投資商品の収益にはキャピタル型とインカム型の2種類があり、投資目的によって適したファンドは異なります。不動産投資クラウドファンディングでも両タイプのファンドが数多く募集されていますが、特徴やメリット・デメリットを把握して投資することが大事です。2つのタイプの違いを具体的なファンドの事例を交えて見てみましょう。
目次
不動産クラウドファンディングには投資目的に応じて2つの収益タイプがある
不動産投資クラウドファンディングのファンドにも、キャピタル型とインカム型の2種類があります。キャピタル型はキャピタルゲイン(売却益)、インカム型はインカムゲイン(家賃などの定期的収入)を目指しています。
どちらの方式のファンドも元本保証ではありませんが、後で述べるようにいずれもリスク軽減策がとられているので、元本割れの可能性が低いところが不動産クラウドファンディングのメリットです。ただし、一般的には予定利回りは売却益を目的とするキャピタル型のほうが高い傾向があります。
はじめに、両者の特徴とメリット・デメリットを確認しておきましょう。
キャピタル型の特徴とメリット・デメリット
キャピタル型は、取得した土地に建設した物件を売却するなどして得た利益を投資家に配当する方式のファンドです。プロジェクト案件とも呼ばれ、複数回にわたって募集が行われる場合があります。分配金は償還時に一括で支払われます。したがって、年金の足しにするためなど分配金を定期的に得たい投資家には向いていません。
キャピタル型のメリット
キャピタル型は、物件の売却によって利益を得るので、短期間で大きな利益を得られる可能性があります。プロジェクトの内容によっては完成した後の売却先があらかじめ決まっているファンドもあり、投資のリスクはより低くなります。
キャピタル型のデメリット
キャピタル型は、家賃収入がメインのインカム型に比べて損失が発生する可能性が高くなります。想定していた売却益を下回った場合は、分配金も減額される可能性があり、最悪のケースでは元本割れとなることもあります。
ただし、多くのファンドでは「優先劣後方式」を採用しており、投資家の損失は限定されます。優先劣後方式とは、あらかじめ決められた比率で劣後出資した事業者が、評価損が出た場合に先に損失を負担する出資方法です。
例えば、上図は投資家が80%優先出資し、事業者が20%劣後出資している場合ですが、10%の売却損であれば、劣後出資の範囲内であるため、投資家の出資元本に影響が出ることはありません。不動産クラウドファンディングはデメリットの部分にもリスク軽減策がとられているのです。
インカム型の特徴とメリット・デメリット
インカム型は、運用している物件から発生する家賃収入を投資家に分配する方式のファンドです。分配回数はファンドによって異なるため、募集要項を確認して得たい分配金のサイクルを選択する必要があります。
インカム型のメリット
インカム型のメリットは、不動産価格の動向に左右されないことです。不動産価格が下がったとしても、すぐに連動して家賃まで下がることはありません。毎月配当されるファンドを買えば年金の足しにできるので、老後の資産運用に最適です。
インカム型のデメリット
どのような好立地の不動産でも、空室リスクがゼロということはありません。空室が発生すると家賃収入が入らないため、予定した利回りを下回る可能性があります。ただし、クラウドファンディング事業者が不動産管理会社とマスターリース契約を結んでいる場合は、空室が発生しても分配金に影響することはありません。
マスターリース契約とは不動産管理会社がクラウドファンディング事業者の物件を一括して借り上げるもので、空室の有無にかかわらず賃料が保証されます。
では、具体的にキャピタル型とインカム型で募集されたファンドの事例を見てみましょう。とりあげるのはどちらも「わかちあいファンド」のキャピタル型とインカム型の案件です。
キャピタル型ファンドの事例
キャピタル型で募集されたのが「わかちあいファンドPJ岡山日生第Ⅱ期」です。先着方式で募集され、募集金額7,200万円に対して満額が集まり完売しました。高級別荘の建設というリゾート開発のプロジェクト案件です。プロジェクト案件とは、用地取得や建物の建築費用などの総事業資金をファンドによって集めることを指します。
予定運用期間は2023年4月1日〜2024年3月31日の12ヵ月間です。運用期間内に用地の取得から建物の完成、売却まで行います。クラウドファンディング事業者が完成させた建物を売却して得た資金を投資家への償還に充てます。
当該ファンドは3期に分けて募集を行う予定で、今回は2期目に当たります。プロジェクト案件はこのように複数回にわたって資金を集めるケースが多いのです。
事業終了時には NANEI (ナンエイ)株式会社が土地・建物すべてを取得する契約になっているため、確実に売却益を得られる仕組みになっています。売却まで家賃は発生しないため、投資家への分配金は償還時にまとめて支払われます。
インカム型ファンドの事例
一方、インカム型で募集されたのが「わかちあい京都宝ヶ池②」です。先着方式で募集され、募集金額3,100万円に対して満額が集まり完売しました。こちらのファンドは、店舗・事務所・共同住宅で構成される一棟物件を運用します。
運用期間は12ヵ月ですが、事業者は10年以上の長期運用を目指すとしています。そのため1年間の運用期間終了後は同じ条件で再組成を予定しています。今回は2回目の募集となりますが、投資家は1年ごとの区切りがあるファンドを10年以上にわたって長期投資することが可能です。
当該ファンドは、分配金を毎月の家賃収入やテナント料から投資家に配当する「毎月分配型」の商品です。出資金は運用期間終了後に償還されます。
ファンドを探すなら不動産クラウドファンディング比較サイトが便利
不動産投資クラウドファンディングは、インターネット上でファンドの選択から出資手続きまで完了させることができる便利な不動産投資商品です。
多くの不動産クラウドファンディング事業者は公式サイトを持っていますが、それらのサイトを一つ一つ見ていくのはかなり手間がかかります。そこで、募集中のファンドを探す場合は、不動産クラウドファンディング比較サイトを利用するのが便利です。
YANUSY Fundingを例にとると、2023年4月20日現在で17のクラウドファンディング事業者が掲載されています。これらの事業者が募集している案件の概要がわかるほか、各事業者の公式サイトに遷移して詳細を確認したうえで申し込むこともできます。
インカム型とキャピタル型のどちらかにするか方針が決まっている場合は、YANUSY Fundingのトップページにある「並べ替え検索」から「インカム優先」または「キャピタル優先」を選択して検索すれば、該当する型の案件が一括表示されるので便利です。
また、既に募集が終了したファンドの実績も閲覧できるので、事業者がどのようなタイプの物件を取り扱い、どの程度の応募金額を集めたのかを確認できます。
さまざまな投資で目的によってキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に投資先が分かれますが、不動産クラウドファンディングも例外ではありません。それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、不動産クラウドファンディング比較サイトで最適なファンドを探すことが求められます。
※本記事は2023年4月20日現在の情報をもとに構成しています。紹介したファンドの事例は一例であり、事業者によって運用方法が異なる場合があります。参考程度にお考えください。
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