こんにちは!YANUSY編集部です!

これから投資をはじめようとする方、始めた方を対象に、「不動産クラウドファンディング」の投資商品としての仕組みやメリット、リスクなど、投資スタート前に知っておいていただきたい情報を一通りご紹介します。

本記事では、「そもそも、不動産クラウドファディングって、どういうもの?」という疑問に、法制度や他サービスとの比較を通じてお答えします。

また、徹底解説記事シリーズでは、投資家のニーズやタイプごとのおすすめの不動産クラウドファンディングサービスの他、投資にはつきものの「リスク」を深堀りした上で、その対処方法についてもご紹介していきますので、投資検討の際に是非ご参考として下さい♪

目次

  1. 不動産クラウドファンディングの魅力とは?
  2. 不動産クラウドファンディングとは? ①投資家を守る法制度や規制について
    1. サービス提供事業者に必要な免許(許可/登録)
    2. 契約条件(約款)の審査制度と優先劣後構造
    3. 不動産特定共同事業法(不特法)の歴史
  3. 不動産クラウドファンディングとは? ②他の投資商品との比較
    1. 融資型クラウドファンディングとの比較
    2. 融資型クラウドファンディングと比較してのメリット
    3. 融資型クラウドファンディングと比較してのデメリット・注意点
  4. 不動産クラウドファンディング 特集記事リンク集
  5. まとめ・編集部コメント

不動産クラウドファンディングの魅力とは?

投資といえば、今注目のNISA制度が頭に浮かぶ方が多いと思います。
「株や投資信託に投資したら、資産が3割増えた」「10倍になる株がある」といったニュースを聞くと魅力を感じますが、投資の世界では、短期間で利益が出る商品では、短期間で損失が出る可能性も同様に高くなります。
インデックス投信を利用することで一定のリスク分散はできるものの、市場の浮き沈みや為替影響がダイレクトに連動する、ハイリスクハイリターンな投資商品です。
これは、株式や投資信託では、「株価」や「基準価格」が常に変動し、その価格で売買されるため、価格変動によって、大きな利益や損失が出るためです。

一方で不動産クラウドファンディングでは、投資口には市場で流通する際の基準価格がなく、投資後は定められた運用期間の出資を継続し、期間終了時に、「元本の償還」と、「利益からの配当」を得る、という仕組みとなっています。

そのため、不動産クラウドファンディングでは「配当利回り」が投資で得られる利益の上限となり、現在の市場では概ね、「3%程度~9%程度」の利回りが得られる商品となっています。

投資された出資金を元に不動産の運用を行うため、不動産の想定外の値下がりや運用費用の増大などにより損失が生じるリスクがありますが、不動産クラウドファンディングの多くでは、「優先劣後構造」という仕組みで、損失を優先的に事業者が負担する仕組みが取られており、投資家の元本が一定の条件までは守られます。
不動産事業において30%~40%の損失生じても投資家の元本が守られるような安全設計の商品もあり、現在の不動産市況を考慮すると、投資家に損失が出るケースは、大災害で建物が全壊したケースや、ファンドの償還前にファンドを運営する不動産会社が倒産したケースなど、かなり限定されたケースのみとなります。

限定されたケースとはいえゼロではないので、投資にまわせる資金が100あるなら、段階的に10~20ずつ異なるサービスに投資していけば、万が一の際にも損失を限定できる上、損失がなければ、予定配当が全て得られます。
全ての資産を株や投資信託に投資する人はいないと思いますが、残りの資産を貯金や現金でおいておくより、利回りを得る堅実な投資商品に投資するのはいかがでしょうか?

