不動産投資でFIRE、達成する人と挫折する人の差は?
(画像=ELUTAS/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
住宅/不動産ライター。WEBライティング実務士(CPAJ)。ビジネス書の編集会社、アスラン編集スタジオ勤務を経て2016年に独立。自身で賃貸経営、住宅購入の経験あり。税金をテーマにした記事の実績も多数あります。

FIREが「早期リタイア」を意味することは、多くの人がご存じではないでしょうか。しかしFIREの考え方や投資方法が間違っていれば目標達成は難しくなります。

本稿の前半では、FIREの基本や米国版・日本版のFIREの違いなどを確認します。さらに後半では、FIREの具体的な投資方法となる投資信託と不動産投資を紹介。特に後者について詳しく解説していきます。

目次

  1. 「FIRE」の意味を再確認しよう
    1. FIREの目標となる「4%ルール」とは?
    2. 日本版FIREの考え方とは?
  2. FIRE達成へのスタンスは、米国版と日本版で大きく違う
    1. 米国版FIREで早期リタイアを目指す
    2. 日本版FIREでやや早めのリタイアを目指す
  3. FIRE達成を実現するための投資方法
    1. 投資信託
    2. 不動産投資
  4. FIRE達成を目指したときの不動産投資のメリットとは?
    1. 不動産投資ローンが使える
    2. レバレッジ効果が期待できる
    3. 金融市場暴落の影響を受けにくい
    4. 運用に手間がかからない
  5. 不動産投資でFIRE達成を目指す際の6つのポイント
    1. できるだけ早く不動産投資を始める
    2. 不動産投資の種類は、一棟物件を選ぶ
    3. 黒字申告・決算にこだわる
    4. 金融機関の評価の高い物件を買う
    5. 適切な利回りの物件を選ぶ
    6. 表面利回りに惑わされない
  6. 不動産投資でFIREに成功する人・失敗する人の傾向とは?
    1. 不動産投資でFIREに成功する人の傾向
    2. 不動産投資でFIREに失敗する人の傾向
  7. 成功事例:区分マンション経営中心でFIRE達成
  8. 成功事例:不動産投資とほかの投資手法を組み合わせてFIRE達成
  9. 成功事例:外国株で増やした資産で太陽光発電購入
  10. 不動産投資でFIRE達成をはばむ4つの壁とは?
    1. 融資審査に通らない壁
    2. 空室が埋まらない壁
    3. 経営が不安定な壁
    4. 家賃収入が下落する壁
  11. FIREを目指すと決断したときに、まず着手することは?
  12. 不動産投資とFIREに関するよくある質問
    1. Q:FIREを意識したときの不動産投資のメリットは?
    2. Q:不動産投資でFIREを達成するためのポイントは?
    3. Q:FIRE達成をはばむ壁には何がある?

「FIRE」の意味を再確認しよう

FIREとは「Financial Independence,Retire Early」の略です。経済的に自立できるだけの資産形成を進めて早期リタイアを実現することを指します。もともと米国のミレニアル世代(1980~1990年半ば生まれ)の間で注目され、その後日本でも資産形成に興味のある若い世代を中心に浸透しました。

FIREの目標となる「4%ルール」とは?

「どれくらい資産があればFIREを達成できるか」については、諸説あります。代表的なFIRE達成の目安として「資産が1億円以上あればFIREできる」「25年分の生活コストを貯める」などがあります。ただしFIREは、単に目標額を達成するだけでなくリタイア後も「投資元本を目減りさせることなく不労所得のみで生活すること」を目指すことが大切です。

具体的には「リタイア後も投資によって資産の4%のキャッシュフローを生み出しお金の不安のない生活が一生できる」といった考え方を指し、このFIREの仕組みは「4%ルール」と呼ばれます。

日本版FIREの考え方とは?

