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2019.6.26

働くと年金が減る在職老齢年金 「不労所得」なら満額もらえる

(画像=Brian A Jackson/Shutterstock.com)
(画像=Brian A Jackson/Shutterstock.com)
働く高齢者が増えています。仕事をする理由で最も多いのは、「収入を得るため」です(厚生労働省「平成24年版労働経済の分析」より)。会社から受け取る給料が多ければ多いほど、同時期に支給される年金が少なくなる「在職老齢年金」の仕組みは、高齢者の就業へのモチベーションを下げているという指摘があります。しかしある方法を使って「働かずに稼ぐ」のであれば、年金が減らされることはありません。

月給30万円で働くと年金が月10万円減らされることも

まずは、働くほどに年金が減る在職老齢年金の仕組みについて説明します。

在職老齢年金は、給料収入と厚生年金の「2本立ての収入」があるときに、年金の一部または全部が支払われなくなる制度です。

つまり「厚生年金を支給されており、かつ会社から給料をもらっている」人が対象となります。

支給停止額の計算方法は年齢や給料収入、年金の額によって異なります。簡単に書くと、65歳未満で「給料と1か月当たりの年金額の合計」が28万円以下の場合、65歳以上で同じく47万円以下の場合であれば、年金を全額受け取ることができます。この「28万円」「47万円」という数字は「支給停止調整開始額」などと呼ばれ、賃金や物価の変更に応じて年に1回見直されます。

例えば64歳、1か月当たりの年金額が18万円、月給が30万円で、直近1年間にボーナスがなかった人の支給停止額は次のようになります(給料は、厳密には標準報酬月額と直近1年間の標準賞与額を含めた総報酬月額相当額です)。

(【給料】30万円+【1か月あたりの年金】18万円-【支給停止調整開始額】28万円)÷2=10万円

支給停止額は10万円となります。月30万円もらうはずだった給料が、10万円減らされて20万円になるようなものです。

この金額は無視できないでしょう。

給料以外の収入なら年金は全部もらえる

在職老齢年金の対象となるのは、厚生年金の被保険者です。つまり会社に雇用されて働き、厚生年金保険料を納めている人が、年金の支給停止を受けるのです。

そのため投資による収入や、自営業者の事業収入、個人年金、宝くじに当たったり保険解約収入があったりした場合、在職老齢年金による支給停止はありません。もちろん不動産投資による家賃収入も同じです。

ちなみに国民年金には支給停止の仕組みがありません。もともと自営業者は定年がない代わりに、厚生年金と比べて支給額が少なくなっているというスタンスなので、当然といえば当然です。

また、厚生年金の被保険者になると、給料から社会保険料が引かれます。額面の年収に比べて、手取りが思ったほど少ない、というのは「サラリーマンあるある」なのではないでしょうか。給料以外の収入には、健康保険と厚生年金保険が発生しません。家賃収入などには、稼いだお金がそのまま手に入るという魅力があります(所得税などは当然発生します)。

大家とサラリーマン、どちらの働き方がよい?

定年後に再雇用されて月収30万円で働いている人と、不動産による家賃収入が月額30万円ある人の違いを想像してみてください。体力の衰えにもめげず毎日会社に行って働いても、その分だけ収入が増えるわけではありません。在職老齢年金の一部支給停止があるからです。一方、同じくらいの収入があっても、不動産によるものであれば、年金は満額を受け取れます。それに家賃収入はいわゆる「不労所得」です。就業に伴う通勤ラッシュや、わずらわしい人間関係などはありません。

働く理由には、やりがいや健康維持など、お金以外の部分もあります。ただ、将来を考えるうえで、このような制度上の違いは、1つの判断材料になるでしょう。

在職老齢年金は、厚生年金の支給を減らし、年金制度を維持するための仕組みといえます。年金制度崩壊のリスクが叫ばれる昨今、この制度から独立した収入を得ることは、老後のリスクを減らすことにつながるのではないでしょうか。

なお、在職老齢年金は、廃止を含めて見直しが検討されています。年金をもらい始める65歳までまだまだ時間のある若い人は、参考程度にとどめておいてください。
 

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