不動産投資
2019.11.28

不動産投資ローン完全マニュアル!仕組みから審査攻略法まで徹底解説

(画像=INDz/Shutterstock.com)
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不動産投資では多くのケースでローンの利用が前提にあり、仮に十分な資金があってもローンという他人資本を大いに活用するべきだというのが常識と言われています。

しかし、言うまでもなく不動産は高額な投資対象であるため、

「自分でも数千万円のローンを組めるのか」
「どのような審査があるんだろう」

と疑問に思う人も多いでしょう。

そこで今回は、不動産投資家にとって非常に重要な存在である不動産投資ローンの仕組みや、どんな審査をしているのか、そして審査に通過しやすくするためのコツまで解説します。

お読みいただいた後には、不動産投資ローンの特徴を理解し、具体的な資金計画を立てられるようになるでしょう。
 
<目次>

1.不動産投資ローンの攻略に必要な基礎知識

(画像=Africa Studio/Shutterstock.com)
不動産投資ローンを攻略するにあたって、最初に不動産投資ローンの仕組みや特徴を理解しておきましょう。この章では最低限押さえておきたい不動産投資ローンの基礎知識をまとめました。

1-1.不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、文字通り不動産投資に必要な資金を調達するためのローン商品です。不動産投資のためにはアパートやマンションなどの物件を購入する必要があるわけですが、その資金調達に利用するのが不動産投資ローンです。

一般的に不動産投資は株式投資やFXなどのほかの投資と違って「事業」と見なされており、金融機関からの融資を利用できるという特徴があります。融資という他人資本を利用して自己資金の数倍もの物件を所有・経営できるため、この投資効率の高さが不動産投資の大きな魅力でもあります。

なお、他人の資本を利用して投資効率を高める効果のことを「レバレッジ効果」といいます。仮に全額を自己資金で購入できる人であってもローンを利用できるのであれば利用するべき、と言われているのはレバレッジ効果が資産形成に大きな威力を発揮するからです。

不動産投資のレバレッジ効果とは?どのような仕組みなのか

1-2.どんな金融機関が提供しているか

不動産投資ローンは、多くの金融機関が取り扱っていますが、年収や属性によって審査に通りやすい金融機関の「相場」があるため、実際に利用する場合には属性に応じてローンの申し込みをする金融機関を選ぶことになります。

年収が500万円未満であれば、日本政策金融公庫やノンバンク系(セゾンファンデックス、三井住友トラストL&Fなど)が現実味のある選択肢となるでしょう。500万円~1,000万円の場合は各地域にある地方銀行やオリックス銀行などを利用する人が多くなり、1,000万円を超える人については大手メガバンクの利用も現実的になります。
※融資状況はタイミングによって傾向が変わります。

1-3.不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産用のローンと聞いて「フラット35」などの住宅ローンを連想する人も多いと思います。同じ不動産を購入するためのローンですが、不動産投資ローンと住宅ローンは全くの別物であるといえます。

不動産投資ローンは事業のための資金調達に用いるものであり、住宅ローンはマイホームを手に入れるためのものです。より多くの人がマイホームを購入できるように設けられているのが住宅ローンなので、不動産投資ローンと比べても金利は割安なケースが多いようです。

2019年5月には住宅ローンで購入した物件を賃貸にまわしていたことが発覚し、国が調査指示を出したという事件もありました。不正利用が発覚すると契約違反ということで融資の一括返済を求められるリスクもあります。金利が低いからといって住宅ローンで不動産投資をすることはできないという認識が必要です。

1-4.不動産投資ローン金利の仕組み

不動産投資ローンの金利には、主に2つの仕組みがあります。1つは変動金利型で、もう1つは固定金利型です。固定金利型については固定期間選択型といって3年、5年ごとなど一定期間の金利が固定になり、固定期間終了後、再度変動か固定かを選べるタイプもあります。

変動金利型は金利相場に応じて金利が変動するタイプで、超低金利の時期ならかなり有利な条件でローンを利用することができますが、金利相場の上昇に合わせて返済金利も上昇するリスクがあります。

もう一方の固定金利型については最初に契約をした時点での金利が完済まで適用されます(選択型の場合は一定期間ごとに再検討)。途中で返済金利が上昇してしまうリスクはありませんが、金融機関がそのリスクを織り込んでいるため変動金利に比べると金利自体が高めに設定されています。

