不動産投資でFIRE、達成する人と挫折する人の差は?
(画像=ELUTAS/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

最近では、FIREを目的に不動産投資を始める人も増えているようです。しかし現実は、すべての人がFIREを達成できるわけではありません。ここでは、FIRE成功者の事例を参考にしながら「FIREを達成する人と失敗する人の差」にフォーカスします。

不動産投資でFIREを達成するときの5つのポイント

米国のミレニアル世代に支持されているFIREへの興味が日本の若いビジネスパーソンの間でも広がっています。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略。経済的に自立できるだけの資産形成を進めて早期リタイアを実現するのが目標です。ただし「どれくらい資産があればFIREを達成できるか」については諸説あります。

代表的なFIRE達成の目安は「資産が1億円以上あればFIREできる」「25年分の生活コストを貯める」などありますがFIREのポイントになるのは「投資元本を目減りさせることなく不労所得のみで生活すること」です。FIRE向けの資産運用としてよく取り上げられるのは投資信託ですが不動産投資も向いているといわれています。

なぜなら不動産投資は、安定収益が期待できるからです。FIREは、一定ペースでリターンを積み上げていくことが重要となります。とはいっても実際に不動産投資でFIREできる状態までに成功できるのはごく一部です。「FIRE成功のための5つのポイント」の一例は、以下の通りです。

  1. 1棟物件を選ぶ
  2. 黒字申告・決算にこだわる
  3. 金融機関の評価の高い物件を買う
  4. 高利回り物件を選ぶ
  5. 表面利回りに惑わされない

引用:YANUSY「不動産投資でFIRE(早期リタイア)を達成するための5つのポイント」の内容をもとに一部編集

上記のポイントは、不動産投資の経営規模を広げるためのポイントとほぼイコールです。ただしこの「FIRE成功のための5つのポイント」は、あくまでもセオリーで「区分マンション中心で成功した事例」「株式投資・投資信託と組み合わせた事例」などもあります。その内容を見てみましょう。

成功事例:区分マンション経営中心でFIRE達成

1つ目の成功事例は『43歳で「FIRE」を実現したボクの無敵不動産投資法』の著者・村野博基氏です。村野氏は2004年に不動産投資をスタート。2019年に43歳でFIREを達成しました。2020年までに村野氏は賃貸物件を都内16区に計28戸所有しています。買い増しペースと内容は次の通りです。

年度戸数
2004年1戸
2005年2戸
2006年2戸
2007年3戸
2008年1戸
2013年3戸+自宅
2014年2戸
2015年2戸
2016年3戸
2017年2戸
2018年2戸
2019年4戸
2020年1戸

著書執筆時の村野氏の家賃収入は、年間約3,000万円です。(2020年10月末時点)ここから管理費や修繕積立金、地代などを差し引いた手残りは、年間約2,500万円。村野氏の場合、所有物件のほとんどが区分マンションというのが特徴的です。

「不動産投資でFIREを達成するには1棟物件が向いている」といわれています。
しかし村野氏のように最終的に部屋数を増やせれば区分マンションでもFIRE達成は可能なのです。村野氏は著書の中で不動産投資を活用してFIREを達成するまでのコツを紹介しています。その一つは「キャピタルゲイン(売買差益)ではなくインカムゲイン(家賃収入)で収益を得る」というものです。なぜならキャピタルゲインよりも安定感があり相場や値動きを気にしなくてもよいからです。

一方インカムゲインのデメリットとして不動産投資のスタートから「安定した生活になるまでに時間がかかること」を挙げておりだからこそ「早い段階(若いころ)から取り組んでいく必要がある」とも述べています。このほか著書内では、ローンの借り換え交渉や繰り上げ返済でキャッシュフローを改善する方法なども紹介しているため、気になる人はぜひご一読ください。

