不動産を相続する場合に必要な手続きと費用とは?
(画像=Burdun Iliya/Shutterstock.com)
檜垣嘉孝
檜垣嘉孝
不動産賃貸仲介業、マンション管理業を経て、不動産専門ライターとして独立。コンサルティング会社を経営する傍ら自らも不動産投資を行う中で、投資家の目線に立った記事制作を心がけています。

既に複数の不動産を所有しているという方も、これから資産を増やしていきたいと考えている方も、「相続を何度も経験したことがある」というケースは非常に稀でしょう。多くの方が、「何をどのように準備したら良いのかわからない」という思いながら、「まだ先の話だから…」と問題を先送りにしている人も多いのではないでしょうか。事前にしっかり準備しておけば、いざという時、慌てずに行動することができます。

相続に際して発生する手続きとは?

親族の死亡などにより自らが相続人となる相続が発生した場合、揃えるべき書類は多岐にわたり、行わなければならない手続きも非常に複雑になります。

【必要書類例】

  • 死亡届(死亡から7日以内に役所に提出)
  • 遺言(あれば)
  • 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 遺産分割協議書
  • その他

遺言があるケースとないケースで揃えるべき書類は異なりますし、相続人の人数などによっても形式は異なります。また相続財産の内容によっても行うべき手続きが変わってきますので、詳細な調査と、役所等の関係各所への相談が必要になります。

まずは賃借人に連絡を

投資物件のオーナーが死亡した場合、できるだけ早いタイミングで入居者である賃借人に通知しておきましょう。管理会社ではなく、前オーナーの名義の口座に家賃を入金してもらっていた場合には、死亡した際に口座が金融機関によって凍結されてしまいますので、家賃の振り込みができなくなります。

仮の入金先口座を通知するなどして、「家賃が入金できない」といったトラブルを未然に防いでおく必要があります。

不動産の名義変更手続きが必要

オーナーの死亡によって不動産の所有者が変更になれば、不動産の名義変更の手続きを行う必要があります。これを「相続登記」と呼びます。相続登記が行われなければ、前オーナーが所有していた不動産の所有権が誰に移ったのかが把握できません。

どんな費用がどのくらいかかるのか?

相続に際して発生する費用として、大きくは「相続登記にかかる費用」と「不動産を相続した際に課税される相続税」に分けられます。

相続登記にかかる費用

相続登記を行う際には、所定の登録免許税がかかります。具体的には、「物件の固定資産税評価額の0.4%」と、「名義変更手続きに必要な住民票・印鑑証明等の書類取得費用」が必要です。

「固定資産税評価額」に関しては、毎年物件オーナー宛に市区町村から発送される「納税通知書」に記載されていますので、この機会に探しておいてもよいでしょう。

また、司法書士等の専門家に相続登記の手続き等を依頼する場合は、所定の報酬を支払う必要があります。この金額はおおむね10万円程度ですが、案件の難易度や専門家ごとに報酬体系は異なりますので、相見積を取ってみるのも良いかもしれません。

相続税

不動産を相続した場合、所定の条件に該当すれば相続税を納める必要があります。ここで言う「所定の条件」とは、「3,000万円+600万円×相続人の人数」(基礎控除額)を、「相続財産の合計額」が超える場合です。

この場合の「相続財産の合計額」の算出方法として、不動産が絡む場合には複雑な計算式を用いなければならないため、不安な場合は税理士などの専門家に相談するのも方法かもしれません。

事前に専門家に相談しておくのも一つの方法

これまでの説明で大体ご理解頂けたと思いますが、相続税の計算や各種手続きは大変複雑かつ多岐にわたる場合が多いため、このあたりの手続き全般を司法書士・税理士などの専門家に依頼するのも賢明な選択と言えるでしょう。

手続き全般を依頼しないまでも、現状を相談して、ある程度の指針を示してもらうことも可能です。「餅は餅屋」の言葉通り、こうした相続関連の複雑な書類作成や諸手続きは専門家に任せた方か効率が良いと言えるかもしれません。

相続の悩みは専門家に相談

必要な手続きや書類などはケースバイケースで異なる上に、素人には気付くことができない落とし穴もあるかもしれません。司法書士や税理士などの専門家に相談することで、相続人の悩みや負担を軽減することができる可能性もあります。

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