ベトナム・ハノイのメトロ工事完了
(画像=:PIXTA)

ハノイ都市鉄道、またはハノイメトロは、ベトナム・ハノイ市に建設されている都市鉄道システムの名称です。このシステムは、全長約318キロの8つの都市鉄道路線と3つの単線路線から構成されます。これは、ベトナム初の都市鉄道システムとなります。

▼ハノイメトロ地図(出所:Hanoi Railway Company Limited

最初に建設される路線は2路線。2A号線(カット・リン―ハドン)と3号線(ニョン―ハノイ駅)です。2019年9月の時点で、2A号線は8回の調整とプロジェクトスケジュールの崩壊を受け、営業運転の時期が見通せていませんでした。一方で、3号線(ニョン-ハノイ駅)は、2022年末までに全行程において営業運転が開始できる見込みです。

ハノイ市民が最初の路線となるカットリン‐ハドンを結ぶ2A号線の完成を待ち続けて約10年になります。一方で、3号線の建設を請け負う韓国のコンソーシアムは、3号線の建設は2A号線の建設よりも5倍速く進行しているとしています。

メトロ2A号線ついに工事完了

このハノイ市民が待ちに待った2A号線の建設工事がついに完了し、運転開始に向けて、安全確認を残すだけとなっています。

2A 号線の建設工事のディレクター、タン・ホン氏は、12月半ばに、鉄道の建設、機械の設置、スタッフのトレーニングが完了し、その旨を運輸交通省に通知したと発表しています。

同工事を請け負う中鉄六局集団有限公司(China Railway Sixth Group)を代表して、ホン氏は、2019年11月に行われた試運転は、ハノイ市都市鉄道管理委員会(Hanoi Metropolitan Railway Management Board(MRB))からの早く手続きを終了させるようにとの要請を受けて、20日間から5日間に短縮されたと話しました。試運転の中で、ベトナム人スタッフが自分たちでメトロの運転を行えることが確認できたとして、MRBからの承認を受けて、試運転を再開するとしています。

MRBの代表者も、メトロの運転に影響しないいくつかの機械装置を除いて、建設工事は完了したことを確認しています。

中鉄六局集団は、スタッフの緊急時対応の訓練も含め、試運転を続行させるためのすべての基準を満たすべく、対応しているとのことです。

このメトロ2A号線プロジェクトは、このあと、フランスのコンサルティング会社ACT(アパヴ・セルティフィエ・トリック)による安全評価を得て初めて、運輸交通省に引き継がれることになります。

現在、この2A号線プロジェクトには、200人を超える中国人・ベトナム人スタッフの給料に毎月500億ベトナムドン(約2.37億円)、電気代に毎日1億ベトナムドン(約47万円)のコストが発生しているとして、中鉄六局集団は早く手続きが処理されて引き継ぎを終えたい考えです。

2A号線(カットリン―ハドン線)は、ベトナム初のメトロ路線で、全長は13キロ、ダウンタウンにあるドンハ区カットリン駅から、南西のハドン区イエンギア駅を結びます。

2011年に高架鉄道の工事が開始し、当初の完成予定は2013年でしたが、2017年になってようやく解決した中国からの融資問題を含め、いくつかのハードルがあり、計画は何年も先延ばしとなってきました。

当初のプロジェクト予想費用5.53億ドル(約609億円)も、8.68億ドル(約957億円)へと膨れ上がりました。これには、中国からの融資6.7億ドル(約738億円)も含まれています。

ハノイ不動産市場への影響

新しいハノイのメトロは、ベトナム人、外国人不動産投資家両方から注目を浴びてきました。ベトナム人は、この高架鉄道ネットワークが、市内のひどい渋滞を緩和するのではと期待を寄せています。外国人投資家は、新しいメトロネットワークで大きな利益が得られると信じています。一般的に、メトロネットワークシステムは、地域の経済発展に貢献し、交通渋滞や環境汚染の緩和により都市環境を改善します。

新しいメトロシステムは、不動産市場への大きなひと押しとなります。鉄道路線の恩恵を受けるのは、グエン・チャイ通りとコウザイ通りでしょう。これらの通りは、ハノイ市民が心待ちにしているメトロ路線全体のバックボーンと考えられています。

メトロ路線沿いの不動産開発

中国、タイ、フィリピンなどの例をみてみると、新しいメトロの路線ができることで、路線沿いにさまざまな施設ができ、人々の生活の質と、地域の交通の便が格段に向上してきました。

メトロ路線沿いのエリアの不動産需要も上昇しています。これは確実に、これらのエリアの不動産価格を押し上げることになり、不動産投資家に大きな利益をもたらします。

一方で、このメトロというコンセプトにまだ慣れないベトナム人も多いため、メトロ路線沿いの不動産を選ぶのには慎重になっています。どちらかというと、メトロに親しみのある日本や韓国など外国人投資家からの関心が特に高まっているようです。