シンガポール,ホテル,平均稼働率
(画像=Travelerpix/Shutterstock.com)

目次

  1. 新型コロナウィルス対策でホテル稼働率減
  2. イギリス・アメリカからの帰国者へのホテル客室提供

新型コロナウィルス対策でホテル稼働率減

シンガポール政府観光局(Singapore Tourism Board(STB))のデータによると、シンガポールのホテルの平均稼働率は2020月2月、前月の83.1%から32.1パーセンテージポイント下がって51%にまで落ち込みました。前年比でも、2019年の88.5%から37.5パーセンテージポイント減となっています。

シンガポール政府観光局

(出所:シンガポール政府観光局)

この減少は、新型コロナウィルスの流行を食い止めるための入国制限によるものです。シンガポール政府は段階的に短期訪問者の入国に制限をかけ、3月23日23:59以降はすべての国からの短期訪問者の入国は禁止されています。

ホテル客室が半分しか埋まらないこともあって、宿泊収入もまた40%減少しました。平均室料は、前年比2.3%減の230シンガポールドル(約17,490円)、客室売上を販売可能な客室数で割ったRevPaRは、前年比41%減の117シンガポールドル(約8,900円)となりました。

大規模ホテル(300室以上)が最も影響を受けており、稼働率は前年比で39.5パーセンテージポイント下がって51.4%まで下落しました。

同様に、RevPaRも前年比42.7%減の125シンガポールドル(約9,510円)となりました。中規模ホテル(101~299室)の稼働率は、前年比で35.4%パーセンテージポイント下がって52.1%、RevPaRは前年比で36.3%下がって114シンガポールドル(約8,670円)となりました。

ホテル規模別では、小規模ホテル(100室以下)が最も影響を受けなかったと言えます。稼働率は前年比で26.6パーセンテージポイント下がって46.2%、RevPaRは前年比30%減の71シンガポールドル(約5,400円)となりました。

シンガポール政府観光局

(出所:シンガポール政府観光局)

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イギリス・アメリカからの帰国者へのホテル客室提供

シンガポール政府が新型コロナウィルスの拡大を防ぐべく厳しい入国制限をする中、海外から帰国したシンガポール人、永住権保持者、長期滞在パス保持者の感染者数が増えています。

2020年3月31日現在、3月20日23:59以降に帰国するすべてのシンガポール人、永住者および長期滞在ビザ所持者は、14日間の自宅待機/外出禁止令(Stay Home Notice(SHN))が出されることになっています(湖北省からの帰国者は隔離)。

さらに、3月25日23:59以降にイギリスおよびアメリカから帰国した者は自宅ではなく指定場所での待機が義務付けられています。

これは、イギリス、アメリカから帰国した人の割合が、海外から帰国して感染が判明するケースの大半を占めていることに対応するものです。2020年3月29日のストレーツ・タイムズ(オンライン)によると、これら2か国からシンガポールへの帰国者は日当たり1,200人ほどいるようです。

日本では、新型コロナウィルス感染の水際対策のため、中国やヨーロッパ諸国などから帰国した人たちに対して国は公共交通機関の利用控えや14日間の待機を「要請」。

しかし、公共交通機関を使わない国内移動や、予約しようとした宿泊施設から利用拒否などの困難に直面し「帰国難民」化しているとの報道があります。

シンガポールの指定場所となったホテルは、イギリスとアメリカから帰国してSHNの対象となった人々に快適に過ごしてもらおうと、SHN対象者の部屋に食事を届けたり、ランドリーサービスや必要なものを買い出しに行くための買い物サービスなどを提供したりしています。

また、部屋に閉じこもるストレスを軽減してもらおうと、様々な工夫が凝らされています。

たとえば、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールで有名なセントーサ島にある、シャングリラ・ラサ・セントーサ・リゾート&スパでは、スタッフがホテルの芝生エリアでエクササイズを実施。

滞在者には、部屋を出ることなく、それぞれのバルコニーから参加してもらおうという考えです。また、子どもたち向けにカラフルな工作用材料の提供も検討しているようです。

シャングリラ・ラサ・セントーサ・リゾート&スパは、指定待機場所に指定されたホテルの一つです。このほかには、グランド・パーク・オーチャード、ファー・イースト・ホスピタリティグループのホテル3軒(ビレッジ・ホテル・アルバート・コート、ビレッジ・ホテル・セントーサ、ザ・エリザベス・ホテル)があります。

SHN対象者の受け入れを決定した理由について、ファー・イースト・ホスピタリティのCEOアーサー・キオン氏は、「シンガポール企業として、政府の取り組みを支持し、シンガポール人および在住者がこのような時期を乗り切るのを助けることは、国民の義務だと感じています。勇気と寛容さ、レジリエンス(回復力)が物を言うのはこういうときです。」と話しています。

シンガポール政府は、空港から指定ホテルへ直接移動できるように帰国者のための移動も確保しています。ホテルに滞在する帰国者は、ホテル到着前にプレチェックインを済ませ、指定の場所から部屋のキーを受け取るだけとなっているようです。

イギリス・アメリカからの帰国者がこれらのホテルでSHNを行うことは義務となるため、滞在費は政府により支払われることになっています。

この期間、指定ホテルはSHN対象者のみの宿泊を受け付けます。ホテルの中には、一般の立ち入りを完全にシャットアウトするものもあります。

SHN対象者とスタッフの健康を確保するために、滞在者やスタッフへの体温スクリーニングや専用エレベータを含めた、様々な予防措置が取られており、両者のやり取りが最小限に抑えられるように対策が取られています。

以上