不動産投資,減価償却,節税
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田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

「不動産投資を始めると減価償却で節税になる」という漠然としたイメージを持っているものの、実際はよく分からないという方は多いのではないでしょうか。そうした疑問を解消できる、減価償却の基礎知識を見ていきましょう。

目次

  1. 1.減価償却とは
  2. 2.不動産投資における減価償却が節税になる2つの理由
  3. 3.減価償却費の計算の基本
  4. 4.不動産における減価償却費の4つの計算例
  5. 5.リフォーム・リノベーションをすると減価償却費はどうなる?
  6. 6.減価償却で押さえておくべき2つの注意点
  7. 7.無料で今すぐ使える減価償却費計算ツール5選
  8. 8.減価償却費の計算ができるサイト3選
  9. 9.減価償却について学ぶならこの2冊!
  10. 10.減価償却について動画でサクッと学ぶならこの3つ
  11. 11.減価償却費と譲渡所得税の関係を理解しよう
  12. 12.減価償却費でよくある質問

1.減価償却とは

(画像=Ink Drop/Shutterstock.com)

ここでは基礎について押さえておくべきポイントを解説します。

1-1.減価償却費の意味

建築物を含むすべてのモノは時間の経過とともに劣化していきます。時間経過による劣化のことを経年劣化といい、時間の経過に合わせてその対象物の価値は減少していくとされています。

例えば、築5年のマンションと築30年のマンションを見て、どちらが価値の高いマンションであるかを問われたら、ほとんどの人が築5年のほうについて価値が高いと答えるでしょう。この差が、「経年劣化によって失われた価値」です。経年劣化によって失われた価値を数値化したものを、「減価償却費」といいます。

会計上の価値が低くなっていくだけで、実際に建物の一部が失われるわけではありません。どれだけ価値が失われたのか、それを税務的見地から可視化したものが減価償却費です。

1-2.減価償却の基本的な考え方

減価償却をさらに理解するために、会計学の基本である「費用収益対応の原則」という概念を説明します。

「費用収益対応の原則」とは、事業で上がった利益に対してどれだけの費用がかかっているかを測定するのにあたり、「その期間の貢献を抽出して認識する」という原則です。「ある期間に上がった利益に対して設備や材料などがどれだけの貢献をしたか」を、「該当する期間ごとに割り当てる」というニュアンスになります。

例えば、1億円をかけて工作機械を導入し、その機械が10年間にわたって製品作りに貢献し、利益を上げたとしましょう。この場合、機械の価格は1億円ですが10年間活躍してくれたので、1年あたりの貢献に要した費用は1,000万円ずつという計算が成り立ちます。この会社は10年間にわたって、毎年1,000万円ずつ経費を計上することになるでしょう。

この考え方を不動産投資に当てはめると、「家賃収入を得るために、償却資産である建物が貢献をしている」と考えることができます。1年あたりどれだけの貢献をして、それと同時に劣化によってどの程度価値が少なくなっていくのかを「減価償却費」として計算し、それを経費とすることができます。

1-3.法定耐用年数と減価償却の関係

不動産投資に供する建物には、木造アパートやRC造のマンションなどがあります。これらの建物は構造ごとに法定耐用年数が定められています。それぞれの年数は以下の通りです。

・木造アパート:22年
・鉄骨造の住宅(マンションなど):34年
・RC造の住宅(マンションなど):47年
・RC造テナントビル:50年

建物はそれぞれの法定耐用年数が満了すると帳簿上の価値(簿価)はなくなります。建物が使えなくなるというわけではなく、あくまでも帳簿上での評価です。

例えば木造アパートは毎年「22分の1ずつ」減価償却が進み、毎年「22分の1ずつ」経費を計上できることになります。この「22分の1ずつ」の数値は国税庁が償却率という形で少数化しているので、実際の経費計上ではこの償却率が用いられています。

減価償却資産の償却率表

なお、不動産は主に定額法で算出されるため、上記の表では一番左にある数値が適用されます。

〔参考:定額法とは〕

国税庁 No.2106「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」

・2つの計算方法「定率法」「定額法」とは
計算方法は「定率法」と「定額法」の2つあります。法定耐用年数に対して「毎年一定率」を算出するのが定率法で、「毎年均等額」とするのが定額法です。定率法によって計算すると償却が始まった年が最も減価償却費が大きくなります。

2年目以降は、徐々に減価償却費が少なくなり法定耐用年数の満了時はゼロです。もう一方の定額法は、法定耐用年数で割った金額を毎年均等に減価償却費とします。毎年均等となるため、法定耐用年数満了の直前でも金額は同じです。ただし2016(平成28)年の税制改正で定率法は廃止されています。そのため、2022年現在不動産で用いるのは定額法です。

