フルローンは投資家にとってリスク?
(画像=CHUYKO SERGEY/Shutterstock.com)
檜垣嘉孝
檜垣嘉孝
不動産賃貸仲介業、マンション管理業を経て、不動産専門ライターとして独立。コンサルティング会社を経営する傍ら自らも不動産投資を行う中で、投資家の目線に立った記事制作を心がけています。

不動産投資を検討している人の中には、「自己資金で物件購入するための資金準備が難しい」という人もいることでしょう。そんな時、フルローンによって物件を取得する選択肢もあるのですが、もちろんこれにはリスクもあります。今回の記事では、不動産投資におけるフルローンに潜むリスクを解説していきます。

そもそも「フルローン」とは?

不動産投資において「フルローン」とは、物件を自己資金なしで、全額融資を受けて購入することです。投資家の信用力や投資物件自体の評価によっては、フルローンで投資物件を取得することは不可能ではないのですが、もちろんフルローンにはメリットもあればデメリット・リスクも存在します。

フルローンのメリットとは?

まずは、フルローンのメリットについて解説していきましょう。

自己資金を手元に残しておける

物件価額の全額を借入金によって賄うため、頭金は必要とせず、手元に多くのキャッシュを残しておくことができます。何らかの資金需要への対応や、少しでも手元に余裕資金を残しておきたいと考える人にはマッチすると言えるかもしれません。

レバレッジを最大にかけることができる

不動産投資においては、金融機関からの融資を前提に投資物件を購入するケースが多いです。自分が持っている資力以上の資産価値の物件を取得することができるのが不動産投資のメリットでもあります。

フルローンでの不動産投資は、元手がゼロの状態から大きな金額の物件を取得するという意味で、レバレッジを最大にかけることができるのです。

フルローンに潜むリスクは?

メリットに対して、フルローンにはデメリットやリスクも多数潜んでいます。フルローンでの不動産投資を考えるならば、デメリットを明確に把握しておく必要があるでしょう。

毎月の返済額が増大する

頭金を入れた場合と比較して融資元本が多いため、当然毎月の返済額は増大します。元本返済額および利息が増えるため、キャッシュフローが悪化しやすいと言えるでしょう。毎月のキャッシュフローが黒字になるように計画を組んだとしても、急な空室や突発的な修繕対応等によって資金繰りが悪化する可能性もあります。

したがって、ある程度の減収も見込んだ状態で収支計画を作っておくべきでしょう。

借り換えが困難な場合がある

フルローンを利用している物件の場合、返済年数に対してローンの残債が多いため、借り換えの審査が通らない可能性もあります。

売却時にキャッシュアウトが発生する場合も

一度購入した投資物件は、良好なタイミングで売却し、キャピタルゲインを得るのが、不動産投資におけるゴールの一つです。売却は必ずしも良好なタイミングで行えるわけではなく、毎月の資金繰りが悪化したために、やむなく物件を手放すケースも考えられます。

売却時には借入金残高を一括返済することが求められるのですが、フルローンを利用している場合にはこの残高が売却額を上回るリスクもあるのです。

このケースでは、借入金残高と売却額の差額を自己資金によって賄うほかないのですが、これは完全に「投資の失敗」と言える状態でしょう。投資物件の運用によってキャピタルゲインを得るどころか、逆にマイナスになってしまっているからです。

まとめ

フルローンには多くのデメリットとリスクが潜在しています。不動産投資を行う際には適切な自己資金を確保し、毎月のキャッシュフローはもちろん、売却時の出口戦略まで見据えた物件選定・融資交渉が必要不可欠と言えるのです。

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