ここまで解説してきた内容は、米国版FIREの考え方です。しかしその後、有識者によって日本版FIREも提唱されるようになりました。なぜなら米国と日本では、公的年金制度やインフレ環境が大きく異なるからです。『日本版FIRE超入門』の著者かつ日本経済新聞のコラムニストの山崎俊輔氏は、2021年8月2日の日本経済新聞電子版で以下のように述べています。

公的年金をベースにすれば、1億円を一生涯持ち続けるような設定は不要です
出典:日本経済新聞

日本版FIREを提唱する山崎氏によると日本人に向いたFIREのリタイア年齢は、通常の退職年齢よりやや早い60歳(可能なら50代)としたうえで以下の生活費が必要と助言しています。

日本版FIREに必要な金額:
老後資金2,000万円+60~65歳の生活費

ただしこれはあくまでも退職金・企業年金が満額の場合の必要額です。同じビジネスパーソンでも退職金があまりもらえなかったり、そもそも企業年金がなかったりする人は、上記よりも多めの資金がないとFIRE達成が難しくなります。

FIRE達成へのスタンスは、米国版と日本版で大きく違う

ここまでの内容で同じFIREでも米国版と日本版では、考え方や目標設定が大きく違うことを理解できたのではないでしょうか。当然FIRE達成のスタンスも根本から変わってきます。

米国版FIREで早期リタイアを目指す

例えば20代の人が30~40代などの早期リタイアを目指すような米国版FIREでは、1億円などまとまった資産をつくることが目標です。これを実現するには、年収1,000万円以上のキャリアを手に入れるだけでなく収入の半分以上を資産形成・貯蓄に回すような倹約が求められます。しかしこれを達成できるのは、エリートかつストイックな一部の人といえるでしょう。

短期間での早期リタイアを目指すならある程度のリスクをとって投資にチャレンジしたり、手元資金にレバレッジを効かせる投資をしたりするなどの行動が求められます。

日本版FIREでやや早めのリタイアを目指す

日本版FIREは、通常の退職年齢よりもやや早い60歳、または50代の早期リタイアを目指します。一般的な収入でも長期的に安定したリターンを生み出すような投資をしていけば達成可能です。つまり日本版FIREは、米国版と比べるとより多くの人がチャレンジしやすいといえるでしょう。

20~30代前半など若いうちに始めれば、より早いタイミングで早期リタイアができるかもしれません。

FIRE達成を実現するための投資方法

FIREムーブメントをつくったクリスティー・シェンさんは、著書『FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』の中で投資信託と不動産投資を推奨しています。どちらの投資方法も長期的に安定したパフォーマンスを発揮しやすいのが特徴です。FIRE達成のためには、一時的なハイリターンよりも長期的なローリターン(あるいは、ミドルリターン)が求められます。

投資信託と不動産投資、それぞれの投資方法を確認してみましょう。

投資信託

投資信託の中でもクリスティー・シェンさんが推奨しているのは、インデックス投資です。インデックス投資とは、日経平均株価やNYダウなど特定の経済指数(インデックス)と連動する投資信託のことで、日本でも投資の初心者~上級者まで幅広い層に運用されています。この投資手法は、シェンさんがFIRE達成をするための原動力となりました。

シェンさんがインデックス投資を推奨している理由の一つは、手数料が安く長期的な運用パフォーマンスを引き下げなくて済むからです。

不動産投資

クリスティー・シェンさんが推奨しているもう一つの投資方法が不動産投資です。シェンさんは、自身が住むための不動産を買うことは否定していますが、賃貸目的の不動産であれば「優れた投資資産になり得る」と述べています。FIREと不動産投資の相性がよいのは、米国も日本も変わらないでしょう。

日本の不動産投資は、一般的にローリスク・ローリターン(またはミドルリターン)の投資方法で安定性があると評されます。

FIRE達成を目指したときの不動産投資のメリットとは?

ここからは、FIREと相性のよい2つの投資手法のうち不動産投資にフォーカスしていきます。FIRE達成のために不動産投資をする場合、メリットやポイントを理解することが大切です。基礎的な知識なしに不動産投資をしても資産を効率的に増やすことはできません。まずは、不動産投資のメリットから見ていきましょう。

不動産投資ローンが使える

ローンを使えることこそがFIRE達成のために不動産投資を選ぶ一番のメリットといえるでしょう。投資商品を購入するためにローンが使えるのは、不動産投資だけです。金融機関は、投資信託や株式、暗号資産(仮想通貨)などの金融商品を購入する目的で融資をしれくれません。不動産投資ローンを活用することでFIRE達成を早めることが期待できます。(詳細は後述)