1-4.減価償却は不動産以外にも適用される

償却資産は不動産だけではありません。車両や備品、機械や装置、意外なところでは家畜である牛や馬にも減価償却が適用されますが、最も法定耐用年数が長いのは不動産です。他の資産と比べ価格も高いため、不動産が最も節税の恩恵を受けられる資産といえるでしょう。

1-5.減価償却が適用されるのは建物のみ

適用されるのは不動産のうち建物部分のみで、土地は含まれません。なぜなら、建物は経年による劣化がありますが、土地は時間が経っても劣化することがなく減価償却の必要がないからです。

1-6.付帯設備の減価償却について

減価償却というと不動産の建物部分を想像する人が多いかもしれません。しかし建物に付帯する設備のなかにも計上できるものがあります。例えば給排水設備やガス設備、住宅用蓄電池といった具合です。しかしこれらの付帯設備は、法定耐用年数が建物とは異なるため、減価償却費を計上できる年数も異なります。

具体的に給排水設備やガス設備の法定耐用年数は15年で蓄電池設備が6年です。同時に減価償却が始まった場合、最初の6年間は、蓄電池を含む全部が対象になります。しかし7年目以降は、蓄電池以外が対象となり16年目以降は建物のみが対象です。

2.不動産投資における減価償却が節税になる2つの理由

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不動産投資で、なぜ減価償却を活用すると節税になるのかを簡単に解説します。

2-1.利益を圧縮することができる

経年劣化によって失われた価値を減価償却費として「数値化」することにより、その分を「必要経費」として計上できます。必要経費は利益から差し引くことができるため、その分課税対象となる所得が減額され、税金が少なくなる=節税できることになります。

2-2.キャッシュフローが多くなる

減価償却費を計上し、税金を少なくすることで得られる最も大きなメリットはキャッシュフローの増加です。税金として納めていた分が「浮く」ことになるため、その分投資家の「取り分」が増えます。

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3.減価償却費の計算の基本

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所有している不動産でどれだけの節税効果が得られるのかを知るために、減価償却費を計算するための基本事項を解説します。

3-1.当該建物の法定耐用年数を調べる

不動産投資の経費として計算するには、それぞれの建物の法定耐用年数から「1年でどれだけの減価償却費になるか」を知る必要があります。なぜなら、経費は年に一度の確定申告で計上するからです。

それぞれの所有物件に応じて前出の法定耐用年数を適用します。この法定耐用年数をベースに、1年あたりの償却率はRC造が0.022、木造は0.046が用いられています。

3-2.不動産における減価償却費の計算式

基本的な計算式は、以下の通りです。

建物の取得価格 × 毎年の償却率 =減価償却費

例えば建物部分が1億円のRC造マンションを購入した場合、1年あたりの減価償却費は0.022なので220万円となります。同価格の木造アパートであれば460万円となります。

3-3.中古物件の「簡便法」について

中古物件の場合は購入時点ですでに築年数が経過しているため、法定耐用年数までの期間が短くなります。すでに一部の耐用年数が過ぎてしまっている場合は新築と同じ計算方法が適用されません。

この場合に適用されるのが「簡便法」で、以下の計算式で耐用年数を算出します。

【築年数が法定耐用年数以内の場合の耐用年数計算式】

(法定耐用年数 - 築年数) + 築年数 × 20% = 耐用年数

【築年数が法定耐用年数を超えている場合の耐用年数計算式】

法定耐用年数 × 20% = 耐用年数

これらの計算式から、「これから消化する年数は100%、すでに消化した年数は20%として計算する」という考え方が読み取れます。この考え方は中古物件における減価償却費計算の基本となります。

4.不動産における減価償却費の4つの計算例

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ここでは具体的に、4つの物件やシチュエーションで減価償却費の計算例を見てみましょう。

4-1.新築一棟RC造マンションの場合

新築一棟マンションは、以下の計算式で求めることができます。

建物部分の取得価格 × 0.022 = 減価償却費

建物部分が1億5,000万円の新築一棟マンションを購入した場合の計算式は、以下の通りです。

1億5,000万円 × 0.022 =330万円

毎年330万円を経費計上することができます。

なお、ここでは一棟マンションを想定して減価償却費を計算しましたが、区分マンションであっても計算方法は同じです。区分所有割合に応じた建物の取得価格を用いて、それを建物部分の取得価格に置き換えて計算をします。

