税金
2019.5.29

投資マンションの相続で使える?「小規模宅地等の特例」の条件とは

(画像=Bubbers BB/Shutterstock.com)
(画像=Bubbers BB/Shutterstock.com)
投資マンションを所有している投資家の心配の種の一つは、「相続税はどれくらいになるのか」という点ではないでしょうか。不動産投資の対象となる土地や建物は、現預金よりも相続税評価額が低くなりますが、それでも相続税の負担は気になるところです。しかし、小規模宅地等の特例を活用すれば、賃貸用物件の土地については、さらに節税することができます。

小規模宅地等の特例は賃貸用不動産の節税に

自宅用や事業用の土地の節税対策と知られる小規模宅地等の特例ですが、賃貸物件に使用している土地(貸付事業用宅地)にも活用することができます。つまり、賃貸アパートや賃貸マンションがその土地の上に立っているのであれば、200平方メートルまで評価額を50%減額することができるのです。なお、後述する「相続開始前3年以内に賃貸に出された物件」を除き、この特例の適用対象となる賃貸物件は規模の大小を問わないものとなっています。

小規模宅地等の特例を使うとどの程度、節税になる?

では、具体的にどれくらい節税になるのでしょうか。事例で見てみましょう。

【事例】

賃貸物件に使用している土地の相続税評価額:1億円(200平方メートル)
相続人:被相続人の子1人

小規模宅地等の特例を使わない場合

課税価格:1億円-(3,000万円+600万円(基礎控除額))=6,400万円
相続税額:6,400万円×30%-700万円=1,220万円

小規模宅地等の特例を使った場合

課税価格:(1億円-1億円×50%)-(3,000万円+600万円(基礎控除額))=1,400万円
相続税額:1,400万円×15%-50万円=160万円

何もしなければ1,000万円超の相続税となっていましたが、小規模宅地等の特例を用いることで1割近くまでに相続税を圧縮することが可能です。今回は、分かりやすくするため相続人を1人としましたが、相続人が複数いる場合や被相続人の債務も引き継いだ場合などは、さらに相続税額が圧縮される可能性があります。

なぜなら、複数人の相続人がいれば基礎控除額は1人当たり600万円ずつ増加しますし、被相続人に借金などの債務があれば相続財産から差し引くことができるからです。

こんなケースでは小規模宅地等の特例は使えない

相続税の節税効果の高い小規模宅地等の特例ですが、注意点もあります。次のような場合には小規模宅地等の特例を用いることができません。

相続開始前3年以内に賃貸に出された物件

近年、相続税対策の一つとして、被相続人の死期を予測してから慌てて保有物件を賃貸用に使うケースが相次ぎました。税務当局は、これを悪質な課税逃れとみて2018年の税制改正により是正します。具体的には、相続開始前3年以内に賃貸の用に供された土地等を2018年4月1日以後相続や遺贈によって取得した場合、その宅地等については小規模宅地等の特例の適用対象から外されることになりました。

ただし、いわゆる「5棟10室」という大規模な不動産賃貸物件に係る土地等については別です。課税逃れ目的ではなく、きちっとした投資目的があるとみられるため、「相続開始前3年以内に賃貸を始めた宅地等であっても小規模宅地等の特例を適用してよい」となっています。

相続時精算課税の適用を受けた贈与で取得した賃貸物件は対象外

また、相続時精算課税制度の適用のもと、被相続人の生前に贈与された土地等は、相続税法上、相続時において相続財産に足し戻され、あらためて相続税の課税対象となります。相続時精算課税制度の適用を受けた土地等については、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。相続時精算課税制度は、生前贈与時の非課税枠が2,500万円と高額です。

そのため、中には節税策として検討している方もいるかもしれませんが、本制度は基本的に「納税の繰り延べ効果」しかありません。相続時には、相続税がかかるため勘違いしないよう税理士など専門家に相談のうえ対応を検討した方が賢明です。

相続税の申告期限前に譲渡したら対象外

また、早々に遺産分割協議や相続の手続き、申告書の作成・提出が完了し、申告期限前に賃貸物件の土地等を譲渡した場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。なぜなら、小規模宅地等の特例の適用を受ける要件として、相続人には「相続税の申告期限までに自己名義でその土地等を保有し、かつ賃貸事業を営んでいること」が求められるからです。

なお、事業とは対価を得て継続的に行っているものを指します。したがって、一時的に貸し出した物件、あるいは無償で貸し出した物件に関する土地については小規模宅地等の特例の対象から外れます。

申告書の提出は必須

小規模宅地等の特例を適用した結果、仮に相続税が0円になったとしても相続税の申告書を提出する必要があり、提出がない場合には適用を受けることができません。つまり、「小規模宅地等の特例があるから納税額はない」と思い込んで申告書を提出せずにいると、後日「小規模宅地等の特例の適用はないし相続税額も発生しているから納税せよ」と税務署に指摘される可能性があるわけです。

ただし、遺産分割協議が申告期限までにまとまらなくても、期限後3年以内に協議がまとまる予定ならば、申告書を2回提出することで小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。この場合、最初に提出する申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付。その後、3年以内に遺産分割がまとまった後、更正の請求の申告書を提出すれば、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

なお、親族内の争いなどにより3年では遺産分割協議がまとまらない場合もあるでしょう。この場合でも小規模宅地等の特例を受けることができる場合もありますが少々複雑です。もし該当する場合は、専門家に相談するとよいでしょう。

【あなたにオススメ】
不動産投資が節税に効果あり?その真実とは?
不動産が相続対策に有効といわれる理由とは
不動産所得での節税に欠かせない必要経費の知識
次世代に資産を遺すためのアパート・マンション経営
物件売却は5年経ってから!譲渡所得税について理解しよう
NEXT 不動産賃貸業で家族への給与を必要経費にする条件
PREV 不動産投資で知っておきたい固定資産税の基礎知識

続きを読む

関連記事