不動産投資というと難しそうに感じますが、不動産の運用はプロの不動産会社が全て実施しますので、①会員登録を行い、投資に応募し、③当選したら指定口座に入金することで出資が完了し、後はファンドの償還を待つだけ、と、一度手順を覚えてしまえば、大きな手間もかかりません。

不動産クラウドファンディングの魅力 まとめ
  • 不動産の運用・売却はプロに任せて、投資家は利益から配当が得っれる投資商品
  • 株のように投資元本の値動きがなく、優先劣後構造で守られるため、堅実な利回り投資に向く
  • とはいえ、元本は保証されないので分散投資は重要

投資商品としての魅力や特性については詳しくはこちら:不動産クラウドファンディングのはじめ方

不動産クラウドファンディングとは? ①投資家を守る法制度や規制について

不動産特定共同事業法(不特法)に基づき、国土交通省・都道府県から事業の許可を取得、または登録を承認された事業者が提供可能な投資サービスです。

不特法事業の許可、登録には許可基準があり、一定の財務的基盤(直近の決算が黒字であることなど)や事業管理体制や約款の適合性など、一定の基準を満たした事業者のみが提供可能なサービスとなっています。
事業者は行政に許可された約款に従って投資家との投資契約(匿名組合契約)を締結する義務がありますので、不合理な契約条件であるというリスクが抑制されている点は大きなメリットでしょう。

不動産の開発や改修、維持管理や入居者対応などは全て事業者が行いますが、投資家から集めた資金の使途は、対象不動産の取得や開発・運営に関わる用途に限定されており、事業者の運営資金など目的外に流用することが禁じられています。銀行口座も別管理が必要ですので、「対象不動産の運営・開発事業に投資し、投資家はその事業で得られた利益から配当を得ることができる」というサービスになります。

サービス提供事業者に必要な免許(許可/登録)

不動産会社が不動産クラウドファンディングサービスを提供するためには、不特法に基づき、国土交通大臣または都道府県から許可の取得、または、登録が必要になります。

以下の表ではサービス提供者が多い2つの免許について、それぞれの概要を比較しますが、1億円以下の出資しか受けられない小規模事業者と、1億円を超える出資を受けられる1号事業者が存在します。

1号事業 小規模事業
事業免許 許可制 登録制
資本金要件 1億円以上 1000万円以上
財産的基礎及び人的構成要件
約款規制/審査
会計士監査義務
免許取得の手続き 審査有り 届出
(ただし、要件を満たすことが必要)
投資募集条件 出資合計額が1億円以内
(一人あたり100万円以内)

1号事業者は、大きな出資額に対応できる分、免許は「許可制」となっており、個人投資家の出資金を扱うにふさわしい不動産事業のノウハウや人員体制、財務基盤を有しているか、法律に基づき国土交通省または都道府県の審査を経て、許可を得る必要があります。

小規模事業者では、個人投資家の出資金の規模が限定されるため、「登録」により事業が可能になりますが、登録の届出時に、法律に基づき、事業者として求められる要件を満たすかをチェックされ、要件を満たさない場合には登録を受けられません。

財務基盤の審査では、例えば「直近3年間の決算を提出」したうえで、「直近の決算期で赤字ではないこと」などの定めがありますので、資金繰りが苦しい企業が新たに免許を取ることは簡単ではない仕組みとなっています。

なお、1号事業者については会計士監査済みの決算書の提出が必須となっています。
上場起業ほど厳しい監査を受けているとは限りませんが、第三者の監査を経ているという点は、小規模事業免許に比べて決算の信頼性が高く安心感があります。

契約条件(約款)の審査制度と優先劣後構造

免許には複数の種類がありますが、共通のルールとして、個人投資家との契約は、免許取得時に審査された「約款」に定める条件で締結する必要があります。
行政が「モデル約款」を提供しており、かつ、そのモデル約款からの変更点は審査時にチェックされますので、投資家にとっても合理的な条件であることを行政が認めた契約条件での契約となっているはずです。
一般の投資家にとっては不特法の契約条件全てを理解することは難しいですが、行政の事前審査により悪質な条件では契約できないため、投資初心者にも安心です。

また、この制度がもたらしたメリットして、モデル約款において優先劣後構造を取る場合の契約条件例が記載されていることがあります。
優先劣後構造の契約条件は投資家にとってはもちろん、不動産会社にとっても難解な記載となるのですが、モデル約款通りで良いのであれば、約款の申請時にも悩む必要がありません。

現在では、不動産クラウドファンディングの事業者の多くが、「優先劣後構造」を取り、ファンドで損失が出た場合に、事業者(劣後出資者)がまず損失を負担する仕組みとなっています。
劣後出資比率が10%であれば、不動産の売却額や賃料が想定より10%下落しても、投資家の元本が守られます。