4-2.新築木造アパートの場合

新築木造アパートは、以下の計算式で求めることができます。

建物部分の取得価格 × 0.046 = 減価償却費

建物部分が5,000万円の木造アパートの場合、計算式は以下のようになります。

5,000万円 × 0.046 = 230万円

毎年230万円を計上することができます。

4-3.中古物件・耐用年数以内の場合

中古物件を購入した場合の減価償却費を計算してみましょう。想定条件は「築10年・建物部分2,000万円の木造アパート」としています。

木造アパートの法定耐用年数は22年なので、築10年の物件は耐用年数以内です。耐用年数を求めるには以下の計算式が適用されます。

【築年数が法定耐用年数以内の場合の耐用年数計算式】

(法定耐用年数 - 築年数) + 築年数 × 20% = 耐用年数

上記条件の物件の場合、以下のようになります。

(22年 - 10年) + 10年 × 20% = 12年

この12年という耐用年数は、国税庁の償却率一覧によると0.084です。この償却率を当てはめて求めます。

2,000万円 × 0.084 = 168万円

4-4.中古物件・耐用年数を超過している場合

中古木造アパートで築25年を想定してみます。すでに築年数が法定耐用年数を超えている場合は、以下の計算式になります。

【築年数が法定耐用年数を超えている場合の耐用年数計算式】

法定耐用年数 × 20% = 耐用年数

想定条件を当てはめます。

22年 × 20% = 4年4ヶ月

1年未満の端数については切り捨てるというルールがあります。それにならうと4年という計算結果になりました。耐用年数4年の償却率は0.25なので、計算式は以下のようになります。

2,000万円 × 0.25 = 500万円

5.リフォーム・リノベーションをすると減価償却費はどうなる?

リフォームやリノベーションは、条件によって計上できるケースがあります。一般的な定義としてリフォームは「原状回復を目的とするもの」です。当該不動産に新たな価値が生まれるわけではないため、減価償却費に影響はありません。リノベーションで新たな価値が生まれると判断される場合は、その価値を生み出すために設置した設備などの費用を計上可能です。

こうした支出のことを国税庁は「資本的支出」と定義しており修繕費とは別に取り扱うとアナウンスしています。例えば従前よりグレードアップした空調設備を取り付けた場合は、資本的支出にあたるため、空調設備の設置に要した費用を毎年、計上可能です。

5-1.リノベーションの減価償却費はこうして計算する

前述した空調設備を取り付けた事例で計算してみましょう。例えばエアコンの設置費用が50万円かかった場合、空調設備の法定耐用年数となる6年かけて減価償却していくことになります。耐用年数6年の場合の毎年の償却率は、0.167です。これに設置費用の50万円を乗じると計算できます。

  • 毎年の減価償却費:50万円×0.167=8万3,500円

50万円をかけて空調設備をグレードアップした場合、6年間にわたって毎年計上できるのは8万3,500円という結果になりました。

6.減価償却で押さえておくべき2つの注意点

(画像=Billion Photos/Shutterstock.com)

次に、押さえておくべき注意点について解説します。

6-1.不動産価格のうち「建物」の価値を知る方法

不動産について「減価償却費を計上できるのは建物部分のみ」と説明しました。計算例においても「建物」の価格に償却率を乗じて求める方法をご紹介しました。不動産価格のうち「建物部分の価値」を知るためには、3つの方法があります。

・売買契約書の記載を見る
まずは、売買契約書の確認です。一般的には、売買契約書に土地と建物で内訳が記載されています。ただし中古で購入するケースでは、内訳が記載されていないことも少なくありません。その場合は、以下2つの方法で割り出しましょう。

・固定資産税評価額から割り出す
売買契約書が手元にない場合は固定資産税評価額から知ることができます。毎年1月1日の時点で不動産を所有している人に市町村から固定資産税課税明細書が届きます。ここに建物部分の価格が記載されているので、この価格を用いることができます。

この明細書も手元にない場合は、最寄りの役所で固定資産税評価証明書を取得すると、そこに建物部分の価格が記載されています。

・消費税からも建物の価値を知ることができる
不動産会社からマンションを購入した場合、マンション価格には消費税が上乗せされていますが土地部分は消費税がかかりません。そのため消費税額を割り戻しすれば建物部分の価値(価格)を知ることができます。

6-2.売却時に多額の税金が発生する場合がある

実際に支出が発生しているわけではないのに経費と計上できる減価償却費は、不動産を活用した節税スキームとして広く知られています。しかし所得税の節税メリットがある一方で、売却時に別の税金が発生する可能性があることがあります。

仮に耐用年数が22年の新築アパートを1億円で購入し、建物評価が4,000万円だったとします。この4,000万円は帳簿上では22年後に無価値になります。しかし、実際に価値がゼロになったわけではなく、居住も可能でしょう。これを売却したとき、7,000万円になり、その内、建物部分が2,000万円だったとします。

