賃貸経営を成功に導くパートナー。管理会社との賢い付き合い方とは
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木崎涼
木崎涼
大手税理士法人で多数の資産家の財務コンサルティングを経験。ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパートの資格を持ちながら、執筆業を中心に幅広く活動している。

不動産管理会社は不動産オーナーにとって重要な存在で賃貸経営のパートナーともいえる存在です。賃貸経営のノウハウを持った管理会社を味方につければ賃貸経営は成功しやすくなります。今回は、管理会社と良好な関係を築き賃貸経営を成功させる秘訣を解説します。

1.不動産管理会社とは

管理会社
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不動産管理会社とは、不動産オーナーに代わって物件管理や入居者管理、入金管理などを担ってくれる専門会社で賃貸経営のパートナーともいえる存在です。ここでは不動産管理会社が必要な理由、主な業務内容について説明します。

1-1.不動産管理会社が賃貸経営に必要な理由

不動産投資は購入して終わりではありません。購入後、いかに空室リスクを避けて入居率を上げ、賃料を維持し物件の資産価値を保つことに努めることが大切です。そのためには、不動産管理会社との付き合いは欠かせません。不動産管理会社の業務は、「入居者募集の広告」「入居者からのクレーム対応」「退居の立ち会い」「定期清掃・定期点検」など多岐にわたります。

また不動産オーナーにとって悩みの種となる未収リスクも不動産管理会社が適切に対応してくれれば、低くすることが可能です。家賃を催促したり連絡のつきにくい入居者に頻繁に連絡をしたりすることは、不動産オーナーにとって大きなストレスになります。そこで不動産管理会社に任せておけば事務的に淡々と連絡をとってくれるため、入居者と感情的なトラブルになる心配もありません。

未収リスクを防ぐためにも不動産を購入したなら不動産管理会社と契約すると安心です。

1-2.不動産管理会社の主な業務内容9項目

不動産管理会社の業務内容は大きく分けて9種類の業務があります。ただ「不動産オーナー側がどの程度業務を不動産管理会社側に委託するか」によって実際に不動産管理会社が請け負う業務の内容は変わるのが一般的です。つまり9種類のすべての業務を不動産管理会社が請け負うこともあれば一部のみを請け負うこともあります。

(1)契約の締結と契約の更新に関わる業務

賃貸借契約の契約や更新の際に不動産オーナーに代わって入居希望者と手続きを行います。入居者の審査も事前に定めた基準に沿って代行します。

(2)家賃の徴収と不動産オーナーへの送金

この業務では、不動産オーナーに代わって入居者から家賃を徴収し不動産オーナーへの送金手続きを行います。

(3)入居者への家賃の催促業務

家賃の支払いを滞納する入居者が発生したケースでは不動産管理会社が不動産オーナーの代わりに家賃の催促と回収を行います。

(4)入居者からのクレームに対する対応業務

入居者からは、住んでいる部屋や共用部分、隣人の騒音などについてのクレームが来ることがあります。不動産管理会社は、不動産オーナーに代わってこうしたクレームに対応します。

(5)設備の管理に関する業務

エレベーターや電気設備、照明など不動産によってさまざまな設備がありますが、こうした設備の定期点検を含む管理も不動産管理会社は請け負います。

(6)警備・安全確保に関する業務

常駐型の警備員を手配したり物件周辺の見回りをしたりするなど入居者の安全につながる業務を行います。

(7)入居者の退去に関わる業務

入居者から退去の申し出があった場合に実際に部屋を訪れ、原状回復の確認のほか、必要に応じて修繕費や清掃費用の請求・徴収などを行います。

(8)物件の共用部分などの清掃・管理業務

不動産管理会社は不動産オーナーの代わりに物件のエントランスや廊下、駐車場、植栽などに関する清掃・管理を行います。

(9)入居者の募集や物件の紹介に関する業務

管理委託を受けた不動産に入居者が集まるよう不動産情報誌や自社ホームページ、不動産情報サイトなどに募集広告を掲載。内覧希望者に対しては空室物件の案内も行います。

2.不動産管理会社との2種類の管理契約

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不動産管理会社に管理を委託する場合、大別して「管理委託契約」「サブリース契約」といった2種類の管理契約の形態があります。

2-1.管理委託契約

(1)概要

不動産オーナーと不動産管理会社が「管理委託契約」を結ぶことで先ほど説明した9種類の全部または一部の業務を代わりに不動産管理会社に行ってもらうものです。

(2)手数料

管理委託契約に関する手数料の相場は、一般的には3~7%程度であることが多く委託する業務内容によっても異なります。例えば賃料が1ヵ月5万5,000円の部屋で手数料が5%の場合は「5万5,000円×5%」で2,750円、7%の場合は「5万5,000円×7%」となり3,850円が目安です。

