賃貸管理
2019.4.26

「修繕費」と「資本的支出」はどう区別する?

(写真=apveanz/Shutterstock.com)
(写真=apveanz/Shutterstock.com)
建物や設備の修繕に使ったお金のすべてを「修繕費」として必要経費にできるわけではありません。条件によっては「資本的支出」となり、経費にできないこともあるのです。では「修繕費」と「資本的支出」はどのようにして区別すればいいのでしょうか?

「修繕費」と「資本的支出」の違いは

建物や設備が老朽化すると修繕が必要になってきます。「修繕費」として必要経費に計上できず「資本的支出」にしなければならない場合もあるのですが、まず、それぞれの言葉の定義を整理してみます。

修繕費――原状回復するために使った支出

修繕費とは、資産を維持管理するため、または壊れた資産を原状回復するために使った支出のこと。つまり元に戻すための費用のことです。修繕費は全額を支払った年に必要経費に計上できます。たとえば以下のような支出は修繕費です。

・アパートの原状回復(壁紙の張替費用など)
・災害により被害を受けた設備を直した
・地盤沈下した土地を回復させるために地盛りした

資本的支出――資産価値や耐久性を高めるため使った支出

資本的支出とは、資産の価値や耐久性を高めるために使った支出のこと。修繕費と同じように建物や設備の修理・改修に使ったお金であっても、その結果、資産価値の向上や耐久性が増したのならば、そのお金は資本的支出とみなされるということです。たとえば以下のような支出は資本的支出です。

・建物に外階段を新たに取り付けた
・用途変更のために模様替えをした
・設備の部品を性能の高いものに交換した
・建物の解体、移築、設備の移転費用

資本的支出に当たる場合には全額をその年の経費にはできません。いったん「資産(建物や設備)」へ計上して、耐用年数に応じて減価償却費に算入します。当然ながら短期的には資本的支出よりも修繕費の方が経費の額が増えるので節税につながります。

修繕費か資本的支出か不明な場合はどう判定する?

基本的には以下のいずれかに該当する場合は修繕費です。

・支出額が2以上の事業年度にわたって行われ、各事業年度に要した金額が20万円未満だった場合
・おおむね3年以内の期間を周期として行われる定期メンテナンス費用

20万円以上の支出であっても以下のいずれかに該当する場合は修繕費です。

・支出額が60万円未満だった場合
・前期末における取得価額の10%相当額以下である場合

たとえばアパートの壁紙張り替えや外壁塗装に200万円かかったとします。高額なので資本的支出かと思ってしまいますが、これはあくまでも通常の原状回復のための支出なので「修繕費」に該当します。

また、共用部の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り換えて100万円かかった場合でも、その建物の価値が高まるほどではないため「修繕費」です。

賃貸物件の原状回復工事のついでに、従来型の古いキッチンを新たなシステムキッチンに交換して80万円かかった場合は、建物の価値を高め耐久性を増すものと考えられることから「資本的支出」に該当するとした事例がありました。

目的に応じて使い分けよう

簡単にまとめると、原状回復(失った機能を元に戻す)のための費用であれば、たとえ高額であっても修繕費に該当すると考えればいいでしょう。修繕費を多く計上すればそれだけ所得が圧縮されて節税につながります。

ただし修繕費にできるなら常に修繕費の扱いにしておけばいいというわけでもありません。たとえば翌年、新たに物件の購入を考えている時は、あえて修繕費ではなく資本的支出として計上するという考えもあります。

そうすることで所得が増え支払う税金は増えてしまいますが、決算書としての見栄えはいいため、銀行融資がより有利に働く可能性があるからです。

つまり節税をしたい時は「修繕費」を使い、融資対策で決算書の見栄えを良くするためには「資本的支出」を使うというように使い分ければいいのです。
 

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