自己資金ゼロで不動産投資!オーバーローンのメリット・リスク3選
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吉田 謙太郎
吉田 謙太郎
宅建士・不動産投資家・ライター|筑波大学卒業後、大手不動産会社にて投資用不動産の売買および賃貸営業・投資家へのコンサルティング・自社メディアでの記事執筆などを行う。自身でも社会人1年目(22歳)から不動産投資をしており、横浜市・大阪市・神戸市に区分マンションを4戸運用中。保有資格は宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

不動産投資をする際、ローンの条件を検討する中で「オーバーローン」というワードを聞いたことのある人もいるかもしれません。自己資金ゼロで不動産投資ができるオーバーローンですが具体的にどのようなローンの組み方なのでしょうか。本記事では、オーバーローンの具体的な内容を解説しつつメリットやリスクについて3つずつ紹介します。

オーバーローンとは?

オーバーローンとは、購入する物件の価格よりも高い金額のローンを組むことです。例えば価格が5,000万円の物件に対して5,500万円で組まれるローンをオーバーローンといいます。オーバーローンが組まれる理由は、一般的に以下2つです。

  • 物件購入時の諸費用を自己資金で拠出できないため
  • 物件購入後の運用資金を確保したいため

不動産投資では、物件購入や運用のフェーズにおいて費用がかさむ場合が多くあります。資金的に余裕のある不動産投資を行うためにあえてオーバーローンが活用されることもあるということです。

オーバーローンのメリット3選

不動産投資においてオーバーローンを活用するメリットは、以下の3つです。

  • 自己資金ゼロで投資ができる
  • 手元資金を確保できる
  • レバレッジ効果を最大限活用できる

自己資金が少ない場合やある程度のリスクをとってアクティブな不動産投資をしたい場合に有効な手段の一つといえます。

自己資金ゼロで投資ができる

不動産投資では、物件購入時に以下のような内訳で物件価格の15~30%程度の自己資金が求められるのが一般的です。

  • 頭金:約10~20%
  • 諸費用(仲介手数料、司法書士報酬、税金、保険料など):約5~10%

例えば5,000万円の物件の場合は約750万~1,500万円、1億円の物件の場合は約1,500~3,000万円の自己資金が必要ということになります。投資に回せる完全な資金として準備できる投資家は多くないでしょう。そういった際もオーバーローンを活用して物件購入時の費用分までローンを組むことができれば自己資金ゼロの状況で不動産投資が行えるチャンスが生まれます。

手元資金を確保できる

不動産投資においては、物件購入後の運用フェーズで以下のようなコストがかかるため、常時一定の手元資金を確保しておく必要があります。

固定コスト変動コスト
項目・ローン返済
・管理委託料
・税金(固定資産税、都市計画税)
・保険料(火災保険、地震保険など)
・管理費および修繕積立金(区分マンション)
・共用部分の水道光熱費(一棟物件)
・退去時費用
・入居者募集費用
・修繕費
特徴発生時期・金額が一定であることが多い突発的に発生し、金額が不均一

固定コストは、家賃収入の有無にかかわらず発生します。また変動コストとなる退去時費用は、入居者がいないと発生しませんが入居者募集費用や修繕費はかかる可能性があり発生時期や金額を正確に予測することが困難なコストです。そのため物件購入時に自己資金を拠出しすぎると運用フェーズで必要な手元資金が手薄になるリスクがあります。

このようにオーバーローンを組むことで手元資金を残しておける点は、大きなメリットです。

投資効率を最大化できる

オーバーローンで不動産投資を行うことによって少ない自己資金で大きな投資ができるため、レバレッジを最大限活用して投資効率を最大化させることができます。不動産投資における投資効率とは、CCR(Cash on Cash Return)で表されCCRとは投資した自己資金に対する利益の割合のことです。

  • CCR(%)=年間キャッシュフロー÷自己資金×100

CCRが高いほど収益性が高く合理的な投資となり少ない自己資金で大きな利益を上げることができていると評価できます。以下の表のように自己資金が少ないほどCCRが高くなりより合理的な投資になっていることが分かるでしょう。

