不動産投資,出口戦略
(画像=HyejinKang/stock.adobe.com)

不動産投資においては、その物件の取得や管理はもちろん、最終的な売却を含む活用方法をどのようにするかが成否のカギを握るといわれています。売却を含む有効な活用方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

不動産投資の出口戦略とは?

不動産投資の出口戦略とは、物件を最適な状態で手放すことです。その戦略を誤ると、それまで得た利益よりも損失の方が大きくなってしまいます。つまり、不動産投資の出口戦略には、不動産をいつ、どのように手放すかという、「タイミング」と「方法」が重要なポイントとなります。

不動産投資における最も一般的な出口戦略として用いられる方法は、「売却」です。そして、それ以外の方法として「更地売却」や「スクラップアンドビルド」、さらには「更地有効活用」などの方法が考えられます。

そのまま売却する方法

物件を売却し、売却益を得る方法です。その際に、保有期間中のキャッシュフローと売却益が、残債(フルローンの場合)を上回っていれば、その不動産投資は結果的に成功したといえます。不動産投資においては、物件を購入する際に融資を利用するケースがほとんどです。したがって、売却のタイミング、物件の残存年数など、次の買主が融資を受けやすいかも考慮に入れておく必要があります。

更地売却する方法

既存の建物を取り壊し、更地にして売却する方法です。もしも住宅地であれば、その土地を戸建て分譲地としてデベロッパーに売却できる可能性があります。この際も既存建物のキャッシュフロー、建物の解体費用、そして更地売却価格などを総合的に考慮して最終判断を行う必要があります。

スクラップアンドビルドを行う方法

スクラップアンドビルドとは、既存の建物を取り壊し、新しい建物を建てて収益を得る方法をいいます。そして、スクラップアンドビルドを行う場合も、既存建物のキャッシュフロー、建物解体費用、さらに新築建物の建築費とそのキャッシュフローなどを総合的に考慮し、判断する必要があります。

更地有効活用する方法

既存建物を取り壊し、その土地を売却以外で有効活用する方法です。その土地の立地条件が良ければ、第三者に賃貸することで収益を得ることが可能です。

不動産を高値で売却するポイント

不動産は購入時の価格がピークとなり、徐々に下がっていきます。したがって、売却価格は購入価格を下回ることが一般的です。しかし、「物件を安く仕込むこと」により、売却価格が購入価格を上回らなければ意味がありません。

物件を安く仕込むことができれば、保有期間中は高利回りで収益を得ることができますし、売却の際には売却益を得ることも可能です。つまり、不動産投資においては、「購入時に勝負が決まっている」ということができます。とはいえ、購入時にそこまで考慮して購入できるケースはほとんどありません。したがって、少しでも高値で売却することを考える必要があります。

ポイント1:買い手にとって買いやすい物件を心がける

買い手にとって買いやすい物件は、金融機関が融資しやすい物件にもつながります。そのためには、物件を「満室にしておく」ことがポイントとなります。金融機関は売却時点の稼働率を基に物件を評価することから、空室はマイナス要因にしかなりません。売却を考える際には、必ず満室状態にしておくようにしましょう。

ポイント2:買い手にとって印象の良い物件を心がける

実際に売却の話が進むと、買主が現地を視察に来るケースが多いでしょう。その際に、劣化などで外壁や共用部分が汚れていると、修繕費用が必要になり、買主から指値での購入希望を出される可能性があります。このような状態を避けるためにも、共有部分の清掃などを徹底し、維持管理の状態を良くしておくことが大切です。ただし、外壁塗装などの大規模修繕については、その費用対効果を十分に考慮して行いましょう。

ポイント3:売却のタイミングを見極める

不動産価格は、金融機関の融資姿勢に大きく左右されるといっても過言ではありません。そして、その時の景気が大きく関係することを覚えておきましょう。一般的に好景気であれば、金融機関の融資姿勢は積極的になり、不動産の価格も上昇します。一方で、景気が悪くなれば、金融機関の融資姿勢は消極的になり、不動産価格も下落するといわれています。

したがって、景気が上向いており金融機関の融資姿勢が積極的な時であれば、不動産価格が高騰することが予想されることから、そのタイミングを見極めて売却することが大切です。

売却の際の目安となる指標

不動産投資の出口戦略において、売却益を得ることは重要なポイントとなります。なぜなら、売却益を得ることでさらに金融資産を増やすことができるからです。不動産投資は物件を手放して終わりではなく、また新しい物件を購入し融資を受けることも考えなければなりません。そして金融機関から融資を受け続けるためには、「優秀な経営実績を見せること」そして「少しでも多くの金融資産をもつこと」が重要な課題となります。

したがって、売却の際の目安となる指標としては、諸費用を含めた初期投資額の120%以上での売却を目指すようにしましょう。ただし、この指数を短期的に見るのではなく、物件を購入し、そして運営した結果20%以上の利益を確保すると考えれば、保有期間の家賃収入などのキャッシュフローやローン返済状況などから実際に20%以上の利益を出すことはそこまで難しくないといえるのではないでしょうか。

売却を考える際の注意点

売却の際に一番注意したいのが、「保有物件に対して愛着を持たない」ようにすることです。特に不動産投資における新築物件オーナーの場合、土地の検索から資金計画、建築会社の選定および建物のプランニング、さらには工事の準備や着工、そして入居者募集など多くの過程を経験していることから、保有物件に対する愛着を持つケースが見られます。

しかし、保有物件に対して愛着を持ってしまうと、売却の際に高値で売るタイミングを失うことになりかねません。適正な投資判断ができなくなるということは、結果的に不動産投資自体の失敗を招くことになります。

愛着を持つことは悪いことではありませんが、売却のタイミングや不要な設備投資を行うなどの投資判断ミスを行わないように心がけておきましょう。

不動産投資を成功に導くための資質を養う

不動産投資には「判断力」「行動力」そして「胆力」の3つを養いながら実践する必要があります。ただし、このような力は最初から持っているものではなく、不動産投資を行いながら身につけていくものです。

不動産投資は選択の連続です。買い付け、そして売買契約、業者の選定などさまざまな場面で判断を迫られますし、中には即決しなければならないケースもあり得ます。不動産投資において、優柔不断な態度は禁物です。判断を迫られた場合に、即決できる知識と自信を身に着けるようにしましょう。

また、不動産投資で行動力は最も大切な資質といえます。不動産投資には、大きなお金が動き、自宅を購入する際の数千万円の住宅ローンをはるかに上回る、億単位のローンを抱えることになります。そして、その金額に耐えることができる気持ちも大切です。

胆力とは勇気そして度胸です。胆力なくして大きなお金を動かすことはできません。それを乗り越えて、お金がお金を生んでくれることを実感できるようになれば、不動産投資家としての資質は備わったといえます。不動産投資は人生をより豊かにする一つの手段として考え、収益性などを考慮しながら有効に活用していきましょう。

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