融資型とファンド型のクラウドファンディングは、一見するとよく似た仕組みに感じられます。しかし根本のお金の流れや考え方を把握すると「似て非なるもの」ということがご理解いただけるはずです。

ファンド型クラウドファンディングの仕組み

ファンド型のクラウドファンディングは、ファンドを組成して特定の事業に必要な資金を投資家から募る仕組みです。 融資型クラウドファンディングの場合、投資家は元本+利息を受け取ることができます。一方、ファンド型のクラウドファンディングは、事業の成果に応じた配当金を受け取ることができます。 一見すると、両者は似たような仕組みに見えますが、実際にはかなり違います。融資型は利息をすぐに受け取りはじめるのが普通です。これに対してファンド型は、配当金を受け取るのがプロジェクト完了後などずっと先になる可能性があります。 そのため、プロジェクト立ち上げからリターンを得るまでに期間がかかるようなビジネスにファンド型クラウドファンディングは向いています。 ファンド型クラウドファンディングの主なプラットフォームには「セキュリテ」があります。

ファンド型クラウドファンディングのリターン

ファンド型クラウドファンディングでは、そのプロジェクトが成果を出したときに、出資額に応じた配当金を得られます。また、金銭的なリターンにプラスして、アイテムや割引券を組み合わせるケースもあります。

ファンド型クラウドファンディングのリスク

融資型と同様、ファンド型クラウドファンディングでもプロジェクト自体が頓挫し、リターンを得られられないリスクがあります。 ファンド型は売上や利益に応じて分配金が支払われるのが基本です。そのため、事業の結果によって利回りが高くなったり低くなったりします。融資型の場合は、元本と利息を合算した利回りが当初から設定されています。 端的にいえば、ファンド型クラウドファンディングは事業の成否でリターンが変わるため最終的な結果が読みにくい、融資型は出資した時点でリターンを計算しやすいという違いがあります。

資金調達の方法

プラットフォームに事業計画書などの資料を提出し、審査に通れば事業者とファンド組成業務委託契約を結びます。その上でプラットフォームなどを通して投資家から資金を集めます。

歴史や市場規模

矢野経済研究所の「2018年版 国内クラウドファンディングの市場動向」によると、ファンド型の新規プロジェクトの年間支援額は、約50億円です(2017年)。国内のクラウドファンディング市場に占めるファンド型の割合は3%程度です。

ファンド型

法的な規制の有無

ファンド型のクラウドファンディングは金融商品に該当します。 そのため、金融商品取引法の規制の対象となります。プラットフォーマーは「第二種金融商品取引業」の登録が必須となっています。

資産運用の性格

ファンド型のクラウドファンディングではリターンが得られますが、「いつからどれくらい」の配当金が得られるか不透明な部分があります。そのため、資産運用というよりも余剰資金の範囲内で行うのが賢明でしょう。