1-5.不動産投資ローンの金利相場

不動産投資ローンの金利は、おおむね1%~4%程度というのが相場です。先ほど年収額や属性によって利用できる金融機関が異なると述べましたが、金融機関からの評価が高くない人も利用できる金融機関ほど金利は高くなる傾向があります。ノンバンク系だと4%前後の金利であるのに対して、大手メガバンクなどを利用できるのであれば1%前後の金利でローンを利用することができます。

属性の高い人は返済能力が高く貸し倒れになるリスクが低いため、金融機関としても安い金利でローンを付けることができますが、そうでない人の場合はリスク分を織り込んで金利が高めになるというのが基本的な構造です。

2.不動産投資ローンの審査事情

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ローンの利用が前提の不動産投資を成功させるためには、最初の関門である審査を突破する必要があります。実際に金融機関はどのような審査をしているのでしょうか。審査を効率良く攻略するためにも、以下の3点を押さえておきましょう。

2-1.審査で見られる主な項目

不動産投資ローンで審査されるのは、ローンを利用する本人の属性だけではありません。不動産投資という事業を始めるのですから、その事業の収益性も審査の対象となります。またその収益物件は購入した物件そのものがローンの担保になるため、担保価値があるのかどうかも審査において重要な意味を持ちます。
 
審査対象 審査項目
ローンを利用する本人 年収
年齢
勤務先(勤続年数)
預貯金
過去の事故歴
自己資金額
収益物件 賃貸経営の収益性(収益還元評価)
物件の価値(積算評価)

収益物件の審査では「収益還元評価」と「積算評価」という2つの評価基準があります。これらは不動産投資ローンの審査にある独自の概念です。

収益還元評価とは、その物件にどれだけ「稼ぐ力」があるかを評価するものです。物件の収益性は返済能力に直結するため、金融機関は収益還元法という方法を用いて評価します。

積算評価は、土地と建物の価値を積算したもので、万が一そのローンが貸し倒れになった時に十分な担保価値があるのかを評価するために用いられます。審査合否の予測を立てる際には、2つの評価方法の計算方法も覚えておくと良いでしょう。

2-2.自己資金の有無は審査への影響大

不動産投資ローンにおける自己資金は物件購入費用の一部というだけでなく、利用者の「本気度」を示すバロメーターとしても大きな意味を持っています。例えば、5,000万円の物件に対して自己資金1,000万円を用意している人と、自己資金ゼロだが不動産投資を始めたいという人を比較した際に、金融機関がどちらの人に信頼を置くかは一目瞭然でしょう。

また、いざという時の返済原資になる現金を所有していることは金融機関にとっての安心材料となります。自己資金を用意することで自らもリスクテイクをしている人に対して金融機関はプラスの評価をする傾向があります。

2-3.不動産投資ローン審査の流れ6ステップ

不動産投資ローンの申し込みから融資実行までには、主に以下のような6つのステップがあります。大まかな流れをつかんでおきましょう。

①金融機関への相談
②事前審査申し込み(仮審査ともいいます)
③審査OKの場合、借入申し込み
④金融機関による本審査
⑤融資決定となり、融資契約を締結
⑥融資実行

ここで、事前審査と本審査というように審査が2回ある点について疑問が生じたのではないでしょうか。この2つの審査について、補足しておきたいと思います。

事前審査の内容は金融機関ごとに異なりますが、ローンを申し込んだ本人の年収や過去に返済の遅滞や債務整理といった事故がないかなど、返済能力に関する審査が行われる傾向です。そして本審査では、その金融機関だけでなく保証会社も含めて審査が行われるため、本人の属性に加えて物件の担保価値や収益性が審査されます。

上記の順序で審査が行われるため、当然ながら②の事前審査に通らなければ③以降に進むことはできません。

3.ローン審査の攻略に役立つ4つのノウハウ

(画像=MIND AND I/Shutterstock.com)
審査の特徴や流れを理解したうえで、事前に知っておくと役立つ審査に通りやすくするためのノウハウを4つ解説します。

3-1.自分の状況に合った金融機関を選ぶ

先ほど年収額や属性によって利用できる金融機関が異なると述べました。これは初動段階で非常に重要なことで、その時の自身の状況に合わない金融機関に申し込んでも審査に通る可能性は極めて低くなってしまいます。金融機関ごとの考え方や個々の案件によってケース・バイ・ケースではありますが、おおむね以下のような分類で利用する金融機関を選ぶのが得策だといえるでしょう。