これにより、投資家のリスクが大きく抑制されているのは、不動産クラウドファンディングの大きな魅力です。

※サービスやファンドごとに劣後出資比率は大きく異なるため、必ず確認しましょう。

不動産特定共同事業法(不特法)の歴史

不特法は法律の他、規則やガイドラインにより、事業者に詳細なルールを課し、投資家保護や地域の老朽化不動産の再生などに貢献してきています。

・1995年まで:
多様な事業者が「不動産小口化商品」を提供していましたが、バブル崩壊により多くの事業者が倒産し、投資家に損害を与えてしまいました。

・1995年より:
投資家保護のため、現物不動産を対象資産とした不動産小口化商品の扱いに関して、新たな法規制として制定、施行されました。

・2013年より:
不動産会社が免許を持ち、匿名組合の営業者としてファンドを運営する1号事業では倒産隔離がされないため、新たに「倒産隔離スキーム」(※)が制定されました。

・2019年より:
Webサイトを通じて投資家からの出資を募る「電子取引業務」に関するガイドラインが策定されました。
事業者が守るべきルールや運用体制などが定められたため、事業者にとっては電子取引業務の認可を受けるために必要な条件が明確となり、多様なクラウドファンディング事業者の登場につながりました。

※本記事では詳しく紹介していませんが、ファンド運営のみを行うSPC(合同会社等)が特例事業者として、届出により事業が行える変わりに、ファンドが行う不動産取引や出資の募集行為を行う事業者に免許(3号・4号事業の許可)が必要な仕組みとすることで、倒産隔離を実現します。

<関連する法律・規則・ガイドライン等>
 ・不動産特定共同事業法はこちら
 ・不動産特定共同事業法施行規則はこちら
 ・不動産特定共同事業法施行令はこちら
 ・不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインはこちら

不動産クラウドファンディングとは? ②他の投資商品との比較

融資型クラウドファンディングとの比較

不動産を対象とした投資商品として、融資型クラウドファンディングや、ソーシャルレンディングと呼ばれる商品も存在します。

一見して違いがわかりにくいですが、現物不動産に対する投資を対象とした投資商品は全て不動産特定共同事業法が適用されますので、融資型クラウドファンディングで不動産関連の投資商品が扱われるものとしては、例えば以下のようなものが存在します。

・不動産ビジネスを行う企業向けの融資債権に対する投資商品
・不動産担保ローン等に対する投資商品(デット型/エクイティ型)

ソーシャルレンディングは不特法ではなく金融商品取引法等の法律により規制されており、はモデル約款があるわけではないため、商品設計も契約条件も多様で比較が難しいですが、特長的な違いを表で示します。

不特法クラファン ソシャレン(不動産担保無) ソシャレン(不動産担保有)
資金使途の限定 法律上必須
(別口座での管理が必要)
契約次第 契約次第
倒産時の不動産担保 無し 無し 有り
特長 ◎投資対象不動産が明確
◎不動産の売却損益は投資家に帰属
×事業者倒産時には担保権無
〇貸出条件は契約次第
 (不動産に出資ではない)
◎債務不履行時には不動産が担保に
〇貸出条件は契約次第
 (不動産に出資ではない)
〇貸出先の債務不履行リスクに対して担保無し

融資型クラウドファンディングでは融資先企業や裏付け債権に対する融資や投資となりますが、不動産クラウドファンディングでは、ファンド運営者が取得する対象不動産に対する出資となります。

不動産クラウドファンディングでは、対象となる投資先不動産が明確なため、投資先の資産価値やビジネスの中身を把握し、投資判断できますが、投資家は対象不動産に対する担保権(抵当権)を持ちませんので、投資先ファンドの運営企業の信用力もチェックする必要があります。

融資型クラウドファンディングでは融資先を詳細に把握できないケースがありますが、不動産担保付きの場合、融資先企業の倒産時に不動産を売却して得た資金を投資家は優先的に受け取ることができます。
ただし、担保となっている不動産がいくらで売れるか、や、投資額に対して十分な担保価値があるという保証はありませんので、投資条件詳細を確認し、リスク判断が必要です。

