オーナーチェンジ物件は、売りに出された理由などを知らないまま購入すると期待した収益が得られない可能性があります。購入後すぐに家賃収入が発生することは大きなメリットとなるため、オーナーチェンジ物件に関心を持つ方は少なくありません。しかし売りに出された本当の理由や注意するポイントをあらかじめ確認してから投資するかを判断することが重要です。
この記事では、オーナーチェンジ物件でリスク回避のために確認しておきたい注意点を解説します。
オーナーチェンジ物件が不動産投資で有利な理由
オーナーチェンジ物件とは、賃貸建物に入居者がいる状態で売りに出される物件です。その特徴から空室物件と比べ、以下のような投資上の有利さがあります。
すぐに家賃収入が発生する
オーナーチェンジ物件は、すでに入居者がいるため、購入し所有権が移ればすぐに家賃収入が発生します。これは、すぐに収入が必要な方やローンで購入し支払いにできるだけ自己資金を使いたくない方には大きな魅力です。一方空室で賃貸物件を購入する場合は、入居者が決まるまで家賃収入が発生しません。そのためローンを使っていると返済は、自己資金からの持ち出しとなります。
しかも入居者がいつ決まるか分からないため、自己資金が限られる方にとってリスクの高い選択になってしまうでしょう。
ローン審査が通りやすい
物件の購入でローンを利用する場合「オーナーチェンジ物件は金融機関の融資審査が通りやすい」という点がメリットです。審査では、物件の収益見通しなどが検討されますがすでに入居者がいるため、収益発生の見込みが高いと判断されやすくなります。空室物件の場合、収益見通しがあったとしてもそれは予想です。
そのため審査結果によっては「収益が厳しい」と判断され希望額の融資が受けられない可能性もあります。すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件は、ローン利用の面でも大きなアドバンテージとなるのです。
オーナーチェンジ物件が売りに出される理由
オーナーチェンジ物件で気になるのが売りに出されている理由です。「なにか大きなデメリットのある物件だからではないか」と考えることは、リスク回避のために必要になります。オーナーチェンジ物件は、売りに出される理由を必ず確認したうえで以下に挙げる注意点に照らし合わせながら検討しましょう。
オーナーの事情
物件が売りに出される理由でよく聞かれるのは、以下のようなオーナーの事情によるものです。
- 個人的な事情で現金が必要になった
- 離職などで返済が難しくなった
- 転勤や高齢で自己管理が困難になった
こうした理由が本当なら「物件自体に大きな問題はない」と考えられます。しかしオーナーチェンジ物件の場合、見た目では分からない問題があるにもかかわらず正直に教えてもらえない可能性もあるかもしれません。そのため「入居者」「建物環境」などに問題がないかについても確認することが必要です。
入居者の問題
入居者に問題がありオーナーが対応に手を焼いて売りに出される物件の可能性もあります。例えば以下のような入居者がいるのかもしれません。
- 家賃を頻繁に滞納している
- モンスタークレーマーがいる
- 他の住人とのトラブルが多い
管理会社の中には、こうした入居者とのやりとりを記録し情報提供してくれるところもあります。しかしネガティブな情報が必ずオーナーに提供されるとは限りません。こうした問題のある入居者のいる物件を知る手がかりになるのが実際に物件を見に行くことです。売りに出されている部屋の前まで行き共用の玄関ホールやゴミ出し場、駐輪場なども確かめてみましょう。
ゴミが散乱していたり乱雑に物が置かれていたりすれば素行の悪い入居者がいるかもしれません。その状況を放置している管理会社の対応を含め慎重に判断すべき物件という判断もできます。
建物環境の変化
物件を見に行ったときは、周辺の環境もチェックするようにしましょう。なぜなら周囲に入居者に敬遠されるようなマイナス要因があって売りに出された可能性もあるからです。例えば以下のようなケースもあります。