・年収500万円未満、不動産投資初心者
ノンバンク系
日本政策金融公庫
商工中金

・年収500万円~1,000万円程度、初心者および経験者
各地域の地方銀行、信用金庫
オリックス銀行
SBJ銀行

・年収1,000万円以上、既存物件保有者
大手メガバンク
信託銀行

不動産投資に強みを持つ不動産投資会社から物件を購入する場合、それぞれの不動産投資会社には提携している金融機関があります。提携先を紹介してもらったほうが審査に有利である場合が多く、提携している金融機関がない場合でも利用するのにふさわしい金融機関の提案を受けることができます。

3-2.審査に通りやすい属性、条件を知っておく

金融機関がローン審査で重視しているのは、返済能力です。返済能力に加えて物件の担保価値を審査することで、万が一借り入れをしている投資家が返済不能に陥ったとしても金融機関は資金回収ができるようにするのが、審査の基本です。

それを踏まえて審査に通りやすい属性を挙げると、以下の通りです。カッコ内に記載しているのは、それぞれの属性が審査に通りやすくなる理由です。

【借り入れをする本人の属性】
・年収が高い(返済能力に直結)
・勤続年数が長い(身分、収入の安定)
・自己資金が多い(本気度が高い、貯蓄できるだけの収入がある)
・過去に事故歴がない(社会的信用がある)
・借入期間が短い(金融機関にとってリスク軽減になる)

【物件の属性】
・収益性が高い(返済能力に直結)
・十分な担保価値がある(金融機関にとってリスク軽減になる)

これらの属性をチェックしてみて、弱いと思うところがあればそこを強化することで審査に通る確率を高くすることができます。

例えば、会社を辞めることを検討している人がその後の収入源として不動産投資を考えているのであれば、退職前にローン審査を受けておくべき、といった具合です。年収や勤続年数などで属性が高くないと感じるのであれば、頑張って貯金をして自己資金を厚くすることで、審査で有利に働くでしょう。
 
【不動産投資に関連する不祥事の影響】

サラリーマンなど個人向けの不動産投資ローンが普及し、不動産投資への門戸が大きく開かれた結果、「サラリーマン大家」といった言葉が登場するなど、不動産投資ブームのような現象が起きました。

そのブームに乗る形で個人投資家向けの不動産投資ローンに力を入れる銀行や、アパート経営サービスで業績を伸ばす不動産会社などが続々と誕生したのですが、行き過ぎた売り上げ至上主義の結果、スルガ銀行とTATERUで続々と不正が発覚するという不祥事が起きました。

スルガ銀行では個人投資家向けの不動産投資ローンの審査が正常に機能せず、不正な方法で融資を実行していたことが続々と発覚し、最終的には金融庁から半年間の業務停止命令を受けてしまうという事態になりました。

もう一方のTATERUはITの手法によって手軽にアパート経営に参入することができるビジネスモデルで急成長をしましたが、こちらも行き過ぎた営業手法によって顧客(アパート大家になる人)の預金残高を改ざんし、銀行を騙す形でローン審査を通していたことが発覚し、こちらは国土交通省から業務停止命令を受けることとなりました。

こうした一連の不祥事は不動産投資ローンにも多大な影響を及ぼしています。審査の厳格化は当然のこととして、自己資金についても事実上2割以上は用意しないと審査に通りにくい状況になっています。これから参入する方にとっては厳しい状況ですが、逆に考えると審査が厳格化されたことで破綻リスクの高い投資案件は審査に通らず、本当に破綻してしまう事態を回避できているとも言えます。

3-3.自己資金は物件取得価格の2割が目安

不動産投資ローンで必要になる自己資金は物件取得価格のうち2割程度が一つの目安といえます。以前であれば1割未満、もしくは自己資金ゼロでも審査に通ることがあったのですが、融資絡みの不祥事や見通しの甘さゆえに失敗する投資家の増加を受けて、十分な自己資金がないと審査に通りにくくなっている傾向です。

自己資金の多寡は返済不能になってしまうリスクの軽減だけでなく、投資家の本気度を測る重要なバロメーターです。属性によっては1割程度でも審査に通ることもあるようですが、少なくとも1割から2割程度の自己資金を用意したうえで審査に臨みたいところです。