成功事例:不動産投資とほかの投資手法を組み合わせてFIRE達成

2つ目の成功事例は「不動産投資×株式投資・投資信託」を組み合わせたパターンです。「いんべすさん(ハンドルネーム)」は、手取り約17万円という限られた収入のうち約12万円を株式投資や投資信託に回して資産600万円というFIRE達成の足がかりをつくりました。さらに米国株投資で資産を増やした後、FIRE達成の期間を短縮するために不動産投資に着手。

2017年からスタートし2021年にはアパート5棟、戸建3戸を所有するまでになりました。これにより家賃年収2,150万円、月間キャッシュフロー50万円超に到達。「いんべすさん」が定めていたFIREの基準を達成しています。FIREを目指す人は、単に達成できるだけでなく20~30代の若いうちに不労所得生活を実現することに憧れを抱く人が多い傾向です。

31歳でFIREを達成した「いんべすさん」は、そのモデルケースといえるでしょう。

この項の参照:楽街新聞「手取り17万から「FIRE」達成、31歳で自由を手にした投資家」

成功事例:外国株で増やした資産で太陽光発電購入

3つ目は、太陽光発電がFIRE達成の一助になった「たぱぞうさん(ハンドルネーム)」です。FIREに関連する不動産投資というとアパートやマンション、戸建住宅などを経営するイメージが強いかもしれません。しかし太陽光発電設備などが対象になるケースもあります。「たぱぞうさん」は、リーマンショック後に米国株に着目し約1,000万円の元出を3~4年で約5,000万円にまで増やしました。

また支出においても「新車は買わない」「結婚式を30万円で済ます」といった努力で2017年ごろに資産1億円超を達成。さらに年間450万円の安定収入が得られるように資産の一部をローンの頭金にして太陽光発電設備を購入しました。あわせてブログの収益化や民泊などに取り組み毎月のキャッシュフローが毎月100万円超になるまで成長しています。

この項の参照:日本経済新聞「FIRE達成への道(下)」

不動産投資でFIRE達成をはばむ3つの不安とは?

ここまで不動産投資でFIREを達成した成功事例を見てきましたが失敗パターンも考えていきましょう。前出の『43歳で「FIRE」を実現したボクの無敵不動産投資法』などを参考にすると以下のような3つの不安を抱えた物件がFIRE実現をはばむ「悪い物件」といえるでしょう。

  1. 長期経営で不安(エリア内の人口は安定しているかなど)
  2. 安定性で不安(空室がすぐに埋まるかわからないなど)
  3. 家賃収入で不安(売却益に期待し過ぎていないか、節税目的になっていないかなど)

いずれもシンプルな内容ですが一つでもあてはまればFIRE達成の大きな障壁となりかねません。「1.長期経営で不安」の視点でいえば現時点で家賃収入があっても10年後、20年後に長期空室が発生すればFIRE達成の足を引っ張ります。「2.安定性で不安」は、例えば不便な立地の新築物件を購入してしまうと初期の段階でつまずくことになりかねません。

「3.家賃収入で不安」は、インカムゲインの積み重ねが不動産投資におけるFIREへの道筋です。目的がキャピタルゲインや節税目的などにブレてしまえば当然ながらFIRE達成が難しくなります。長期的に安定した家賃収入を稼ぎながら経営規模を広げていく……これこそが不動産投資でFIREの鉄則です。

「日本版FIRE」65歳時点で2,000万円プラスアルファを目指す

本稿では、注目度の高い「不動産投資でFIRE」の成功事例と失敗パターンを見てきました。最後にFIREのトレンドについてです。FIREの盛り上がりとともにさまざまなFIREの考え方が登場しています。その一例が「日本版FIRE」です。先述したようにFIRE達成の基本は「資産1億円」「生活費25年分の資産」などといわれています。

ただ日本では、厚生年金が充実しているため、会社員などは「65歳時点で2,000万円プラスアルファの資産があれば充分ではないか」といった考え方が日本版FIREです。一口にFIREといっても人それぞれのFIREがあります。もしFIREを目指すのであればまず「自身の人生を充実させるFIREとはどんな内容か」をしっかりと固めてから取り組むのがよいでしょう。

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