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2019.7.27

2019年分「路線価」から見える不動産トレンド なぜ人口減少社会なのに好調?

(画像=Syda Productions/Shutterstock.com)
(画像=Syda Productions/Shutterstock.com)
路線価は、地価の動向を知るための参考指標の一つです。2019年分は全国の平均変動率が4年連続でプラスとなり、上昇率も拡大しています。その原動力は「旺盛な投資意欲」と「好調なインバウンド(訪日外国人)」です。詳しく見ていきましょう。

全国の路線価は4年連続プラス 平均変動率は1.3%上昇

毎年7月1日に発表され、相続税や贈与税の算定基準になる路線価。公示価格(毎年3 月に発表)とともに、地価のトレンドを知る上で欠かせない指標です。

2019年分の路線価で特筆すべきは、全国約32万ポイントの平均変動率がプラス1.3%だったことです。4年連続のプラスで、上昇幅は過去4年で最大でした。

日本の不動産は、人口減少社会の影響で資産価値の低下が懸念されています。また、近年東京を中心とする首都圏の不動産価格が上昇トレンドだったため、反動による急落リスクが心配されています。それにも関わらず、路線価が上昇し続けている理由は何でしょうか。首都圏と地方(全国)の路線価の中身を確認してみましょう。

首都圏の路線価:全体で6年連続のプラス 東京都の上昇率は4.9%

首都圏の2019年分の路線価は、すべてのエリアで前年比プラスになっています。上昇率は以下の通りです。

東京都:プラス4.9%
神奈川県:プラス0.9%
千葉県:プラス1.0%
埼玉県:プラス1.0%

全国で見ると平均変動率は4年連続でプラスですが、首都圏に限ると6年連続でプラスです。特に東京都の上昇率は4.9%と力強い伸びを見せています。路線価で見る限り、地価下落の兆候は見られません。

首都圏を含む大都市の地価動向に大きな影響を与えるのは、外国人投資家と国内富裕層の動きです。特に外国人投資家の投資意欲には波があるため、動きをしっかり見ていく必要があるでしょう。

現在の外国人投資家の投資意欲は、見方によって楽観的にも、悲観的にもとれます。

不動産サービス大手のJLLの調査によれば、直近の商業用不動産の取引額は前年比17%のマイナスでした(2019年1−3月期)。この結果だけ見ると、外国人投資家の国内不動産への投資意欲は減退しているように見えます。

一方で、「取引額減少は、(不動産市況が好調なため)取引市場に出る大型不動産が少なくなっていることが原因」と分析する有識者もいます。

地方の路線価:上昇の鍵を握るのはインバウンド

全都道府県で見てみると、2019 年分の路線価が上昇したのは19都道府県で、下落したのは27県でした。つまり、上昇したエリアよりも下落したエリアのほうが多かったということです。

それにも関わらず、全国の平均変動率が1.3%プラスになっているのは、「上昇エリアの上昇幅が大きいこと」「下落したエリアの下落幅が小さくなっていること」が理由として考えられます。

地方の路線価の明暗を分けた要因の一つに、訪日観光客があります。インバウンドが好調なエリアは路線価が上昇、伸び悩んでいるエリアは停滞または下落しているようです。

地方で路線価が上昇しているエリア

インバウンドが好調で地価が上昇しているエリアの代表は大阪です。近年の大阪市内の路線価上昇は、訪日外国人で賑わう繁華街ミナミを中心に顕著です。さらに2019年分では、JR大阪駅近くのキタでもオフィスニーズが高まっていることがわかります。

今後は、万博開催地に決まった夢洲を中心とする「ニシ」エリアや、世界文化遺産に選ばれた堺市・羽曳野市・藤井寺市など、大阪の広域に地価上昇の波が波及するかどうかが注目されています。

また、大分県別府市は路線価の上昇率が前年比で10%を超えました。もともと温泉の魅力を海外にPRする戦略で成功していた別府市ですが、航空便の増発や今後開業が予定されている星野リゾートの高級旅館、ANAインターコンチネンタルのラグジュアリーホテルなどの魅力が加わり、さらに勢いを増す可能性があります。

同じ投資でも、株式や投資信託は長期化する米中の貿易摩擦の影響で不安定です。一方で、地価(不動産)は堅調です。ポートフォリオがペーパーアセットに集中している人は、不動産への分散投資を検討してみてはいかがでしょうか。
 

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