3-4.ローン審査に通りにくい人

不動産投資ローンの審査を攻略するうえで、どんな人が審査に通りにくいのかも知っておきましょう。
以下に挙げる条件に1つでも該当する場合は審査に通る可能性が低いといえるでしょう。

・過去に事故歴がある
・自己資金がゼロである(フルローン、オーバーローン)
・物件の収益性が低い

3つ目については、購入しようとしている物件の空室リスクが高く、立地条件もあまり良くない(周辺も空室率が高い)ような場合に、収益性が低いと判断されます。

不動産投資ローンに限らず、どんな融資の審査であっても審査に落ちた理由は教えてくれません。審査に通らなかった場合は、属性が足りなかったか、もしくはここで挙げたような「審査に通らない理由」に該当してしまっているのかも知れません。

4.不動産投資ローンとの正しい付き合い方

(画像=Ravital/Shutterstock.com)
最後に不動産投資をしていくうえで不動産投資ローンとどのように付き合っていくのが正しいのかという基本的な考え方を解説します。不動産投資ローンの役割も含めて理解を深めておきましょう。

4-1.ローン金利と返済期間がキャッシュフローに大きく影響する

不動産投資の直接的な目的は、所有している収益物件から得られるキャッシュフローです。

キャッシュフローは投資家にとっての手残り(賃料収入から必要経費を差し引いた投資家の取り分)なので、これを多くするには賃料収入を多くするか、必要経費を低く抑える努力が必要です。この必要経費には、月々のローン返済も含まれています。

ローン返済というコストを低く抑えるには、金利を低くすることと返済期間を延ばすことがポイントになります。返済期間を延ばすと毎月のキャッシュフローは改善してもトータルの返済額が増えて損をするように思えますが、これについては借金をすることのメリットが関係しているので、次項で解説します。

4-2.キャッシュ・イズ・キング

不動産投資の世界には、「キャッシュ・イズ・キング」という概念があります。投資や事業の世界において現金は最も流動性が高く、強い力を持っているという意味です。これは不動産投資に限らず、事業を営むすべての人に共通する重要な概念です。

先ほどローンの返済期間を延ばしてキャッシュフローを改善するのも有効であると述べましたが、これも「キャッシュ・イズ・キング」の考え方によるものです。ローンの返済期間を延ばしたり、借入額を増やしたりしてでも、キャッシュを確保しておくことは経営上有効なのです。

不動産投資では物件の突発的な修繕や家賃の滞納など、意図しない出費が発生することがあります。そんな時でも十分なキャッシュがあれば対処できます。全額を自己資金で購入できるだけのキャッシュがあったとしても、多くの投資家はローンを利用して手元にキャッシュを確保しようとする傾向があります。

そこにはキャッシュを確保することによってリスクヘッジになること、さらにそのキャッシュを使って別の物件を買うなど新たな展開に動く余地が生まれるなどのメリットがあるからです。

4-3.金利が高いと感じたら借り換えの検討を

賃貸経営において、ローン金利はコストの一部です。コスト削減の一環で返済開始から10年を迎える頃になったらローンの借り換えも検討してみましょう。なぜなら不動産投資初心者の場合は既存の物件がなく、ローンの返済実績もないため、借り入れの条件があまり良くない可能性があるからです。

10年ほど返済実績を作ったうえで借り換えにチャレンジすると、最初のローンよりも安い金利のローンに借り換えができる可能性があります。返済開始から10年以内で2.7%以上の金利でローン返済をしている人だと、借り換えの審査に通りやすく、なおかつ借り換えのメリットを享受しやすいと言われています。

不動産投資ローンの借り換えに特化したサービスもあるので、こういったサービスも含めて借り換えによる金利ダウンの可能性があることを知っておくと良いでしょう。

【参考】モゲチェック(不動産投資ローン借り換えサービス)

5.まとめ

(画像=Brian A Jackson/Shutterstock.com)
不動産投資に参入できるか否か、さらに不動産投資で成功できるか否かも、ローンによる影響が大きいということがお分かりいただけたのではないでしょうか。ローンを制する者は、不動産投資を制すといっても過言ではないでしょう。

当記事で得たローンの知識をもとにシビアな事前準備を行い、少しでも有利かつ確実にローンを利用して不動産投資を成功に導けることを願っています。

大企業の実例にならい個人のリスクヘッジとして不動産投資を検討してみるのも一つではないでしょうか。

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