巨大再開発続く「東京」は不動産市場に先高観あり
(画像=numa0417bb/Shutterstock.com)
丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

一時、東京五輪終了後の不動産市況の冷え込みが心配された東京ですが、各地で巨大な再開発が実行、または計画され、一転して先高観が出ています。インバウンドも好調で人口も増加予測と、好材料の多い東京の不動産市場の最前線を探ります。

一転!五輪終了でも東京の不動産は下がらない?

これまで、東京の不動産市場は東京五輪がピークで、その後は下落するというのが一般的な見方でした。しかし、各地で老朽化した施設のインフラ整備計画が発表され、渋谷に対抗すべく他の主要な繁華街でも再開発が進むなど、不動産市場はむしろ活性化の様相を呈しています。

今後再開発ビルが続々とオープンすれば、労働人口も増え続けることになります。居住用物件も含め、不動産市場には先高観があるのです。

人口減社会でも東京は増加の見込み

その予想を裏付けるデータがあります。国立社会保障人口問題研究所が予測した「日本の地域別将来推計人口」によると、2015年を100とした2045年の全国平均が83.7%まで減るのに対し、東京は100.7%と全都道府県で唯一増加する見込みとなっています。

人口減対策が日本経済にとっての課題ですが、東京だけは例外のようです。将来、東日本では人口の東京一極集中が進む可能性があり、それを見越した投資がすでに始まっているのかもしれません。

どんなプロジェクトが進んでいるのか

東京各地で現在進行中の主なプロジェクトを見てみましょう。

  • 「渋谷駅周辺再開発事業」
    東急グループが主導し、渋谷駅周辺の9つのプロジェクトが進行中。主な施設は東京五輪前の2019年11月までに開業しますが、再開発は2024年まで続きます。

  • 「晴海フラッグ(HARUMI FLAG)」
    史上最大規模のマンション開発として話題になっているのが、中央区晴海のオリンピック選手村跡地に建設予定の「晴海フラッグ」です。総住戸数5,632戸(うち分譲4,145戸)という巨大な物件で、事前案内会では前評判も上々のようです。

  • 「神宮外苑地区市街地再開発事業」
    2019年5月に突然発表された事業です。この地区は都市公園と風致地区に指定されており、再開発には規制もあることから、この発表は関係者を驚かせました。神宮球場、秩父の宮ラグビー場、伊藤忠商事本社など、新国立競技場南側一帯を段階的に建て替える超巨大プロジェクトです。完成予定は、2024年に新秩父宮ラグビー場、2026年度に伊藤忠商事新東京本社ビル、2027年度に新神宮球場の順番で、その他の施設を含めて2030年度に全体が完成する予定です。

  • 「虎ノ門・麻布台プロジェクト」
    日本を代表するビジネス街である虎ノ門では超高層ビル開発が目白押しですが、中でも規模が大きいのが「虎ノ門・麻布台プロジェクト」です。地上64階のメインタワー、同じく64階の西棟、53階の東棟の3つのゾーンで構成され、大型商業施設やホテル、インターナショナルスクール、ミュージアム&ギャラリーなどが入居する予定です。

  • 「池袋地区再開発事業」
    池袋地区の再開発は、東京五輪開催前の2020年春に完成する予定です。再開発のコンセプトは「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」で、中核施設となる「Hareza池袋」にはホールやシネコンなど8つの劇場が入居します。昔から文化都市として知られる、豊島地区らしい再開発と言えます。

さらなるインバウンドを呼び込み好循環へ

外国人観光客の目的は、京都・奈良といった日本情緒溢れる名所を訪ねる「観光派」と、家電・化粧品などを求めるショッピングやレジャー施設を楽しむ「エンタメ派」に大別されます。

東京の再開発はエンタメ派の旅行客にとっては魅力的な施設が増えることを意味し、リピーターの増加につながることから、再開発がさらなるインバウンドを呼び込むという好循環が生まれることが期待できます。

東京五輪で初めて日本に来る旅行客に対しては、東京の魅力を認識してもらう最高の機会になります。東京の本領発揮は、まさにこれから始まるのです。

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