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2019.10.7

ダイナミックプライシングとは? Jリーグやプロ野球でも導入開始で注目

(画像=PIXTA)
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需要と供給によって価格を変動させる「ダイナミックプライシング」。海外では盛んですが、日本でも導入する企業が増えてきました。そこで今回はダイナミックプライシングにはどのようなメリットがあるのか、仕組みなどについて具体的に紹介します。

ダイナミックプライシングとは何か

ダイナミックプライシングとは、需要と供給に応じて金額を変動させる価格設定システムのことです。例えばスポーツ観戦においては、人気の高いチームの試合でも人気の低いチームの試合でも一律料金である場合が多くチケットの売れ行きにバラツキが生じます。そこで人気の高い試合では料金設定を高くして収益を増やし、その分不人気の試合では料金を下げることによって集客力を高めるというのがダイナミックプライシングの基本的な考え方です。

ホテル、航空などではすでにおなじみ

仕組みそのものは、一部の業界ですでにおなじみです。例えばホテル業界では予約が集中する休前日は高い料金を設定し、空室が出やすい平日の料金を安く設定することで閑散期の需要を喚起しています。また航空機のチケットや旅行会社のツアー商品も繁忙期・閑散期で価格が変動するのはご存じの人も多いでしょう。

さらに米国ではスポーツやコンサートなどの興行でもダイナミックプライシングによるチケット販売が一般的です。日本ではまだ興行での実施はあまりありませんが、最近になってスポーツ興行でダイナミックプライシングを取り入れる企業が出てきています。

プロ野球など興行系では今後増えそう

プロ野球の福岡ソフトバンクホークス、Jリーグの横浜F・マリノスなどがダイナミックプライシングを利用したチケット販売を実施しています。各社の導入した仕組みはAI(人工知能)を利用したこれまでにない新しい形です。休前日や年末年始など繁忙期がわかりやすいホテルや旅行などと違い、スポーツ興行は席種や対戦カードもさまざまなため判断する条件が複雑でした。

そこで過去の販売実績データをAIが学習することによってチケットの売れ行きを予測し、最も収益が上がる最適価格を算出できるシステムを導入したのです。チケット価格変動の仕組みをJリーグ興行、横浜F・マリノスの場合で見てみましょう。2019年度におけるマリノスの本拠地日産スタジアムの最上級席であるメインSSS席一般の標準価格は5,900円です。

ダイナミックプライシングでの販売初日は標準価格からスタートします。初日の販売が好調だったため、2日目の販売価格は6,500円に上昇。この価格でも買い手が多いため、3日目はさらに上がって7,500円といった具合に変動するのです。しかしこの価格になると売れ残りが出たため、4日目の価格は7,000円に下がりました。このあと販売期間終了に近づくにつれて価格は下がっていく傾向になります。

興行側としてはこれまでの固定価格では、売れ残ると予測できても値下げして売り切ることができませんでした。価格を需要に合わせて調整できるダイナミックプライシングは今後興行系の企業では導入が増えるかもしれません。

ダイナミックプライシングのメリットは?

以上見てきたようにダイナミックプライシングのメリットは主に興行側にありますが、買い手側にメリットはあるのでしょうか。

買い手側のメリットとしてまず1点目に、転売目的の購入が少なくなることが挙げられます。固定価格での販売では人気の音楽興行などで転売業者が大量に買い占め、元値の数倍で転売するという行為が日常化していました。これがダイナミックプライシングであれば、人気の興行は価格が上がるため、業者も高値で買うことになり、差益を得にくいことから買い占めは減ると見られています。

買い手側のメリットのもう1点は、販売終了が近い興行の残席を安く購入できることです。スポーツだけでなく音楽や演劇なども、人気興行以外は多少の残席が出るのが一般的でしょう。したがってどの席種でもよければ、安くなるのを待って購入するという選択肢が増えることになります。

このように興行側、買い手側、双方にメリットの見込まれるダイナミックプライシングですが、一方で結局はオークションと同じような価格形成になるという見方もあるため、今後日本でもダイナミックプライシングが普及するにはまだまだ課題がありそうです。

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