不動産投資
2019.10.25

不動産投資の法人化VS個人事業主 利益がどれくらいになったら法人化すべき?

(写真=NESPIX/Shutterstock.com)
(写真=NESPIX/Shutterstock.com)
不動産投資(賃貸経営)をしているオーナーの中には、「法人化すべきか迷っているが先延ばしている」という人もいるのではないでしょうか。「法人成にするか」「個人事業主のままで行くか」など、このモヤモヤした問題に決着をつけましょう。

年間利益500万円超あたりから意識しはじめて、800万円超で本格検討

「利益がいくらになったら個人事業主よりも法人のほうが税金は少なくなるのか?」といった部分がハッキリしないため、法人化すべきか判断できないオーナーも多いのではないでしょうか。例えば「法人化 目安 利益」などのキーワードで検索してみると、下記のようにバラバラの意見が出てきて混乱のもとです。

 ・事業所得が500万円以上になったら法人成を検討したほうがいい
 ・月に60万円の粗利があるなら法人化のほうがいい
 ・法人化の損益分岐点は、事業所得900万円超
 など

しかもそれぞれの意見に根拠があるため、どれを信じてよいかわからなくなります。大半の意見で所得区分と実行税率をもとにして計算を行っていますが、前提や考え方の違いで目安の利益額に差が出てきているのです。その中から一例を挙げると全国6エリアに展開する税理士法人チェイサーでは次のような目安を示しています。
  • 年間利益が500万円以下の場合:法人化による節税メリットなし
  • 年間利益が500万~700万円の場合:30万~70万円程度の節税目安額
  • 年間利益が700万~1,000万円の場合:70万~120万円程度の節税目安額
  • 年間利益が1,000万円超:100万円以上

同様の意見の税理士・会計士は多いです。年間の利益500万円超あたりから法人成を意識しはじめて利益800万~1,000万円あたりが続きそうなら本格検討するという考え方がよいかもしれません。

不動産事業をしている人にとっては損益通算枠の拡大も大きい

節税効果だけでなく不動産事業をしているオーナー特有の法人化メリットもあります。これを加味して法人化を検討するケースもあるでしょう。大きくは「損益通算枠の拡大」と「短期譲渡益がなくなる」が挙げられます。

損益通算枠の拡大

個人事業主の場合、不動産所得(家賃収入)と譲渡所得(売買差益または差損)は別々に課税されます。そのため例えば家賃収入で黒字、譲渡所得で赤字でも損益通算できません。法人化すれば、不動産所得と譲渡所得を損益通算できるようになります。

短期譲渡益がなくなる

個人事業主の場合、不動産売却益には実効税率・約20%の譲渡税がかかります。ただし1月1日時点で所有期間が5年以内の場合は、実行税率・約39%の譲渡税がかかります。法人の場合は一律約30%のため、高額不動産を短期譲渡する予定の人は法人のほうが有利です。

法人化により家族への所得分散効果を強化 長期的には退職金優遇も

「法人税は税率が低い」「個人の所得税は税率が高い」という部分にフォーカスされがちな法人化ですが、「家族への所得分散効果」も見逃せません。この部分に着目して「年間の利益ベースではメリットが少ないけれど、長期的には法人化のメリットがある」という考え方もできます。個人事業主の場合、所得分散効果は「青色専従者給与の控除」くらいしかありません。

これは配偶者や同居している親族に払った給与に関しては、配偶者は86万円まで、その他親族は1人50万円までの専従者控除が認められるものです。法人化した場合、家族を役員にして役員報酬でまとまった額の所得を分散することが期待できます。さらに役員退職金を活用することで税率を抑えながらの分散が可能です。役員退職金が通常の報酬よりも税金で有利な理由としては、次の2つが挙げられます。
  • 退職金控除がある(20年目まで:40万円×勤続年数、それ以上:70万円×勤続年数)
  • 退職金の2分の1しか課税されない(退職金控除を除いた額)

法人化によるデメリット 地方税の発生や税理士報酬増

一方で法人化にはデメリットもあります。主なものは以下の通りです。
  • 利益が出ても出なくても地方税が毎年かかる(年間7万円程度)
  • 事務の煩雑化により税理士への報酬が増えやすい
  • 経営者の収入と会社の収入の明確な区別化 など
法人化については、地方税や税理士報酬増などのコストがかかるため、長期的な視点でメリットがあるか否かを考えるべきでしょう。
 

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