どう活用する?遊休地のさまざまな活用方法と選択するうえでの注意点
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新井智美
新井智美
新井智美/トータルマネーコンサルタント CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員 個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。 公式サイト:https://marron-financial.com/

土地を所有している場合、毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税および都市計画税が課せられます。まったく利用していない遊休地であっても登記上の所有者であれば固定資産税・都市計画税を支払わなければなりません。また保有する土地の管理費用などを考えると収入がなく費用がかかり続ける実態を改めて認識する必要があります。

そのため保有する土地をプラスの資産とするためにも何らかの活用方法を見いだして収益を生むものに換える考え方が必要といえるでしょう。本記事では、遊休地を活用する必要性や知っておきたい法令などについて解説します。

遊休地を活用する必要性

遊休地とは「なんの目的にも利用されていない土地」「今後利用の予定がない土地」のことです。国土利用計画法によると土地取引の許可もしくは届け出が行われた土地のうち以下に該当するものは「遊休土地」とされ土地の所有者に対して積極的な利用を図るよう促す制度が設けられています。

【遊休土地とされる要件】
・土地取引の許可もしくは届け出が行われた土地で一定規模以上のもの
・取得後2年以上経過しているもの
・その周辺状況から見て特に利用促進の必要性があるもの
・低利用もしくは未利用の状況にあるもの

「遊休土地」と認められた場合、市区町村から都道府県に対して「遊休土地の申し出」を行います。都道府県知事は、申し出に基づき当該土地の所有者に対して遊休土地であることを通知。6週間以内に市区町村長に対して利用処分計画を提出させます。そのうえで必要な助言を行い、活用を図る仕組みです。

遊休地を放置しておくことに対するデメリット

上記で述べた通り遊休地をそのままにしておくと税金などの費用がかかります。しかしそれ以外にも土地が荒れることで周辺住民や環境に影響を与える可能性がある点も忘れてはいけません。例えば遊休地でごみの不法投棄などが発生した場合、自分で処分する必要があるなど負の資産となってしまう可能性もあります。

土地活用の際に知っておきたい法令

実際に保有する土地に建物を建てて活用しようと考えている方は、土地に関係する法律を押さえておきましょう。

道路に関する法律

保有する土地に接している道路が「建築基準法」に適した道路かどうかを調べることが必要です。基本的に、建物を建築する際は道路に対して敷地の間口が2メートル接していることが求められます。しかし2メートル未満でも一定の条件を満たした場合は許可を受けることが可能です。

隣地との境界線に関する法律

建物は、隣地との境界線から50センチメートル後退させることが必要です。境界から1メートル以内にある窓の場合、目隠しをすることが要求されます。

その他

用途地域に関する内容も影響するため、押さえておきたい法律の一つです。用途地域は、都市計画法によって定められており地域によっては考えている建物が建てられない可能性があります。そのほかにも「消防法」「ワンルーム条例」など自治体が独自に制定している条例に沿った建物を建てることが必要です。

遊休地活用の選択肢

では、具体的にどのような土地活用があるのか、その選択肢について紹介します。

駐車場・コインパーキング

駐車場は、最も初期費用がかからず取り組みやすい土地活用の一つです。更地のまま舗装し区割りをすることですぐに事業を開始することができます。場所や周辺環境によっては、月極駐車場ではなくコインパーキングにすることでさらなる利益が期待できるでしょう。ただし駐車場経営を行う際は、どのくらいのキャッシュフローを得られるのかを事前にしっかりと考えることが必要です。

倉庫・トランクルーム

駐車場経営と同様に、初期費用を抑えて土地を活用したい場合に有効な選択肢です。コンテナなどの設置をすれば済むため、この場合もすぐに事業を始めることができます。駐車場よりも区画を細分化できることから単価が高く取れるほか採光を気にする必要がないため、建築基準法の影響を受けることもありません。

ただ2階以上にすると、荷物用のエレベーターが必要になるほか、保管するもの次第では、ユーザーから求められる倉庫としての品質が異なるため注意が必要です。

賃貸アパート・オフィス・店舗

建物を建築し賃貸収入を得る方法も土地活用の選択肢の一つです。ただし駐車場や倉庫に比べるとある程度の初期費用がかかる点は否めません。もちろん融資を受けて建築することもできますがその際は融資の金利や返済期間、物件から得られる利回りについても考えることが必要です。店舗やオフィス利用は、アパートなどの居住系テナントと異なり比較的初期費用を安く済ませることができます。

しかし最初に入った店舗もしくはオフィスの形態によっては既存の設備を活用したい意向から、その後の利用者が限定される可能性も否定できません。

土地活用で得られる税制メリット

更地のまま放置している場合は、固定資産税および都市計画税の軽減措置を受けることができません。そのため固定資産税が最大6倍になる点にも気をつけましょう。軽減措置の内容は、以下の通りです。

固定資産税および都市計画税の軽減措置

住宅が建てられている敷地については、固定資産税(3分の1)・都市計画税(3分の2)の減額を受けることが可能です。さらにその土地が200平方メートル以下の小規模宅地の場合は、固定資産税(6分の1)・都市計画税(3分の1)の減額を受けることができます。そのため駐車場経営などの活用方法を選ぶとこの軽減措置は利用できません。

軽減措置を受けることができるのは、あくまでも住宅用地です。住宅用地とは「専用住宅やアパートなどの住宅用家屋の敷地、敷地と一体となっている庭および自家用駐車場」のことを指します。店舗や事務所などといった業務用の家屋の敷地や駐車場、資材置き場などは住宅用地とはみなされない点に注意が必要です。

最終的な判断ポイントとは?

まずは、遊休地と遊休土地の違いを把握し保有している土地が遊休土地に当てはまるのかどうかを知っておく必要があります。遊休土地とされるのは、かなりの広さがある土地となるため、賃貸アパートもしくは賃貸マンションを建築するなどで収益を得ることを検討してみましょう。またその後もその土地を持ち続けるのかどうかも判断材料の一つです。

そのまま持ち続けることでその後の相続に影響を及ぼす可能性も否定できないため、「土地分割」「納税資金確保」「節税」といった対策も考える必要があります。そのような問題を今後抱えたくない場合は、売却することも選択肢の一つです。土地を活用する方法としては、賃貸でインカムゲインを得る方法と売却によってキャピタルゲインを得る方法の2つがあります。

老後資金を得る目的で売却する考えも当然あって然るべきでしょう。定期的な収入を得たい場合は、どのような活用方法がベストなのかを考えることが大切です。駐車場や倉庫といった活用方法は、初期費用は少なくて済む点がメリットといえます。しかし収益性や節税効果では、建物を建て貸し出す活用方法のほうがリターンは大きい傾向です。

建物を建てることで不動産の評価額を下げることができるため、相続対策としてのメリットもあります。所有している土地の立地条件や自分たちが考えるライフプランを考慮しながら最適な活用方法を選んでみてください。

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