

不動産クラウドファンディングは少額で行える不動産投資として近年人気が高まっています。しかし、不動産クラウドファンディングにはリスクも存在します。
そこで本記事では、現物不動産との違いやクラウドファンディングのリスクを確認し、不動産クラウドファンディング投資で成功するためのポイントを解説します。
目次
国内クラウドファンディングの市場規模は?
国内クラウドファンディングの市場規模は、矢野経済研究所のプレスリリースによると、2021年度で1,642億2,100万円となっています。新規プロジェクト支援ベースで前年から11.1%減少しました。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものと考えられます。
6類型別の増減は、事業投資型、不動産型、株式型は増加、寄付型、購入型、貸付(ソーシャルレンディング)型は減少と明暗を分けました。寄付型、購入型など支援タイプのクラウドファンディングは減少しましたが、不動産クラウドファンディングは堅調に推移したことがうかがえます。矢野経済研究所では、2022年度の市場規模を前年度比16.3%増の1,909億8,200万円と見込んでいます。
現物不動産とクラウドファンディングの違い
不動産クラウドファンディングに投資する前に、現物不動産との違いを確認する必要があります。現物不動産は自分がオーナーとなって物件を運営しますが、不動産クラウドファンディングで行うのは出資のみで、物件の運用は運営会社が行います。
物件の運用で生じる収益は、現物不動産は家賃収入として自分が受け取りますが、不動産クラウドファンディングは運営会社が得た収益のなかから予定利回りを基準にした分配金を受け取ります。
投資資金の規模も大きく違います。現物不動産は中古マンションでも数百万円から数千万円の資金が必要で、タワーマンションへの投資なら億単位になることもあります。不動産投資クラウドファンディングは1万円から出資できるファンドが多いため、資金面では気軽に始めやすい投資といえます。
不動産クラウドファンディングのリスク
不動産クラウドファンディングへの投資にあたっては、リスクを知ってから始めることが重要です。
中途解約ができない
現物不動産は運用の途中でも売却して現金化することが可能です。しかし、不動産クラウドファンディングは一部のファンドを除いて基本的に中途解約ができません。不動産クラウドファンディングは運営会社と匿名組合契約を結ぶので、出資者の都合によって解約することができないのです。お金が必要になったときに換金できないので、余裕資金で行う必要があります。
出資元本は保証されない
不動産クラウドファンディングは株式投資と同じく、出資元本は保証されません。ただし、セーフティネットとして「優先劣後方式」が契約に定められていれば、損失優先劣後方式では出資資金を「優先出資」と「劣後出資」に分け、前者を出資者、後者を運営会社とします。運用の結果、出た損失が劣後出資の範囲内であれば、運営会社が損失を負担するため、出資者が損失を被ることがありません。
運営会社の倒産リスクがある
不動産クラウドファンディングは運営会社が倒産するリスクがあります。例として、2018年12月にFUNDINNOを経由して投資家から資金を集めた株式会社ブレスサービスが挙げられます。とはいっても、不動産クラウドファンディング事業者の倒産ではありません。
ブレスサービスは株式投資型のファンドにおいて未公開株への投資で出資金を集めていた事業者です。未公開企業は上場企業に比べて実態がよくわからないため、株式投資型はハイリスクな投資となります。不動産投資型は実態がはっきりしている不動産への投資なので株式型に比べれば倒産リスクは低いです。それでも可能性がゼロではないことを心得る必要があります。
人気ファンドは投資できない場合がある
不動産クラウドファンディングは株式のようにいつでも購入できるわけではありません。募集方法が「先着式」のファンドは募集を開始して短期間で満口になってしまうことも珍しくありません。「抽選式」の場合は申込締め切り後に抽選が行われ、当選した人だけが投資できます。こちらも外れれば投資できないため、やはり投資機会逸失リスクがあります。
レバレッジが効かないので投資効率が悪い
不動産投資は金融機関から融資を受けることで、自己資金だけでは買えないような優良物件に投資することが可能です。レバレッジとは「てこの原理」という意味で、不動産投資では小さな資金で大きな物件を運用することをいいます。