なお、不動産投資だけが融資が受けられる理由としては「事業性が強い」「現物資産の不動産が担保にできる」などが考えられます。

レバレッジ効果が期待できる

不動産投資におけるレバレッジ効果とは、限られた自己資金とローンの併用でより大きな家賃収入を生み出すことです。例えば手元資金1,000万円、利回り6%で投資信託と不動産投資で運用していく場合を比較してみましょう。投資信託では、手元資金1,000万円をそのまま運用するため、年間リターンは60万円です。

一方不動産投資では、仮に手元資金1,000万円、ローンによる借り入れ4,000万円の計5,000万円を運用した場合、年間リターンは投資信託の5倍の300万円になります。

※ただし投資信託の中には「指数の○倍」といった値動きを設定したレバレッジ型の投資信託もあります

金融市場暴落の影響を受けにくい

株式や債券などで構成される金融市場(投資信託含む)は、値動きが激しく専門家でさえ予想しにくい特性があります。そのため、FIREのような長期間で安定したキャッシュフローを積み上げていくタイプの資産運用には不向きです。

一方マンションやアパートなど住宅系の不動産投資は、金融市場や景気の影響を受けにくいためFIRE向きといえます。なお不動産投資が安定しているといわれる理由は、不景気になっても住居が必要なことは変わらないからです。

運用に手間がかからない

不動産投資は、運用(入居者や物件の管理など)を管理会社にアウトソースできるため、ほとんど手間がかかりません。そのためビジネスパーソンや別の事業をしているような多忙な人でもムリなくFIRE達成を目指しやすいといえるでしょう。

一方、株式投資に代表される金融商品の取引は、日々の市場動向に合わせながら売買することが必要です。手間がかかるため、ビジネスパーソンなどは本業に悪影響が出て収入が減ってしまう可能性があります。

不動産投資でFIRE達成を目指す際の6つのポイント

不動産投資という仕組みを活用してFIRE達成をするには、以下の6つのポイントを意識したり実行したりすることが大切です。

できるだけ早く不動産投資を始める

FIRE達成までのフローは、シンプルです。まず目標額を決めて(例:年収の25倍など)、それを達成するため、決まった額を毎月キャッシュフローとして積み上げていきます。例えば目標達成までに10年必要な場合、30歳時に不動産投資を始めれば達成するのは40歳です。また40歳で開始なら50歳で達成となります。

資産運用を始める年齢が早いほどFIRE達成の年齢も早くなる……これがFIREの鉄則なのです。

不動産投資の種類は、一棟物件を選ぶ

不動産投資には、いくつかの種類があります。例えば住居系であれば「一棟物件」「区分所有」「戸建て」などです。一棟物件とは、アパートやマンションなどの建物を丸ごと経営する投資方法を指します。

また区分所有とは、○号室のようなマンションの1部屋を経営する手法です。これらの種類うち一棟物件は、FIREを目指す人に向いています。なぜなら部屋数があり(経営規模が大きい)、キャッシュフローを多めに確保しやすいからです。

黒字申告・決算にこだわる

不動産投資をする人の中には、所得税の節税目的で赤字申告や決算を行う人もいますがFIRE達成を目指すのであればおすすめできません。たしかに給与所得がある状態であれば不動産所得が赤字でも損益通算することで所得税の節税ができます。しかしFIREは給与所得がなくなるため、不動産所得が赤字でも節税の恩恵は受けられません。

そのため、不動産投資を事業と捉えて利益を追求することが大切です。もちろん、必要な経費をもれなく計上してムダな税金を圧縮する努力は求められます。不動産投資を始めるなら税金と不動産投資の関係を正しく理解することも必須です。

金融機関の評価の高い物件を買う

不動産投資による手元資金へのレバレッジは、ローンを利用することで可能になります。ローンの審査にスムーズに通るには、金融機関の評価が高い物件を購入するのがポイントです。具体的には「物件価格に対して十分な家賃収入が得られる」「土地や建物の価値が高い」といった物件の評価が高くなりやすいでしょう。

このような物件は、貸し倒れのリスクが少なく担保評価が高いため、金融機関が融資をしやすいのです。

適切な利回りの物件を選ぶ

一口に不動産投資といっても物件の内容はさまざまです。儲からない低利回り物件に手を出してしまえばFIRE達成が難しくなってしまいます。しかし高利回り物件であれば何でもよいわけではありません。一般的に利回りとリスクは相関関係にあります。つまり、高利回りということは、それだけリスクがあるということです。

