株式型クラウドファンディングの仕組み

株式型クラウドファンディングは、スタートアップ企業や中小企業が未公開株を投資家に提供することで資金を募る仕組みです。「IFO(Initial Fund Offering)」とも呼ばれます。 投資家の出資モチベーションとしては、投資先企業の将来のIPO(新規株式公開)です。 一方、資金を集める企業側からすると、株式型クラウドファンディングで集めた資金は、借り入れではないので金利を払わずに済みます。それどころか資本の増強になるため、市場や金融機関などの評価が高まる可能性もあります。 株式型クラウドファンディングの主なプラットフォーマーは 、「FUNDINNO(ファンディーノ)」「GoAngel(ゴーエンジェル)」「エメラダ・エクイティ」です。

株式型クラウドファンディング

株式型クラウドファンディングのリターン

株式型クラウドファンディングで手に入れた株式を投資家が売却したときに大きなリターンが期待できます。また、IPO前でも投資先企業の本質的価値や社会的な知名度が高まったときに株式の価値が上がる可能性もゼロではありません。 ただその場合でも、上場株式のような流動性はありません。そのため、「IPOによって資金を回収する」というのが株式型クラウドファンディングの基本的な考え方になります。

株式型クラウドファンディングのリスク

株式型クラウドファンディングには3つのリスクがあります。 1つ目は、IPOに失敗したリスクです。ベンチャー企業が株式上場できる確率はかなり低いのが現実です。それだけに投資家には、分散投資思考と卓越した目利きが求められます。また、実力がある企業でも経済状況などによってIPOまでに相当な期間がかかる場合もあります。 2つ目は、流動性リスクです。未上場株は市場での流動性が極めて低いため現金化がなかなかできないケースが大半です。 3つ目は、倒産リスクです。投資した企業が倒産してしまえば株式の価値がなくなります。

資金調達の方法

株式型クラウドファンディングで資金調達をしたい会社は、この分野のプラットフォームを通して投資家に自社株を売却することで資金を集められます。 審査基準や投資家への情報提供の内容はプラットフォームごとに違います。情報提供の一例としては、解決したい課題やそのためのソリューションを投資家に訴求することで共感を得るようなやり方です。

歴史や市場規模

2015年に金融商品取引法が改正され、未上場の株式を発行して資金を広く集める株式型クラウドファンティングが2017年からサービスを開始しました。 日本クラウドファンディング協会の「市場調査報告書(2020年6月リリース)」によると、国内の株式型クラウドファンディングの市場規模は次のように推移しています。 2017年:3.7億円 2018年:9.0億円 2019年:5.6億円 なお、矢野経済研究所の「2018年版 国内クラウドファンディングの市場動向」によると、国内のクラウドファンディング市場に占める株式型の割合は0.5%です(2017年)。

クラウドファンディング市場規模

法的な規制の有無

株式型クラウドファンディングは、金融商品取引法の規制対象になります。株式型を取り扱うプラットフォーマーは、金融庁の「第一種少額電子募集取扱業」の登録が必要です。

資産運用の性格

投資先企業がIPOできる確率はわずかという現実を踏まえると、一般的な資産運用とはいえないでしょう。「夢を買っている」くらいの気持ちがないなら、投資に慎重になった方がよいかもしれません。