すでに簿価では無価値になっている建物部分が2,000万円で売れたとすると単純計算で売却益は2,000万円となり、この売却益に譲渡所得税が発生します。

譲渡所得税は税率が15%(これに住民税5%と復興特別所得税2.1%が加算される)となっています。看過できない金額といえるのではないでしょうか。もちろんそれまでに減価償却費による所得税の節税メリットを享受しているので、納税者にとってはどちらを取るべきか、どのタイミングで節税メリットを活用するべきかという選択になります。

なお、譲渡所得税は所有期間が5年以下だと税率が30%(これに住民税9%と復興特別所得税2.1%が加算される)になります。上記のアパートを5年所有して売却した場合、減価償却費の合計は、

4,000万円 × 0.046 × 5年 = 920万円

という計算結果になるため、総額で920万円を所得から控除することができますが、その一方で簿価が920万円分安くなった物件の売却となるため、売却益が発生しやすくなります。5年以下の売却益に対しては39%の短期譲渡所得税がかかるため、節税メリットという観点でどちらが有利になるのかを十分精査する必要があります。

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7.無料で今すぐ使える減価償却費計算ツール5選

「減価償却の計算は、なんだか複雑で面倒」と感じる方は、減価償却費を計算できるツールを利用するのがおすすめです。ここでは、煩雑な計算を簡単な操作で行ってくれるフリーソフトや表計算ソフト「Excel」用のテンプレートなどを5つ紹介します。

7-1.エクセル減価償却

名称の通りExcelで使用できる減価償却費計算ツールです。マクロを使用していないため、ウイルスの心配もなく安心して利用可能です。もちろん平成19年、20年、23年の制度改正にも対応済みなので現在の法体系に適合した減価償却費を簡単に求めることができます。

【ダウンロードページ】
https://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se505489.html

7-2.減価償却分析(フリー版)

減価償却が可能な資産について30年分を一発計算できるソフトです。フリー版と製品版の2種類があります。しかしフリー版でも複数の償却資産について20件まで同時計算ができるので、個人レベルで使用するのであれば十分なスペックです。将来の特定年度に対する減価償却費明細を瞬時に知ることができるのもシミュレーションに役立ちます。

【ダウンロードページ】
https://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se468877.html

7-3.減価償却システム

特に操作方法をマスターする必要はなくシートに必要な情報を入力したり選択したりするだけで減価償却費が計算されます。Excelの基本的な操作ができる人であれば今すぐ使えるでしょう。なお当テンプレートは、シェアウェアとなるため、無料での利用はあくまでも試用に限ります。

ただし購入費は、新規5,000円(更新1,000円)と安価なので長く使用する場合であれば購入してもよいでしょう。

【ダウンロードページ】
https://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se259656.html

7-4.耐用年数改定対応 EXCEL減価償却

Excelがあればすぐに導入可能で年度別のシミュレーションや中古資産耐用年数計算も行えます。中古資産については、耐用年数の計算が複雑になりがちなので特に中古資産の減価償却費を計算したい人におすすめです。

【ダウンロードページ】
https://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se481070.html

7-5.備品管理and減価償却

ExcelやAccessなどのソフトがなくても利用できる独立した計算ソフトです。ユニークなのは、写真付きで備品の管理ができること。減価償却費の計算だけでなく備品管理をスマート化したい事業者向けです。試用期間は20日間で引き続き利用したい場合は、3,000円かかります。

【ダウンロードページ】
https://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se261128.html

8.減価償却費の計算ができるサイト3選

「手間が面倒」「新たなソフトをインストールするには許可が必要」といった場合は、減価償却費の計算ができるサイトがおすすめです。ここでは、3つ紹介します。

8-1.減価償却(H24年度~)(カシオ計算機)

電卓や腕時計などのメーカーとして知られるカシオ計算機が提供している計算サイトです。本ツールでは平成24年以降の法令にのっとった減価償却費を瞬時に計算できます。入力・選択する項目は少ないため、分かりやすくとても便利です。

【リンク】https://keisan.casio.jp/exec/system/1339479951

8-2.減価償却費、計算ツール(タナベ会計事務所)

岡山県の「田邊一平税理士事務所」が提供している計算ツール。入力項目が少なくシンプルな作りながらもあらゆるケースに対応した計算ができるため、とても秀逸です。

【リンク】https://www.tanabe-inc.com/apri/genka-shokyaku/genka-shokyaku.html

8-3.減価償却の計算(TOM’s Web Site)

生活のさまざまな場面で必要になる計算ツールやマナー知識などが幅広く網羅されている「TOM’s Web Site」に設けられている計算ツールです。本記事で紹介している計算ツールのなかでは、最もシンプルな作りになっており4つの項目を入力するだけで減価償却費を求めることができます。

【リンク】https://tomari.org/main/java/genka.html

9.減価償却について学ぶならこの2冊!