例えば、地方の築古物件は低価格の傾向のため高利回りですが、空室リスクは高くなります。FIRE達成に向いているのは、リスクの高い高利回り物件ではなく適切な利回りを長期的に生み出してくれる物件です。

表面利回りに惑わされない

前項で、FIREと相性が良いのは「適切な利回りの物件」と解説しました。ただしここでいう利回りとは、大ざっぱな収支をつかむための表面利回りでなく経費やローン返済などを差し引いた「実質利回り」のことです。

不動産投資では、十分な利回りに見えても経費や税金などを差し引くとキャッシュフローが出ていなかったり赤字であったりするケースもあります。必ず実質利回りを確認して物件を購入しましょう。

引用:YANUSY「不動産投資でFIRE(早期リタイア)を達成するための5つのポイント」の内容などをもとに一部編集

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不動産投資でFIREに成功する人・失敗する人の傾向とは?

FIRE達成を目指して不動産投資を始めたのになぜ成功する人と失敗する人がいるのでしょうか。両者には、主に以下のような傾向があります。

不動産投資でFIREに成功する人の傾向

端的にいえば先述した「不動産投資でFIRE達成を目指す際の6つのポイント」を意識・実行する人が成功する人です。6つのポイントとは、次の内容でした。

  1. できるだけ早く不動産投資を始める
  2. 不動産投資の種類は、一棟物件を選ぶ
  3. 黒字申告・決算にこだわる
  4. 金融機関の評価の高い物件を買う
  5. 適切な利回りの物件を選ぶ
  6. 表面利回りに惑わされない

上記に加えてメンタル面の注意点としては「FIRE達成を早くしたい」と焦ったり短絡的に考えたりすることは禁物です。あくまでも不動産投資は「大勢の入居者がいるから成り立つ事業」です。入居者がいるからこそ安定収入が得られることを忘れてはいけません。

不動産投資でFIREに失敗する人の傾向

上記に挙げた6つのポイントから外れた物件になるほど不動産投資によるFIRE達成が難しくなります。これは、具体的にイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

例えば低利回りの区分マンションを高金利のローンで運用してもFIRE達成は難しいでしょう。それどころか家賃とローン返済の差額を埋めるため、手元キャッシュが減っていくことも考えられます。

不動産投資の基礎知識を身につけておけば自分で適切な判断がしやすくなります。くれぐれも悪徳業者のいいなりにならないように注意しましょう。

成功事例:区分マンション経営中心でFIRE達成

先述した「FIRE達成を目指す際の6つのポイント」は、あくまでもセオリーです。そのため「区分マンション中心で成功した事例」「株式投資・投資信託と組み合わせた事例」などもあります。ここでは、別の成功事例を見てみましょう。1つ目の成功事例は『43歳で「FIRE」を実現したボクの無敵不動産投資法』の著者・村野博基氏です。

村野氏は、2004年に不動産投資をスタートし2019年(43歳)でFIREを達成しました。2020年10月末時点で賃貸物件を都内16区に計28戸所有しています。買い増しペースと内容は、以下の通りです。

年度戸数
2004年1戸
2005年2戸
2006年2戸
2007年3戸
2008年1戸
2013年3戸+自宅
2014年2戸
2015年2戸
2016年3戸
2017年2戸
2018年2戸
2019年4戸
2020年1戸

2020年10月末時点の村野氏の家賃収入は、年間約3,000万円です。ここから管理費や修繕積立金、地代などを差し引いた手残りは、年間約2,500万円。村野氏の場合、所有物件のほとんどが区分マンションというのが特徴的です。

一般的に「不動産投資でFIREを達成するには1棟物件が向いている」といわれています。しかし、村野氏のように最終的に部屋数を増やせれば区分マンションでもFIRE達成は可能なのです。

村野氏は、著書の中で不動産投資を活用してFIREを達成するまでのコツを紹介しています。その一つは「キャピタルゲイン(売買差益)ではなくインカムゲイン(家賃収入)で収益を得る」というものです。なぜならキャピタルゲインよりも安定感があり相場や値動きを気にしなくてもよいからです。

一方インカムゲインのデメリットとして、不動産投資のスタートから「安定した生活になるまでに時間がかかること」を挙げています。だからこそ早い段階(若いころ)から取り組んでいくことが大切といえるでしょう。

