不動産投資の利回りを上げたい場合は、マンションの屋上スペースを活用することも方法の一つです。マンションの屋上は設備しかなく通常は入居者の立ち入りを禁止しています。ただし工夫次第では、収益を生み出すことが可能です。今回は、マンションの屋上スペースを活用して不動産投資の利回りを上げる方法について紹介します。
目次
マンションの屋上にはどんな設備があるのか
マンションの屋上には、どんな設備があるのでしょうか。屋上には、突き出して建てられた「塔屋(ペントハウス)」がありエレベーターの機械室や倉庫、空調設備、給水設備などに使われています。建築基準法施行令第2条の8では「建築面積の8分の1以内であれば建築物の階数に含まない」とされていますが居室としては利用できません。
雨漏りで建物に被害で出ないように防水工事が施工され屋上の表面は防水層で覆われています。アンテナや受水槽、避雷針などの設備もあるため、定期的に点検や修繕が必要です。勝手に入れるようにしてしまうと設備の破損や故障、空き巣などの犯罪、落下事故などが発生する恐れがあります。そのため多くのマンションでは、管理規約で一般居住者の屋上への立ち入りが禁止されている傾向です。
普段は施錠されています。
マンションの屋上は遊休スペースとして放置されている
マンションの屋上は、建物の構造上平らで広いスペースがあります。設備があるだけで遊休スペースとして放置されていることが多い傾向です。そのためンションの屋上を有効活用すれば新たな収益を生み出せる可能性があります。家賃を値上げしなくても不動産投資の利回りを上げられるかもしれません。また物件価値の向上や空室対策といった効果も期待できます。
不動産投資におけるマンションの屋上活用法
不動産投資でマンションの屋上を活用する場合、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、屋上スペースで利回りを上げたり物件価値を向上させたりする活用例を紹介します。
携帯電話基地局アンテナを設置する
携帯電話基地局アンテナを設置して毎月賃料を得る方法です。新しい通信規格「5G」の普及を進める必要があるため、基地局アンテナ設置のニーズは高まっています。賃料は、設備や立地などに左右されますが毎月数万円程度が一般的です。これまでは、携帯電話会社から打診がないと基地局アンテナを設置できずオーナー側から働きかけるのは困難でした。
しかし近年は、基地局アンテナ誘致の情報提供や設置・管理を行う会社もあるため、誘致しやすい傾向にあります。携帯電話基地局アンテナの設置は、オーナー側に初期費用の負担がないのが魅力です。契約期間は、5~10年が多く長期にわたって安定した収益が期待できます。基地局アンテナの設置を検討する場合は、インターネットなどで情報収集をしてみましょう。
太陽光パネルを設置する
マンションの屋上に太陽光パネルを設置して売電収入を得る方法です。2022年時点で太陽光発電には「固定価格買取制度(FIT)」があり最長20年間固定価格での電気の買取が保証されています。買取価格は、年々下がっていますが導入に必要な初期投資額も下がっている傾向です。また固定価格買取制度が終了後に電気の買取に対応している電力会社もあるため、検討の余地はあるでしょう。
太陽光パネルを導入すれば「環境にやさしいマンション」をアピールポイントにできることもメリットです。一方で太陽光パネルの設置は、初期投資や維持費がかかります。また太陽光パネルの発電量は、天候に左右されるため、天候不順が続くと売電収入が下がる可能性がある点はデメリットです。採算が合うかを十分に試算したうえで導入を検討する必要があるでしょう。
看板広告を設置する
マンションの屋上に看板広告を設置して広告料を得る方法です。「大通りに面している」「駅から近い」など広告設置に適した物件なら検討する価値はあります。まずは、広告会社に問い合わせて看板広告の設置が可能かを確認してみるといいでしょう。看板広告も初期費用が発生するため、広告料で投資額を回収できるかを見極めなくてはなりません。
また強風により看板広告が落下するリスクもあるため、「設置方法を工夫する」「保険等でリスクに備える」などの対策も必要です。
入居者に貸し出す
マンションの屋上スペースを入居者へ貸し出す方法もあります。例えばバーベキュースペースや家庭菜園、花火大会の観覧席、屋上菜園などへの活用が考えられるでしょう。有料で貸し出せば一定の収入が期待できます。ただし貸し出す際は、管理者としてフェンスを設置するなど安全面に気を配ることは必要です。
住人同士のコミュニティスペースにする
屋上スペースを住人同士のコミュニティスペースとすることも活用例の一つです。屋上を緑化してベンチを置き居住者に開放すれば住民同士で交流を楽しめる場所になります。また入居者を募集する際に屋上をアピールポイントとして活用することも可能です。直接収益を得られなくても入居者からの人気が高まれば空室対策になるでしょう。
ただし屋上を緑化して解放するには費用だけでなく安全面にも十分な配慮が必要です。物件価値の向上や空室対策につながるかどうかを見極めることが大切です。
不動産投資でマンションの屋上を活用する際の注意点
不動産投資でマンションの屋上活用を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
法的な問題がないかを検討する
屋上スペースを活用する前に法的な問題がないかを検討することが大切です。例えば多くの中古マンションは、屋上の活用を前提に建築されていません。「耐荷重や防水に問題はないか」「建築基準法に触れないか」といった点を確認し建物にダメージを与えないようにする必要があります。太陽光パネルを導入する場合は、売電収入の会計・税務上の取り扱いの確認も必須です。
屋上の活用方法によっては、管理組合の規約変更も検討しなくてはなりません。専門知識がないオーナーが自分だけで対応するのは難しいため、弁護士や建築士、税理士などの専門家に相談するのが賢明です。
費用を回収できるかを試算する
マンションの屋上を活用する場合、内容によってはまとまった初期費用や維持費がかかります。収益や物件価値の向上、空室対策につながらなければ屋上を活用する意味がありません。屋上活用で費用がかさみ、キャッシュフローが不足すると不動産投資を続けられなくなる恐れもあります。屋上の活用を検討するなら利回りの向上につながるかを十分に試算しましょう。
また低リスクで得られる効果が高い方法を選択することが大切です。
入居者の安全に気を配る
マンションの屋上は、共用部分に該当します。事故の危険性があるため、管理規約で入居者の立ち入りは禁止されていることが一般的です。屋上を開放する場合は、事故がないようにフェンスを設置するなど入居者の安全に気を配りましょう。屋上活用が雨漏りにつながる恐れもあるため、状況によっては追加で防水工事が必要になる場合もあります。
いくら利回りが上がったとしても管理不足で事故が起きてしまっては本末転倒です。そのため入居者の安全が最優先となるような対策を講じましょう。
まとめ
マンションの屋上は、遊休スペースとなっていることが多いため、うまく活用すれば収益を生み出せるかもしれません。ただし活用方法によっては、まとまった初期投資が必要です。まずは、携帯電話基地局アンテナの設置のように初期費用がかからない活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
マンションの屋上スペースに関するよくある質問
Q.マンションの屋上にはどんな設備がある?
突き出して建てられた「塔屋(ペントハウス)」があり、エレベーターの機械室や倉庫、空調設備、給水設備などに使われています。
Q. 不動産投資で屋上を有効に活用する方法は?
携帯電話基地局アンテナや太陽光パネルの設置、また入居者に屋上スペースを貸し出すなど、有効活用できます。
Q. マンションの屋上を活用する際に注意するべきことは?
入居者の安全を図りつつ、法的に問題がないか確認しつつ、費用を回収できるか計算したうえで活用するようにしましょう。
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