八木エミリーさんに聞く

不動産投資や金融のリテラシーについて、数多くの場を通してわかりやすく解説する八木エミリーさん。歩んできたご経験をもとに、不動産投資の準備で一番大事なことは覚悟を決めることと言います。その背景にある考え方や、若い頃から不動産をするアドバンテージなどについて伺いました。

【八木エミリーさんプロフィール】
新卒で野村證券に入社後、投資の勉強を開始。2016年より不動産を購入。現在、一棟マンション6棟、テナントビル1棟を所有。オンラインサロン「em会」主宰、バイリンガルスクール「WONDER KIDS BILINGUAL PREP SCHOOL」オーナーのほか、地域活性事業、保育スクール事業、障害児支援など活動の幅を広げている。「元証券ウーマンが不動産投資で7億円」(ダイヤモンド社)など複数の著書がある。

目次

  1. 不動産投資の準備で一番大事なことは覚悟を決めること
  2. 若い頃から不動産投資をするアドバンテージとは?
  3. 目標があるから不動産投資をがんばれる
  4. 野村證券で学んだスキルが不動産投資でも役立っている

不動産投資の準備で一番大事なことは覚悟を決めること

−初心者のよくある相談に、「不動産投資を始めるタイミングがつかめない」というものがあります。八木さんはこの悩みにどう答えますか?

現在のマーケットを見たとき、「今は不動産投資を始めたほうがよいフェーズか」と聞かれれば、「それは違う」ということになるでしょう。ただ、不動産の相場がいつ下がってくるかは誰にもわからないものです。

一方、やってみないと経験値を得られないし、利益も得られない……要は、不動産投資をしたことのない人は「待ったほうがいい」と言われると永遠に待ってしまいかねないから、「行動を起こしたほうがいいのでは?」と言いたいですね。

たとえば、私が不動産投資を始めたのは2016年です。当時を思い返すと、不動産投資家の先輩方から「なんでこんなに相場が悪いときに始めるの?」と言われました。でも結果的には、2016年に始めてすごくよかったわけです。同じように、未来から振り返ったとき、あのとき不動産投資をやってよかったねという結果になる可能性はあります。

−「不動産投資を始める勇気が出ない」というのも、初心者に多い悩みです。

私自身、はじめて買ったのは中古の一棟マンションですが、契約前の不安は一切ありませんでした。この私の経験に基づくと、勇気を出さないと物件を購入できないレベルなら、不動産投資を始めるタイミングではないのではないでしょうか。

不動産投資を始めるための準備で、金融機関のあたりをつけるのは当たり前、勉強するのも当たり前。それ以上に、不動産投資の準備で大事なことは「本当にやる!」という覚悟を決めることです。物件を買おうと思ったとき、ドキドキして不安になるということは、腹がくくれていないということ。だから、まだやるべきじゃないと思います。

若い頃から不動産投資をするアドバンテージとは?

−八木さんが不動産投資を始めたのは26歳とのことですが、若い頃から不動産投資をすることのアドバンテージは何でしょうか?

まず、失敗したときにリカバリーしやすいことが挙げられます。仮に、25歳から不動産投資を始めて30年ローンにしたら、完済時の年齢はまだ55歳です。返済中は労働収入があるので途中でうまくいかなくなってもリカバリーしやすいでしょう。

もうひとつのアドバンテージは、若いからこそ人の話を素直に聞くことができる、知識を吸収しやすいということが挙げられます。この武器を活かして、不動産投資家の先輩や専門家の方々から、たくさんのことを吸収して効率的にレベルアップしていくとよいと思います。

−若い不動産投資家だから苦労される面もあると思いますが。 八木さんご自身はどのようなことで苦労されましたか?

私が不動産投資を始めた2016年頃は、若い世代の不動産投資家が少なかったせいもあり、金融機関や不動産会社に信用されない面もありました。ただ現在は状況が大きく変わったと思います。 20代、30代の若い世代や女性が不動産投資に参入するケースが増えました。その分、若くても不動産投資をしやすくなったと思います。

−これから不動産投資をされる人に対して、「これだけはやってはいけない」というアドバイスはありますか。

キャッシュフローがマイナスになることが前提の物件には、手を出さないほうがよいでしょう。これでは投資をしている意味がないというか……何のために借金を抱えたうえに、毎月お金を払うのか、このようなスキームは私には理解できません。

目標があるから不動産投資をがんばれる

−八木さんは、目標設定の大事さについても、さまざまなところで述べていますね。不動産投資をするうえで目標設定が大事な理由は何ですか?

私は不動産投資自体が目的になることはよくないと思っています。なぜなら、不動産投資は 何かを成し遂げるための手段のひとつだからです。そもそも不動産投資をする理由が明確でないと購入する不動産の規模(金額)もわかりません。

たとえば私の場合は、地方活性化や子どもの教育・支援に関わることをしたいという想いがあります。そのための資金づくりの手段のひとつとして、不動産投資があるわけです。

−八木さんにとって不動産投資は、あくまでも“手段のひとつ”でしかないのですね。

はい。ほかにも株式投資や投資信託をやっていますし、複数の事業を手がけています。さきほど私は、不動産投資は不労所得ではない、労働部分もあるとお話しました(インタビュー前編参照)。株式投資や投資信託などペーパーアセットと比べると不動産投資は手間がかかります。

ただ、ペーパーアセット以外の事業と比べると、不動産投資にかける時間はわずか。事業にかける時間の0.1%くらいです。つまり、不動産投資はほかの投資と比べると多少手間はかかるけれど、事業に比べれば負担が少ない。その割に収入があるのが不動産投資の魅力といえます。

−負担が少ないのに収入が得られるのであれば、投資だけをしていればよいという気持ちにもなりそうですが……。

これは、「人生のなかで何をやりたいか」という選択肢の違いだと思います。お金のことだけを考えるなら、投資だけをやっていればいいと思います。投資をしながら毎日のんびり暮らしたいというような人生を選ぶなら、それでいいと思います。

ただ私の場合は、その先に何をやりたいかという目標があるから、事業や投資をがんばれる。もし、「とりあえず投資で利益を得ながら、のんびり暮らしたいなあ」という考え方だったら、私はのんびり思考なので、ここまでがんばれなかったと思いますよ。

野村證券で学んだスキルが不動産投資でも役立っている

−八木さんのキャリアの大きな特徴は野村證券に勤めていたことだと思いますが、当時、学んだことで不動産投資に役立っていることはありますか?

野村證券で営業のいろはを学べたのは大きいですね。 野村證券での営業の経験がなかったら、銀行の新規開拓もここまでのレベルでできなかったと思います。営業マンを経験したことで、相手の心をおもんぱかるスキルも身についたように感じます。

たくさんの人の助けがなければ、不動産投資をしていくことはできません。銀行の融資ご担当者、仲介業者さん、管理会社さんがいてはじめて不動産投資ができる。だからこそ、相手の心をおもんぱかることが大事なんですね。

−最後に、不動産投資で今後、新しく取り組んでいきたい領域はありますか?

今は、住居系の物件が中心ですが、機会があれば、テナントビルやホテルなど事業性のある不動産にチャレンジしていきたいですね。住居系物件は満室になったときが利益の上限ですが、事業は青天井なので可能ならチャレンジしたいと思います。

八木エミリーさん公式ブログ:https://yagi-emily.com/
今年出版の新著はこちら:https://yagi-emily.com/archives/979

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