なお、これ以外にも、不動産私募ファンドやJ-REITなども不動産を対象とした投資商品になりますが、私募ファンドは主にプロ向けの商品ですし、J-REITについては証券会社等で情報が得られますので、ここでは扱いません。

融資型クラウドファンディングと比較してのメリット

融資型クラウドファンディングと比べた場合の、不特法に基づく不動産クラウドファンディングのメリットを2つ解説します。

投資対象となる不動産が必ず明確にされている
 対象不動産の購入価格や資金使途などの情報開示がありますので、投資対象が明確です。
 外部の目にさらされるため、不適切な価格設定やビジネスモデルが不明瞭な場合に、SNSやWebメディアで不動産に詳しい投資家の意見を参考にすることが可能です。
 せっかくですので、「知名度」や「これまでの実績」だけではなく、しっかり投資対象を確認しましょう。
 また、YANUSYでは個々のサービスやファンドの特長やリスクを解説している他、投資家間の情報交換に利用できる掲示板機能もありますので、参考としていただけますと幸いです。

当該不動産の運用等以外に出資金を流用することが困難な仕組み
 事業者は出資金を運用するための銀行口座を用意し、出資金はそこで分別管理することが義務付けられています。
 そのため、契約条件で定めた資金使途以外で口座から出金すると、監査等でばれてしまいますし、事業者は免許を失ったり、処分を受けるリスクがあります。

融資型クラウドファンディングではこれまで、目的外流用による損失事例が複数回に渡って生じていますので、目的外流用が困難な仕組みがある点は不特法に基づく不動産クラウドファンディングの大きな魅力です。

 また、不動産クラウドファンディングでは、出資金の多くを対象不動産の購入に用いるケースも多く、そもそも、目的外に使える余剰資金を集めているケースが少なく、この点も契約書を見れば確認することが可能です。

融資型クラウドファンディングと比較してのデメリット・注意点

融資型クラウドファンディングと比べた場合の、不特法に基づく不動産クラウドファンディングのデメリットを2つ解説します。

ファンド運営事業者の倒産時、不動産が担保とならない
 不動産担保付きの融資型クラウドファンディングと対比したデメリットとしては、事業者の倒産時に、対象不動産の担保権がない点があります。
 せっかく良い不動産に投資しても、運営事業者の倒産時には、対象不動産の売却で得た資金を、投資家が優先的に受け取る権利がない、ということになります。
 そのため、不動産クラウドファンディングでは、対象不動産に加えて、運営企業の信用力についても注意を払う必要がありますし、投資先サービス・企業を分散させることが重要になります。

・投資先サービスごとに会員登録や口座登録が必要
 不動産担保付きの融資型クラウドファンディングでは、「プラットフォーマー」と呼ばれるような、多くのファンド運営事業者のファンドをまとめて提供するサービスがありますが、不特法に基づく不動産クラウドファンディングではほとんど存在せず、投資先事業者ごとに会員登録が必要です。
 分散投資が重要な不動産クラウドファンディングにとって、会員登録の手間が大きいのは、案外大きなデメリットになっています。

安全性にこだわって投資したい方はこちら:おすすめクラウドファンディング徹底解説 ①安全性重視の方向け

不動産クラウドファンディング 特集記事リンク集

YANUSYでは、投資に関わる基礎知識やノウハウ情報に加えて、投資家のニーズやタイプごとにサービスを比較し、おすすめの不動産クラウドファンディングサービスをご紹介していきます。
ご自身の投資ニーズにあったサービス探しにお役立ていただければ幸いです♪

まとめ・編集部コメント

不動産クラウドファンディングには高利回りのファンドもあり、なんとなく不安を感じていた方もいると思いますが、仕組みをしっかり理解すれば、投資家のリスク許容度に応じて多様なサービスから投資先を選べますので、魅力的な分散投資先が見つかるのではないでしょうか?

この機会に、ますは会員登録から始めてみてはいかがでしょうか。

※本サイトは不動産投資、クラウドファンディング等に関する情報共有を目的としており、投資勧誘や助言を行う物ではありません。
※元本保証のない投資商品への投資に際しては、元本割れリスク確認した上で投資をご検討下さい。