税金
2019.10.28

賃貸不動産の相続……やるなら換価分割?代償分割?

(写真=LookerStudio/Shutterstock.com)
(写真=LookerStudio/Shutterstock.com)
不動産投資家が亡くなった場合、問題になるのが賃貸不動産の相続です。相続する現預金が少ない場合、特に重大な問題となりかねませんが、一体どのように対処したらよいのでしょうか。今回は、賃貸不動産の相続の問題と対処法について解説します。

不動産投資家が増加した今、課題は「相続」

日本経済の停滞や年金問題の深刻化とともに不動産投資を行う人が増えました。今後、課題になるのは「賃貸不動産の相続」です。土地神話が信じられていた時代なら尊ばれた賃貸不動産の相続ですが、今は重大な問題の一つになりつつあります。なぜなら相続財産が不動産ばかりで現預金が少ないとトラブルの元となるからです。

被相続人が不動産投資を積極的に行ってきた場合、相続財産のほとんどが不動産で現預金はわずかというケースも珍しくありません。しかし相続税の納付は原則金銭によることとされています。しかも被相続人の死亡から10ヵ月以内という短期間に納税しなくてはなりません。さらに不動産は現預金や有価証券に比べて分割の難しい財産です。

相続人が複数人いる場合、不動産は遺産分割協議において現預金のように平等に分けることが難しいため相続人同士の争いの原因になりかねません。家賃という果実を生む賃貸不動産はなおさら争いの対象となります。これらを踏まえたうえで賃貸不動産の相続を念頭に置いておくことが必要です。

現預金が少ないときの対処法

相続財産のほとんどが不動産で現預金が少ない場合は、トラブルを避けるための手段として「換価分割」「代償分割」のいずれかが検討されることがよくあります。それぞれの内容は次の通りです。

換価分割

換価分割とは、不動産など現物として遺された財産を売却して現金にし、その現金を相続人間で分ける方法を指します。分割しにくい現物の財産が分割しやすい現金に変わるため、相続人間の不公平が小さくなりやすい方法です。相続人の誰もが現物財産を受け継ぎたくないときなどに用いられます。

代償分割

代償分割とは、相続人の内の1人に不動産などの現物の財産を承継させ、承継した相続人が他の相続人に対して金銭を支払うことで遺産分割を行う方法です。承継した相続人に現預金の余裕がある場合や被相続人と同じく不動産投資に積極的である場合に活用の価値があります。換価分割も代償分割も遺産分割に現金をあえて登場させることで納税トラブルも遺産分割トラブルも小さくする効果があるのです。

いずれを選んでもよいのですが、相続した不動産の実勢価格が取得価額よりも高く、節税をしたいのなら代償分割を選んだほうがよいでしょう。

節税したいなら「代償分割」を選ぶべき理由

節税したいのならなぜ代償分割を選ぶべきなのでしょうか。なぜなら換価分割は相続税だけでなく所得税も納付しなくてはならない可能性があるからです。換価分割は現物財産自体を売却し、金銭に換えます。このとき売却益つまり譲渡所得が発生したら所得税と住民税を申告・納付しなくてはなりません。このときの譲渡所得と税額の計算は次のように行います。

譲渡所得の計算

譲渡所得の金額=売却代金-(取得費+譲渡費用)

所得税・住民税の計算

税率は不動産の保有期間によって次のように分かれます。

【所有期間が5年以下の場合(短期譲渡)】
譲渡所得の金額×39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

【所有期間が5年超の場合(長期譲渡)】
譲渡所得の金額×20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
※どちらも復興所得税を含む

例えば相続人AとBで不動産(取得費と譲渡費用あわせて3,000万円)を相続し、5,000万円で売却した場合、AとBはそれぞれの譲渡所得は(5,000万円-3,000万円)×2分の1=1,000万円となります。この1,000万円に課される所得税・住民税を申告・納付することが必要です。相続税の申告期限から3年以内に相続した不動産を売却した場合、納付済の相続税の一部を譲渡所得計算上の取得費に加算することができます。

ただ「所得税・住民税を支払わなくてはならない」「売却に際し手数料や手間が別途かかる」といったことなどを考えると換価分割は熟慮が必要だといえるでしょう。

共有はできれば避けよう

現預金が少ない場合の不動産の相続方法には、もう一つ「共有」という方法があります。相続人で一つの不動産を共有し、ともに管理していくのですが、これはあまりおすすめできません。なぜなら改装や契約など一つ一つの法律行為に共有者全員の同意が必要であるうえ、共有者の子どもや孫に持ち分が承継された後、トラブルの元となりやすいからです。

賃貸不動産は自宅と異なり収益や経費が発生するだけでなく、さまざまな法律行為が求められます。どのような相続を選択するにせよ慎重になったほうがよいでしょう。
 

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