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2019.7.26

米国国防総省が利用する「不動産情報モデル(RPIM)」とは?

(画像=Things/Shutterstock.com)
(画像=Things/Shutterstock.com)
世界最大規模の不動産ポートフォリオを誇る米国国防総省は、「不動産情報モデル(RPIM)」と呼ばれるシステムを利用し、膨大な数の物件や領土の効率的な管理・運営を目指しています。

内部データ分析および統合サポートDAISの役割

米国国防総省が世界30ヵ国を超える国・地域において所有する不動産ポートフォリオは、施設数500以上、建物および建造物50万以上、領土は数百万エイカーに上ります。施設や不動産の売買など、ポートフォリオの変更点はその都度データベースに反映される必要がありますが、これほどの規模の情報を精密かつ効率的に管理するためには、高水準な不動産データシステムが必須です。

そこで、ビジネスシステム・情報総局(BSI)が提供する、内部データ分析および統合サポート(DAIS)が活用されています。

所有不動産の法的権限はあくまで米国国防総省の管轄下に置かれているものの、DAISは実質上、不動産や資産情報などに対する、公式なリポジトリ(保管所)としての役割を担っています。主に、不動産情報共通プラットフォームの提供のほか、不動産固有識別子(RPUID)や敷地固有識別子(RPSUID)の発行、米国行政管理予算局(OMB)および議会の報告に使用される年次統合不動産資産データベース(RPAD)などに基づく、年次報告書の作成などを行っています。

最新の情報を簡単に共有できる「不動産情報モデル(RPIM)」

DAISはほかにも、物件情報の追跡および米国国防総省への年次報告を目的とする、不動産情報モデル(RPIM)というシステムを導入しています。これは一般の不動産業者などが、土地、建物、建造物、プロジェクト、不動産契約、資産に関する情報を、オンライン・プラットフォームから入力できるというデータ共有システムです。

情報提供者は、IBMがRPIMのパフォーマンスを向上させるために開発した「TRIRIGA」 というマネジメント・ツールを利用し、不動産関連情報を入力します。TRIRIGA自体はIBMが商業向けにも公開しているデータマネジメント・ツールで、資産だけではなく組織やロケーション、HR(人事)などの領域にも利用可能です。

RPIMを利用する際は、[全般]タブでRPIM機能を有効化し、必要な不動産情報を入力するだけで、自動的に年次報告書に反映され、その報告書が毎年米国国防総省に転送されるという仕組みです。例えば、増築工事が完成した建物の情報を修正する場合、まずは対象となる建物の詳細をRPIMのデータベースから検索し、そこに新たな情報を追加します。あるいは、新たに営業を開始する物件に対し、実施した検査作業の内容や結果を入力すると、その情報がRPIMのデータベースに反映されます。

このように、全米の不動産業者がオンラインプラットフォームを利用して、自主的に情報を入力・更新することで、国家規模で不動産データの品質向上が期待できると同時に、管理が容易になります。

IBMはもう一つ、「連邦不動産プロフィール(FRPP)」という、連邦政府専用オンライン物件管理データ保管システムを、TRIRIGA上で提供しています。こちらは政府関連機関が規定された形式のファイルを利用して連邦データを毎年報告する、あるいはTRIRIGA上で追加情報を入力・管理するというものです。

データの正確性および完全性の向上が今後の課題

こうしたさまざまな取り組みが、不動産ポートフォリオに関するタイムリーで価値ある情報へのアクセスをサポートする、オープンな環境づくりに貢献しています。

しかし、「完璧な不動産データシステム」として機能するためには、まだまだ改善の余地がありそうです。

実際、2014年から2018年にわたり、米国国防総省の不動産資産データベース(RPAD)の正確性に対する調査を実施した米議会の付属監査機関GAOは、2018年11月に発表した報告書の中で、「2014年と比較すると一部のデータの精密度には向上が見られる」ものの、「不正確なデータと完全性の欠如」が依然として残っている点 を指摘しています。これらは今後の改善策を検討すべき、重要な課題となるでしょう。
 

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