<投資条件>

物件条件融資条件
物件価格※15,000万円借入期間30年
年間実質家賃収入※2400万円借入年利2%

※1.購入時の諸経費込み
※2.額面の家賃収入から諸経費(ローン返済以外)を差し引いた金額

<自己資金とCCRの関係性>

投資①投資②投資③
自己資金5,000万円1,500万円500万円
融資金額0万円3,500万円4,500万円
年間ローン返済※30万円約155万円約200万円
年間キャッシュフロー※4400万円約245万円約200万円
CCR(%)8%16%40%

※3.総返済額(支払金利を含む)をローン期間(30年)で割った年間平均返済額
※4.実質家賃収入からローン返済を控除した金額

オーバーローンを組むことで自己資金を最小化することができるため、効率的な投資を行うことが可能となります。

オーバーローンのリスク3選

不動産投資においてオーバーローンを組む主なリスクは、以下の3つです。

  • 資金ショートのリスクがある
  • キャッシュフローが出しにくい
  • 物件を売却してもローンを完済できない場合がある

自己資金を最小化させることができる分、返済比率が高くなり投資の収支を圧迫したり売却戦略を立てにくくなったりするリスクが生じます。

資金ショートのリスクがある

不動産投資における資金ショートとは、物件運用にかかる各種コスト(固定コスト・変動コスト)を家賃収入から支払えなくなる状態のことです。オーバーローンを組むことでローン返済額および支払金利の総額が増えるため、家賃収入に占める返済比率が高くなります。また空室発生や家賃下落などの要因で収入が減少した場合は、各種コストを家賃収入の中から支払えなくなるリスクが高まるでしょう。

オーバーローンを組む場合は、突発的な出費や家賃収入の減少に備えるために手元資金を厚くしておくことが重要です。

キャッシュフローが出しにくい

不動産投資におけるキャッシュフローとは、以下の計算式によって算出されるお金の流れのことです。

  • キャッシュフロー=家賃収入-固定コスト

例えば月間の家賃収入が30万円、固定コストが25万円の場合、月間キャッシュフローは5万円です。上述した通りオーバーローンを組むと家賃収入に占める返済比率が高くなるため、キャッシュフローは減少します。キャッシュフローが減少した結果、収支が赤字になり毎月持ち出しが発生する可能性もあるでしょう。

そのためオーバーローンを組む場合は「利回りが高い物件に投資をする」「収支のシミュレーションを綿密に行う」などの対策が必要です。

物件を売却してもローンを完済できない場合がある

物件を売却した際に手元に残る金額は、以下の計算式によって求められます。

  • 手残り金額=売却価格-(ローン残高+諸費用※)
    ※諸費用:仲介手数料、ローンの繰上返済手数料、税金など

オーバーローンにおいては、物件価格よりも高い金額でローンを組んでいるため、売却価格よりもローン残高のほうが高くなりやすい傾向があります。物件価格が購入時から下落している場合やローン返済があまり進んでいない場合は、ローン残高が売却可能価格を上回ってしまうため売却ができないことあり得るでしょう。

これを防ぐためには、オーバーローンを組む前に「値下がりリスクが低い物件に投資をする」「中長期的な保有を想定して売却のシミュレーションをする」などの対策が必要です。

投資方法によっては自己資金を出すことも重要

オーバーローンは、投資効率を高めるなどのメリットや合理性がある一方で収支を圧迫するなどのリスクもある投資手法です。そのため「キャッシュフローを確保したい」「収支に余裕のある投資を行いたい」といった場合は、手元資金が手薄になりすぎない範囲で自己資金を確保しておくことが大切といえます。自己資金がない中でオーバーローンを組んで不動産投資をするのはあまりにハイリスクです。

そのためまとまった自己資金ができるまで待つことも選択肢の一つでしょう。

ご自身の目的に合った資金計画を立てましょう

オーバーローンを組むにあたっては、投資物件の収益性(利回り、値上がり可能性)、ご自身の投資プラン(投資目的、保有期間、狙うキャッシュポイント)、リスクとリターンのバランスなどを考えることが重要です。「何のために不動産投資をするのか」という目的から逆算してローンの組み方を含めた資金計画を立てるようにしましょう。

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