(本記事は、内藤 忍氏の著書『初めての人のための資産運用ガイド』=ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年11月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
お金の無料相談を利用してはいけない
▶︎銀行などの金融機関は気づかないうちに、利益を横取りしている
▶︎無料相談は一見おトクだが、結局最も割高になりかねない
▶︎銀行の投資信託は手数料が高い。買った瞬間に手数料ぶんがマイナスになってしまう
高い手数料を払い利益も吸い取られる報われない投資
「サギ」の次に、もう1羽の鳥「カモ」のお話をしましょう。
カモとは、簡単に言えば、コストの高い「ハイリスク・ローリターン」の金融商品(リスクを取っても報われない商品)を買わされてしまうことです。気がつかないうちに、金融機関にリターンを吸い取られてしまっているケースを指します。
無料相談は利用すべからず
金融商品は複雑でわかりにくいことから、誰かに相談しないとなかなか商品を選択することができません。
そこで、お得だと思って無料相談を利用してしまう人がいますが、実はお得ではないのです。
たとえば、保険を無料で見直ししてくれるサービスが人気です。駅前の一等地にお店を構え、最適な保険を専門家がアドバイスしてくれるようです。
確かに保険の知識がない人にとってはおまかせで保険プランを考えてもらえて、しかも無料というのは手間もかからずコストも払わなくてよいので気軽に相談できそうです。
しかし、無料の相談にのってくれるお店の維持費や、説明して保険を販売する人たちの報酬は、販売した保険会社からの手数料で賄われています。
このような販売員にインセンティブがつく無料の相談では、相談する側にとってではなく、販売員にとってメリットのある商品をアドバイスされてもおかしくありません。
無料相談は、一見お得のようですが、結局のところ、割高ということになりかねないのです。
銀行の窓口で相談してはいけない
一番相談してはいけないのが、銀行の窓口です。
たとえば、銀行が熱心に販売している商品に投資信託や保険があります。これらの商品は手数料が大きく、販売する銀行にとって収益性の高い商品です。
つまり、必ずしも顧客の将来の資産形成を考えて、すすめてくれているわけではないのです。
銀行の店頭で販売している投資信託は、通常購入時に販売手数料がかかります。販売手数料というのは、営業の説明を聞いて手数料を払うという何とも不思議な仕組みなのですが、銀行と取引するのが当たり前と思っている人はそんなことにすら気がつきません。
また、販売手数料は投資信託を購入する金額の中に含まれているので、お客さんからすれば支払っている実感があまりありません。
気がつかないうちに、非常にもったいないことをしているわけです。
「サギ」と「カモ」。この2羽の鳥に関わっていてはいつまでたっても資産を増やすことはできないでしょう。
【CHECK !】カモの逆襲─「あなたは買っていますか?」と聞いてみる
証券会社の窓口や銀行の店頭で、金融商品をすすめられたら、こう聞いてみましょう。
「あなたご自身はどのくらい購入されていますか?」
担当者も自分がよいと思ってすすめているのであれば、きっと購入しているはず。「金融のプロ」自身がどんな運用をしているかを聞いてみることは、アドバイスの信頼性を確認する「キラークエスチョン」になるのです。
1964年生まれ。東京大学経済学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院修士課程卒(MBA)。金融機関勤務を経て、1999年にマネックス証券株式会社の創業に参加。マネックス・ユニバーシティなどグループ会社の代表取締役を歴任後、株式会社資産デザイン研究所代表取締役就任。著作は40冊を超え、「初めての人のための資産運用ガイド」はシリーズ24万部のベストセラーに。 早稲田大学、明治大学などで、資産運用に関する講座を開講。 毎週金曜日配信の資産デザイン研究所メールは、配信数49000通を超える人気。ブログ「SHINOBY'S WORLD」も毎日更新中。
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