2-2.サブリース契約

(1)概要

サブリース契約は、不動産管理会社側が不動産オーナーから物件を借り上げ第三者に転貸することで実質的にその不動産を管理してもらうという方法です。前述の「管理委託契約」においては不動産オーナー側が空室リスクを負うことになりますが、サブリースでは不動産管理会社側が空室リスクを負うことになります。

(2)手数料

手数料設定はサブリース契約の内容によって異なりますが、一般的には賃料の10~15%程度です。管理委託契約よりも手数料が高いのは、空室リスクを不動産管理会社側が負うことが主な理由です。

2-3.自ら管理するという方法も

「自ら保有する不動産物件の管理に不動産管理会社を使わない」という選択肢も方法の一つです。ただ部屋数や物件数が少ないときは本人でも可能ですが、多くなってくると個人では難しくなってきます。不動産管理会社を利用するかどうかは本人の自由です。しかし賃貸借契約書の作成やクレームやトラブルの対応には一定程度の知識と経験が求められます。

そのため管理契約やサブリース契約を結んだほうが良いかはよく検討しましょう。

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3.不動産管理会社を選ぶために

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物件選びには真剣になっても不動産管理会社は適当に決めてしまう不動産オーナーも少なくありません。しかし賃貸経営を成功させるうえで不動産管理会社の存在は非常に重要です。ではどのような不動産管理会社を選ぶのが賢明なのでしょうか。注目したいのが「客付けの強さ」です。客付けに強い不動産管理会社を選ぶためには、まず「客付けに強いかどうか」という視点を不動産オーナーが持ち、それぞれの不動産管理会社における客付けの強さを見極める必要があります。

3-1.なぜ客付けが重要なのか

入居率を維持できなければ賃貸経営は成功しません。賃貸経営の最も大きなリスクは、空室リスクです。空室リスクによって賃貸経営が行き詰まり、やむを得ず物件を手放さざるを得なかったケースは数多くあります。空室リスクを防ぐためには、客付けに強い不動産管理会社を見つけることは必須条件といっても過言ではありません。

3-2.「客付けの強さ」を見極めよう

客付けに強い管理会社を見極めるポイントとしては、まずは管理戸数や入居率について確認することが大切です。管理戸数が多く高い入居率を維持していることは一つの判断基準となります。また担当者の人柄や担当者が持つ情報量によっても不動産管理会社の質を判断することが可能です。いい不動産管理会社の担当者は、熱心で責任を持った対応をしてくれます。

地元の入居事情や入居率を維持するためのこだわりについて担当者に質問してみるのもいいでしょう。入居率を上げるための提案が担当者からあるかどうかも判断基準となります。大切なのは、不動産管理会社はどこでもいいと考えるのではなく不動産管理会社の質を見極め賃貸経営に活かしていくことです。

4.不動産管理会社との付き合い方

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不動産管理会社を選ぶことも大切ですが、それ以上に不動産管理会社とどのような付き合い方をしていくかが重要です。不動産管理会社と良好な関係を築き味方につけることが賃貸経営を成功させるために求められます。

4-1.自らが「いい不動産オーナー」になる

不動産管理会社と良好な関係を築くうえで大切なのは、自分自身がまず「いい不動産オーナー」であることです。レベルの高い不動産管理会社と付き合うには、レベルの高い不動産オーナーである必要があります。

4-2.小まめに連絡を取り合う

入居率や不動産の状態に関心を持ち担当者と小まめに連絡を取り合うことも大切です。「より一層、入居者に選んでもらいやすい物件にするためにはどうしたらいいのか」「どんなリフォームが最近の流行なのか」について不動産管理会社の担当者に相談してみましょう。小まめに連絡を取り合うことで不動産管理会社との担当者の間で信頼関係が構築されパートナーシップもより深いものになります。

そのパートナーシップの深さは担当者の頑張りにも直結し結果的に入居者集めにより力を入れてくれることも期待できるでしょう。

5.賢く不動産管理会社を活用

不動産投資は物件を購入して終わりではありません。不動産の賃貸経営を成功させようとするのではあれば不動産管理会社の選び方や委託する業務、契約形態などについての知識は、必ず不動産オーナーの一助となります。よりよい利回りを得られるよう賢く不動産管理会社を活用していきたいものです。

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