税金
2019.8.3

不動産投資の借入金と金利、確定申告で必要経費になる?

(画像=ITTIGallery/Shutterstock.com)
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賃貸物件を購入するにあたり、投資資金のすべてを自分で用意するのは難しいものです。そのため融資を利用するオーナーが多数でしょう。このときの借入金と金利は、個人オーナーの所得税の確定申告においてどのような取り扱いになるのでしょうか。

確定申告における不動産投資の借入金と金利の扱い

不動産投資物件の購入のための借入金と金利は、所得税の確定申告の際、次のように取り扱います。

・借入金
必要経費にならず、貸借対照表上の負債として計上

・金利(支払利息)
必要経費になり、損益計算書上の必要経費として計上

金利は必要経費となるため、管理費や修繕費などと同様、所得や税金を抑える効果があります。特に借り入れが発生した初年度や2年目は、借り入れの元本の額が大きいため、支払利息額も高額になりがちです。初年度から投資物件が満室で黒字が発生している場合、支払利息が必要経費として計上されることで所得(利益)が圧縮され、節税につながります。

また仮に初年度や2年目に赤字だったとしても、その赤字は翌年以後3年間に発生した所得と相殺したり、赤字が発生した年の前年の黒字と相殺することが可能です。

不動産所得が赤字だと金利部分は損益通算に算入できない

借入金の金利は常に節税効果を持つわけではありません。不動産所得そのものが赤字になった場合、必要経費となった金利のうち、土地購入のための借り入れに関するものは損益通算に用いることができません。損益通算とは、事業所得・不動産所得・山林所得において損失(赤字)が発生した場合、給与所得や一時所得、雑所得など他の所得の黒字と赤字を相殺することをいいます。

損益通算を行うことで総合課税の対象となる所得全体が圧縮されるのが特徴です。その結果、課税対象となる所得が低くなるだけでなく適用される税率も低くなる可能性があり、税金そのものを抑えられることになります。次の事例では土地購入のための借入金金利が損益通算できないことで、「税金面でどのような影響が出るのか」について考えてみましょう。

事例

・不動産所得での赤字が100万円(このうち土地購入のための借入金金利が70万円)
・オーナーは他に給与所得1,100万円がある
・所得控除合計は基礎控除を含めて150万円

もし不動産所得での赤字に土地購入のための借入金金利が含まれていなければ、納める所得税は次のようになります。

【土地購入のための借入金金利がない場合】
1,100万円(給与所得)+(-100万円(不動産所得))-150万円(所得控除合計)=850万円(課税所得金額)
850万円×23%-63万6,000円=131万9,000円

しかし不動産所得の赤字に土地購入のための借入金金利が含まれていれば、納める所得税額は次のようになります。

【土地購入のための借入金金利がある場合】
1,100万円(給与所得)+(-30万円(不動産所得)※)-150万円(所得控除合計)=920万円(課税所得金額)
920万円×33%-153万6,000円=150万円

※-30万円=-100万円(不動産所得そのものの赤字)-(-70万円)(土地購入のための借入金金利部分)

つまり土地購入のための金利が70万円あることで、所得税での節税効果が20万円前後なくなるのです。なお、この所得額は住民税の計算のベースにもなるため、税率10%の住民税でも10万円以上は節税効果が消えます。ただし建物を購入するための借入金金利にはこのような取り扱いはなく、すべて損益通算の対象です。

不動産投資物件の購入にあたり金融機関からの借り入れを検討する場合には、この借入金が「土地部分の購入資金なのか」「建物部分の購入資金なのか」について明確にしておくとよいでしょう。

別荘の賃貸による赤字も損益通算できない

さらに不動産所得が赤字になった場合、損益通算できないのは土地購入のための借入金の金利だけではありません。別荘のように趣味や娯楽、保養や鑑賞目的の不動産を貸し付けた場合の不動産所得の赤字も損益通算ができないこととされています。具体的には、別荘を賃貸に出した場合や賃貸に出した別荘を一時的に民泊利用する場合に発生した赤字は損益通算の対象となりません。

そのため不動産投資を行う場合には、「どういう物件を購入するか」「借入金を何にあてるか」について十分な検討が必要です。

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