例えば、自己資金2,000万円で購入した物件で年間160万円の家賃収入を上げると利回りは8%です。4,000万円の融資を受け6,000万円の物件を購入して年間480万円の家賃収入を上げると利回りは同じ8%ですが、収益はローン利息を引いても大幅に多くなります。一方で不動産クラウドファンディングは投資を目的とした融資を受けることはできないため、自己資金の範囲でしか収益を上げることができません。
不動産クラウドファンディングで成功するためのポイント
ここまで述べたリスクを理解したうえで、不動産クラウドファンディングで成功するためのポイントを把握しておきましょう。
運営会社の公式サイトで実績や募集内容を吟味する
運営会社は公式サイトにこれまでの運用実績や、現在募集しているファンドの詳細な募集要項を掲載しています。各運営会社の内容を比べるには比較サイトが便利ですが、その場合でも最終的には選択した運営会社の公式サイトで詳細を確認することが大切です。
投資信託やクラウドファンディングでは、運用会社によって成果に大きな差が生じる場合があります。実績があり信頼できる運営会社を選ぶようにしましょう。
比較サイトで運営会社を選ぶ場合は、掲載会社数が多いサイトを活用したほうが優良な運営会社と出会える確率が高くなります。例えば、不動産クラウドファンディングの情報を集約して一括で投資家に提供する総合情報サービス「YANUSY Funding」には2022年10月21現在で16社が参加しています。2023年7月末までに30社に拡大することを目指しているので、他の比較サイトと比べても充実した情報提供が期待できます。
優先劣後方式のファンドか確認する
多くの不動産クラウドファンディングでは、先に述べた優先劣後方式を採用していますが、なかには優先劣後方式ではないファンドもあるため、契約する際は優先劣後方式が設定されているファンドであるか確認してから申し込むようにしましょう。
なお、劣後出資の割合はファンドごとに異なり、30%のファンドもあれば10%しかないファンドもあります。割合が高いファンドを選んだほうが、リスクを抑えられるのはいうまでもありません。また、同じく不動産に投資するREIT(不動産投資信託)には優先劣後方式がないため、不動産クラウドファンディングのほうが元本割れのリスクは低いといえます。
複数のファンドに分散投資する
投資における一番のリスクヘッジは分散投資ですが、不動産クラウドファンディングでも複数のファンドに投資することでリスクを軽減することができます。不動産クラウドファンディングは中途解約ができないので、満期の違うファンドを複数保有することで償還の機会が多くなり、資金を確保しやすくなります。
居住用不動産を投資対象にしたファンドを選ぶ
ファンドの募集要項には投資する物件タイプが記載されています。オフィスやホテルを投資対象にしたファンドは新型コロナウイルス感染拡大など、不測の事態が起こった際に空室リスクが高まります。安定した運用を望むなら居住用不動産を対象にしたファンドを選んだほうが無難です。
どうしてもオフィス、ホテル、商業施設、物流施設などに投資したい場合は、居住用不動産と組み合わせて分散投資するのも1つの方法です。
ファンドの情報を把握し、募集を開始したら早めに申し込む
不動産クラウドファンディングは募集している本数がそれほど多くありません。不動産クラウドファンディングを探している人は常にいるので、ファンドの募集が始まると先着順の案件は早期に満口になる可能性があります。ファンドの募集要項を見て投資を決意したら早めに申し込むことが大事です。
初心者は不動産クラウドファンディングで少額投資してみよう
現物不動産投資は、最低でも数百万円の購入資金が必要です。初めて不動産投資を考えている人は、資金面で一歩踏み出せない人もいるでしょう。
そこで少額の資金で不動産に投資できる不動産クラウドファンディングで運用しながら、不動産について実践的に学ぶのも有効な方法です。単に書籍やWebで勉強するだけでは投資へのテンションが上がりにくいですが、実際にお金を投じることで真剣に学ぼうという意欲も湧いてきます。
現物不動産に投資する前段階として、不動産クラウドファンディングに少額投資してみてはいかがでしょうか。
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