このほか著書内では、ローンの借り換え交渉や繰り上げ返済でキャッシュフローを改善する方法なども紹介しているため、気になる人はぜひご一読ください。

成功事例:不動産投資とほかの投資手法を組み合わせてFIRE達成

2つ目の成功事例は「不動産投資×株式投資・投資信託」を組み合わせたパターンです。「いんべすさん(ハンドルネーム)」は、手取り約17万円という限られた収入のうち約12万円を株式投資や投資信託に回して資産600万円というFIRE達成の足がかりをつくりました。さらに米国株投資で資産を増やした後、FIRE達成の期間を短縮するために不動産投資に着手。

2017年からスタートし2021年にはアパート5棟、戸建3戸を所有するまでになりました。これにより家賃年収2,150万円、月間キャッシュフロー50万円超に到達。「いんべすさん」が定めていたFIREの基準を達成しています。

FIREを目指す人は、単に達成できるだけでなく20~30代の若いうちに不労所得生活を実現することに憧れを抱く人が多い傾向です。31歳でFIREを達成した「いんべすさん」は、そのモデルケースといえるでしょう。

この項の参照:楽待新聞「手取り17万から「FIRE」達成、31歳で自由を手にした投資家」

成功事例:外国株で増やした資産で太陽光発電購入

3つ目は、太陽光発電がFIRE達成の一助になった「たぱぞうさん(ハンドルネーム)」です。FIREに関連する不動産投資というとアパートやマンション、戸建住宅などを経営するイメージが強いかもしれません。しかし、太陽光発電設備などが対象になるケースもあります。

「たぱぞうさん」は、リーマンショック後に米国株に着目し約1,000万円の資金を3~4年で約5,000万円にまで増やしました。また支出においても「新車は買わない」「結婚式を30万円で済ます」といった努力で2017年ごろに資産1億円超を達成。さらに、年間450万円の安定収入が得られるように資産の一部をローンの頭金にして太陽光発電設備を購入しました。

あわせてブログの収益化や民泊などに取り組み、毎月のキャッシュフローが100万円超になるまで成長しています。

この項の参照:日本経済新聞「FIRE達成への道(下)」

不動産投資でFIRE達成をはばむ4つの壁とは?

成功事例を知ることで不動産投資によってFIRE達成ができるイメージを抱くことができたのではないでしょうか。ただ、いざ不動産投資を始めようとするとFIRE達成をはばむ壁にぶつかることもあります。そこでここからは、代表的な4つの壁とそれぞれの解決法を紹介します。

融資審査に通らない壁

不動産投資ローンを利用して物件を購入する場合、金融機関の融資審査に通過することが必要です。前提として一定の収入が必要ですが、クリアしている人でもほかのローン残債が多かったり過去のローン返済で遅延があったりすると審査に通らないこともあります。

例えば、注意したいのがスマホ(携帯電話)端末を分割払いしている場合です。ほかのローンをしっかりと返済をしているつもりでも、うっかりスマホ端末の分割払いの引き落としができずに遅延の履歴が残ってしまう場合があります。

・解決法
FIRE達成を目指して近いうちに不動産投資を始める予定がある人は、ローン残債を増やさないようにするのが賢明です。例えば以下の借り入れは、慎重に検討すべきでしょう。

  • ショッピングローン
  • 住宅ローン
  • マイカーローン など

特に気をつけたいのは、借入額が多くなりやすい住宅ローンやマイカーローンです。FIRE達成を最優先するなら、不動産投資ローンを組む前にまとまった額のローンを避けることをおすすめします。

空室が埋まらない壁

ローン審査に無事通って物件を購入できても、いざ不動産投資を始めたら空室が埋まらず十分なキャッシュフローを得られないケースもあります。空室が埋まらない主な理由には、以下のようなものがあります。

  • その立地に賃貸ニーズがない
  • 競合物件が多すぎる
  • 築古など物件の魅力が薄れている
  • 問題のある入居者がいる
  • 家賃設定が高すぎる など

