています。投資家がこれに好感を持ち、さらに流入した資金が価格を押し上げるという良い循環が起きています。
このような構図も東京オリンピックまでという見通しも散見されますが、東京をはじめとする大都市圏の不動産市場は底堅く、急激な冷え込みは考えにくいというのが多数派の見方です。その通りになれば、REITの好調は続くでしょう。
REIT投資のメリット
上場REITであるJ-REITに投資する前提で、REIT投資のメリットを挙げてみました。
- 法人税の優遇制度によってJ-REITは収益の9割以上が投資家に分配される
- 小口で投資できるがJ-REITが運用しているのは高額の優良物件
- 複数の物件で運用しているためリスク分散効果がある
- 上場されているため流動性が高く現金化しやすい
いずれも個人投資家にとっては魅力的なものばかりなので、REIT投資が人気を集めているのは当然と言えます。
REIT投資のデメリット
一方で、REIT投資には以下のようなデメリットやリスクもあります。
- 現物不動産を保有するわけではないため、自分が住むという選択肢はない
- REITを運用している投資法人の倒産リスクがある
- J-REITの場合は上場廃止リスクがある
- 運用している不動産に災害や空室のリスクがある
上の3つは投資信託が持つリスクと共通し、4つ目は現物不動産投資と共通するリスクです。REITが「不動産投資信託」である以上、これらのリスクは表裏一体です。
結論 今から買うのはアリか
REIT投資のメリットとデメリットを理解していただいた上で、「結局今から買うのはアリかどうか」について、結論を導いてみましょう。
不動産市場の好況を背景にしたREIT人気は今後も続くと考えられるため、当面REIT投資の将来性が大きく損なわれる可能性は低いでしょう。投資信託なので値動きによるキャピタルロスは考えられますが、REITは現物不動産を保有しているため、紙切れ同然になってしまうリスクが低いです。
特にJ-REITは投資家への分配に積極的なので、ハイリターン狙いではなく「リスクを分散しながら資産を形成する」という意味合いで活用するのであれば、十分「アリ」だと思います。
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