不動産小口化投資のアセットシェアリング 特徴と他の不動産投資との違いとは?
(画像=АндрейЯланский/stock.adobe.com)

「安定的に収入を得る」「老後に向けた資産形成」といった手段の一つとして不動産投資が知られています。しかし一口に不動産投資といっても投資方法の種類はさまざまです。今回は、その中でも「不動産小口化投資」に注目し仕組みについて見ていきましょう。

不動産投資にはさまざまな種類がある 

一般的な不動産投資の方法は、物件を購入し、それを貸し出すことで賃料を得ることです。対象となる物件には、区分マンションや戸建て一棟アパートなどがあります。このような物件を保有することで得られる安心感や入居者さえいれば確実に賃料収入を得ることができることから就労収入以外の収入源や年金代わりとして活用しやすい点が注目されている傾向です。

現物の不動産投資の良いところは、所有権が明確である点、また立地にも左右されますが再開発や人気のある地域であれば値上がりによる売却益も期待できる点も魅力的です。しかしこの投資方法だと物件自体が高額な買い物となりさらに空室リスクも考えなければなりません。空室は、家賃収入がなくなるため、物件を保有していること自体が重荷になる事態も予想されます。

そのため資産形成の手段として用いるべきかどうかは、賃貸需要が旺盛な地域かどうかなどによる見極めが必要です。さらに地震や火災といった災害リスクを保険のみで賄うことになるため、地域分散も考慮しなければならないポイントといえるでしょう。そこで最近注目されてきたのが物件の一部を所有する不動産小口化商品や投資信託(REIT)などの金融商品を用いた投資方法です。

現物の不動産投資以外の投資方法とは?

現在では、上述した現物の不動産投資以外にも「不動産投資信託(REIT)」や1口100万円などの「不動産小口化商品」も多く出回るようになっており分散投資がしやすくなっています。このような金融商品を上手に活用することで分配金を得ていくスタイルも資産形成を考えるうえでは取り入れてもいいのではないでしょうか。

不動産小口化投資の特徴 

不動産小口化投資とは、ある不動産を複数人で購入し、その賃貸収入を出資割合に応じて受け取ることができる投資商品です。不動産投資における現物の購入には多額の資金が必要となるため、場合によっては金融機関からの融資を受けることもあります。特に高収入が期待できそうな物件は、立地や建築条件が良いことから物件の価格も高額になりがちです。

小口化投資の場合、それを複数人で小口の資金を出し合って保有し運用していきます。「現物の一部を所有している安心感」「利益収入を得ることができる」といった点が魅力で分散投資の一つとして注目されている傾向です。小口化投資の場合、物件の一部を所有する観点から評価額の引き下げが期待でき相続対策としても利用できます。

さらに物件の所有者は、事業者となることから個人で物件を所有する際に発生する客付けや物件の管理、および修繕などを任せるための管理会社の選定などを行わなくてもいい点は、最大のメリットといえるでしょう。

不動産小口化投資には3つの種類がある

不動産小口化投資には、その特徴によって3つの種類に分けることができます。

・賃貸型
みんなで資金を出し合って購入した物件を事業者に貸し出すことで管理業務を任せるものです。この場合、対象物件は出資した人全員の共有名義となります。

・任意組合型
出資者と事業者との間で任意組合をつくる方法です。この方法を取ることで事業者もその物件の所有者となります。

・匿名組合型
上で述べたような任意組合をつくるのではなく、出資者と事業者との間で匿名組合契約を締結し事業者は利益を出資者に対して利益を分配するというタイプです。商法によって規定されている契約の一つ。ここで気をつけたい点は、上の2つの収入は不動産収入となりますがこの匿名組合契約に基づいて受けた収入は雑所得となることです。

なぜなら出資者は、物件に対して出資しているのではなく事業者に対して出資していることになるからです。そのため出資者は、物件に対して所有権を持つことはありません。

他の不動産投資方法との違い

不動産小口化投資の場合、投資先の物件は決まっています。しかし不動産投資信託(REIT)の場合は、投資先の物件を自分で決めることはできず運用会社の采配に委ねることとなります。

不動産投資信託(REIT)の特徴

不動産投資信託(REIT)の投資先は、住宅に投資するものもあれば商業施設や物流施設、さらにはホテルなどさまざまな投資対象があります。そのため立地条件や建物条件の両面を考慮して複数に投資することが可能です。さらに不動産投資信託(REIT)の場合は、1口10万円前後からファンドを購入できるため、資金的にも分散投資がしやすいといえます。

不動産投資信託(REIT)魅力は高配当

不動産投資信託(REIT)の魅力は高配当です。不動産投資信託(REIT)の場合、「得た利益の90%超を投資家に還元することで法人税を免れる」という仕組みになっています。そのため他のファンドと比べて配当金が高い点が魅力です。ただし普段から売買価格が変動し、状況によっては分配金が減ることもあり得るため、その点は注意しておきましょう。

特に2020年3月のコロナショックにより東証REIT指数が大暴落しその結果分配金が半額まで下がったファンドもあるため、ファンドを選ぶ際には慎重に選ぶことが大切です。

不動産投資全体に共通する投資の考え方と注意点 

不動産投資における収益は、確定されているものではありません。特に不動産小口化投資や不動産投資信託(REIT)の場合、状況に応じては分配金の支払いが行われないこともあり得ます。また不動産投資における最大の魅力は、少ない資金で大きな利益を得ることができる「レバレッジ効果」です。またそのレバレッジ効果をどのように活かすかは、不動産投資方法の選択によって変わってきます。

不動産投資は、以下の2つのパターンに分けることができます。

  • 分配金や家賃収入を得てそのまま資金として利用する考え方
  • 分配金や家賃収入を基にさらに運用に回して増やしていく考え方

これからの不動産投資における考え方として大切なことは後者の考え方です。資産形成は、資産を増やすこと、そしてその手段の一つとして不動産投資が存在します。特に金融資産以外の不動産への投資は、より強固なリスクヘッジが図れるため、おすすめです。運用商品を選ぶ際に重要なことはいかに投資対象を上手に分散させそれぞれのリスクを低減できるかです。

選ぶ商品によって資金調達手段も変わりますし出口戦略も変わってきます。不動産投資にも現物投資、や不動産小口化投資、不動産投資信託(REIT)などの商品はさまざまです。しかしそれぞれの特性やリスクをしっかりと理解したうえで自身のこれからのライフプランとも照らし合わせて上手に組み合わせることが大切といえるでしょう。

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