体系的かつ本格的に学びたい人には「減価償却本」がおすすめです。ここでは、数ある書籍のなかから2冊をピックアップしました。

9-1.不動産投資の税金を最適化 「減価償却」節税バイブル

著者は「不動産投資は税金との闘い」と定義し「いかにして節税をするかが重要」と説きます。節税の観点から外せない減価償却にスポットを当て個人と法人で異なる部分など極めて実践的な内容が解説されています。減価償却を学びたい人のほとんどは、節税が目的のはずです。

本書で解説されている内容は、すべてが節税に直結しているので「こうすれば節税ができる」「こうすれば不動産投資の収益力を高められる」という視点を持ちながら読むことをおすすめします。

9-2.不動産投資専門税理士が教える 不動産投資の「収益計算」 本格入門

不動産投資家は、不動産投資の専門家ですが税金の専門家ではありません。税金の専門家である税理士のなかでも不動産投資専門として活躍している著者による不動産投資に特化した「収益計算本」です。本書には「収益計算シミュレーション(Excel形式)」という無料特典がついており簡単にExcelで不動産投資の収益性をシミュレーションすることができます。

10.減価償却について動画でサクッと学ぶならこの3つ

近年は、YouTubeなどに投稿されている動画であらゆることが学べるようになりました。専門家が自ら発信している動画も多くうまく選べば質の高い知識が得られます。そこでここでは、YouTubeから厳選した3本の動画を紹介します。

10-1.不動産投資における赤字の考え方 損益通算と減価償却による節税

(チャンネル名:不動産投資TOKYOリスタイル)
アニメ形式になっていて8分少々にまとめられたコンパクトな動画です。不動産投資で節税をするための視点として「損益通算」「減価償却」の2つを挙げており基本的な考え方から節税の方法までを効率よく学ぶことができます。

【動画リンク】https://www.youtube.com/watch?v=g-hgLpBUm_Y

10-2.不動産投資における耐用年数と減価償却の基本的な考え方

(チャンネル名:定額制リフォーム「イメチェン」)
「イメチェン」というリフォーム会社の代表者によるYouTube動画です。「リフォーム料金が1平方メートル1万円の定額制」という点がユニークでリフォームに関する動画もたくさんアップされています。本動画では、法定耐用年数について丁寧に解説されており特に「クルマに例えた解説」は多くの人にとってとても分かりやすいでしょう。

「なぜ法定耐用年数があるのか」を知ることで不動産投資の節税スキームが理解できるようになります。

【動画リンク】https://www.youtube.com/watch?v=KxC5gAupuec

10-3.家賃が下がらなくても必ず収入が減っていくワケ【不動産投資】

(チャンネル名:大家さんの知恵袋)
賃貸経営(不動産投資)についての本質を語る税理士によるYouTube動画です。「賃貸経営は右肩下がりのビジネスモデル」というメッセージは、とてもインパクトがありますが歯に衣着せぬ物言いには説得力があります。

【動画リンク】https://www.youtube.com/watch?v=hu5GV2vg82o&t=5s

11.減価償却費と譲渡所得税の関係を理解しよう

不動産投資のメリットの一つとして知られる減価償却について、基本的な考え方や計算方法などを解説しました。また注意点についても説明しました。

「節税のつもりだったのにかえって損をしてしまった」ということが起きないよう、減価償却と譲渡所得税の関係についてしっかり理解し、不動産投資に役立てましょう。

12.減価償却費でよくある質問

Q.減価償却費とは?

A.建物などの資産は、経年劣化によって価値が減少していきます。その減少した価値を数値化したものを減価償却費といいます。

Q.減価償却できる資産は?

A.有形固定資産だと、建物や構築物、機械装置(パソコンやプリンターなど)、車両などがあります。無形固定資産だと、ソフトウェアや特許権、商標権、意匠権などが対象となります。

Q.建物を個人から法人へ売却すると、もう一度減価償却できる?

A.法人で売却することはできます。しかし、個人から法人に売却する際、譲渡税がかかるので注意が必要です。

Q.減価償却の期間を伸ばしても大丈夫?

A.勝手に決めるのはリスクなので、専門家の鑑定書や意見書を参考にしてください。もし、税務署から減価償却する金額が間違っていると指摘されれば、正しく計算し直さなければなりません。

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