- 南側に高層マンションが建築され日当たりが悪くなっている
- 近所に騒音を出す施設などが建築されている
- 近所に焼き肉屋のような強い匂いを出す店がオープンした
実際に現地へ足を運び周辺環境をチェックすることで売りに出された本当の理由が分かる可能性もあります。物件が遠方の場合は、難しいかもしれませんが高額な投資になるため、ぜひ現地を確かめに行くようにしましょう。
リスク回避でチェックしたい家賃設定
オーナーチェンジ物件では「現在の家賃が相場に対して高いかどうか」も必ず確かめましょう。なぜなら周辺の同程度の物件より家賃が高い場合、今の入居者が退出した後に新たな入居者が見つかりにくくなるからです。さらに空室が長期化してしまうと結果的に家賃を大幅に下げざるをえないかもしれません。長期的な物件の収支計画は、家賃の減少を見込んで立案することが重要です。
もし現在の家賃が相場より高い場合は、下落幅も多めに予想して計画を立てなければいけません。特に現在の入居者の居住年数が長いと物件状態が良い以前の高い家賃のままで来ているケースもあり注意が必要です。そのため事前に物件のエリアにある他の不動産会社に問い合わせ同程度の物件の家賃相場を確認したうえで購入を検討するようにしましょう。
サクラ入居者を確かめる方法
オーナーチェンジ物件では、売りに出す前に知り合いなどに頼んで相場より高い家賃で入居してもらう「サクラ入居者がいる」という話を耳にします。なぜなら高い家賃でも入居者がいれば購入希望者の目をひき利回りも良くなるため売りやすくなるからです。もちろん物件が売れればサクラ入居者はすぐに退去してしまいます。
しかし相場より高い家賃のままでは、当然次の入居者がなかなか決まりません。その結果大幅に家賃を下げることになってしまいかねません。こうしたサクラ入居者の被害に遭わないためには、購入前に以下の3つのポイントを確認しておきましょう。
- 入居期間が極端に短い
- 保証人や保証契約を付けていない
- その入居者だけ敷金を預けていない
これらの条件に該当する場合は、現在の入居者がサクラ入居者の可能性もあるため、慎重に検討したほうが良いかもしれません。
物件を引き継ぐときの注意点
オーナーチェンジ物件は、入居者がいるため、購入後の引き継ぎなどに十分注意することが必要です。ここでは、主に空室物件と異なる注意点を解説します。
敷金返還義務を負う
敷金を預かる物件では、入居者から預かった敷金返還義務も引き継ぎます。仮に前オーナーから敷金を受け取っていない場合でも購入したオーナーは返還義務を負うため注意が必要です。入居者ごとの明細とともに敷金を確実に引き継ぐようにしましょう。
契約済みの条件は変更できない
家賃や使用上の条件など前オーナーと入居者との間で交わされた契約内容は、購入したオーナーに引き継がれます。そのため物件を購入したからといって勝手に家賃などの変更はできません。もし変更したい場合は、現在の契約が満了するときに変更する条件を提示し新たな契約を結ぶことが必要です。
入居者への連絡は管理方法による
入居者へオーナーが変わったことを連絡するかどうかは、物件の管理方法によって異なります。これまで自主管理だった物件であれば早急に新たな家賃の振込先や連絡先を入居者に伝えるようにしましょう。不動産会社の管理で管理業者を変更しない場合は、基本的にオーナー変更を伝える必要はありません。
オーナーチェンジ物件は、しっかりと判断すれば優良な投資物件になる
オーナーチェンジ物件は、新築や空室の中古物件と異なり購入すれば家賃収入がすぐに発生することが大きなメリットです。そのためリスクや注意点などを十分理解したうえで健全な物件を選べば収益化の早い優良な不動産投資となります。もちろん不動産投資は、購入して終わりではありません。現在の入居者に長く住んでもらえるように維持管理を行い安定した収益が得られる物件にしていきましょう。
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