これらが複合的に組み合わることで空室が埋まっていないケースもあります。例えば、競合物件が多すぎるだけでなく家賃設定が高すぎるといった物件などです。

・解決法
まずは「何が原因で空室が発生しているか」を突き止めましょう。そのうえで原因を解消するための解決法を実行するのが効果的です。逆にいえば原因と無関係の空室対策を実行してもキャッシュフローの改善にはつながりません。とはいえ、不動産投資の初心者が空室の原因を突き止めるのは難易度が高いでしょう。

例えば、客付会社(仲介会社)など賃貸の現場をよく知っている人に空室の原因をヒアリングするのも効果的です。

経営が不安定な壁

長期的に安定した家賃収入を稼ぎながら経営規模を広げていく……これこそが不動産投資によるFIREの鉄則です。しかし経営が安定しないため、FIRE達成が難しくなるケースも考えられます。不動産投資では、物件購入後に空室が埋まっていても一定期間ごとに退去が発生する可能性は否めません。

退去空室の割合が高かったり退去と入居の期間が長引いたりすることで、キャッシュフローが思うように確保できないケースも考えられます。

・解決法
FIRE達成を目指すなら、一時的ではなく継続的に稼働率を高める努力が必要です。そのためには、できる限り退去が発生しないように入居者満足度を高める工夫をしましょう。具体的には、入居者に人気の住宅設備を導入するなどが有効です。また退去が発生した際、なるべく早く新たな入居者に住んでもらう努力も求められます。

これを実現するには「入居者募集」「原状回復工事」「ハウスクリーニング」などを早いタイミングで行うのがポイントです。

家賃収入が下落する壁

エリアや物件の魅力度合いによっても異なりますが一般的に賃貸物件の家賃は、年平均1%ずつ下落していく傾向です。家賃下落の影響で空室率を抑えているにもかかわらずFIRE達成に必要なキャッシュフローを得られない壁にぶつあることもあります。

家賃が下がった物件は、利回りが低下しているため、希望価格で売れにくくキャピタルゲインを得にくくなるでしょう。また、売却差損が発生すればFIRE達成の足かせとなりかねません。

・解決法
前提として物件購入前の時点で家賃の下落率を折り込んだ経営シミュレーションが大切です。10年後、20年後に家賃が下がっても経営を継続できる物件を購入することがFIRE達成の鍵となります。物件購入後のオーナーの努力としては「住宅設備を定期的に新しくする」「大規模修繕を適切に行う」などが有効です。

対策を講じることで家賃下落率を最小限に抑えることが期待できます。一方、設備交換や修繕にコストをかけ過ぎるとキャッシュフローが減る原因となるため、要注意です。

FIREを目指すと決断したときに、まず着手することは?

本稿では、FIREの基本知識や米国版と日本版FIREの違い、FIREと相性のよい資産運用となる不動産投資などのテーマを解説してきました。FIREを目指すと決断した場合、まず着手すべきことは以下のどちらを選択するか明確にすることです。

  • 米国版FIRE:厳しい条件で早期リタイア
  • 日本版FIRE:ゆるやかな条件でやや早めのリタイア

なぜならどちらを選択するかで購入物件やライフスタイルが大きく変わってくる可能性があるからです。米国版と日本版のいずれかを選択した後は、目標金額と目標期間の設定を行いましょう。その情報をもとに、不動産会社の担当者などに対して目標を達成するには「どのような物件をどんな条件で購入すればよいか」をアドバイスしてもらうのが効率的です。

不動産投資とFIREに関するよくある質問

Q:FIREを意識したときの不動産投資のメリットは?

ほかの投資方法にはない以下の4つのメリットがあります。

  1. 不動産投資ローンが使える
  2. レバレッジ効果が期待できる
  3. 金融市場暴落の影響を受けにくい
  4. 運用に手間がかからない

Q:不動産投資でFIREを達成するためのポイントは?

主に以下のような6つのポイントがあります。どれもFIRE達成に欠かせません。

  1. できるだけ早く不動産投資を始める
  2. 不動産投資の種類は、一棟物件を選ぶ
  3. 黒字申告・決算にこだわる
  4. 金融機関の評価の高い物件を買う
  5. 適切な利回りの物件を選ぶ
  6. 表面利回りに惑わされない

Q:FIRE達成をはばむ壁には何がある?

主に以下の4つの壁があります。それぞれに解決法があります。

  1. 融資審査に通らない壁
  2. 空室が埋まらない壁
  3. 経営が不安定な壁
  4. 家賃収入が下落する壁

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