富裕層,借金,アパート
(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

2016年、ある個人向けローンの新規融資額がピークを迎えました。そのローンとはアパートローン、つまり投資用アパートやマンションの購入、建築資金です。富裕層の中には、多くの預貯金を持っているにも関わらず、アパートローンを利用する人がいます。なぜ他人に貸す家のために、わざわざ借金をするのでしょうか。その理由は、「お金持ちの税金」といわれる相続税への対策を抜きにしては語ることはできません。

この記事では一棟マンションや一棟アパート購入による節税効果と、ローンを組んで不動産を新築、購入することで賢く節税につなげている富裕層がいることについて紹介します。

目次

  1. 1.タネも仕掛けも違法性もなく「消える財産」
  2. 2.ある富裕層の節税時例
  3. 3.アパートに入居者がいるとさらなる節税に
  4. 4.「一棟」マンションやアパートがおすすめである理由
    1. 4-1.不動産価格が下がりにくい「都心」などを投資エリアに選ぶことができる
    2. 4-2.一棟型は資産価値が高くなるため銀行融資の際に有利になりやすい
    3. 4-3.区分所有するよりも空室対策のリニューアルをしやすい
    4. 4-4.空室率の振れ幅が小さくなり、収入に対するリスクが小さくなる
    5. 4-5.利回りが高い傾向がある
  5. 5.アパート経営は利回りのよい投資である

1.タネも仕掛けも違法性もなく「消える財産」

富裕層がこぞって借金をするようになった背景には、2015年の相続税法改正が一つのきっかけとしてあります。この改正では、一定額まで相続税がかからない基礎控除額の枠が減らされ実質的な増税になりました。相続税は、遺産が多ければ多いほど税率が高くなり納める税金も増えます。富裕層としては収める税金をできるかぎり下げて、なるべくたくさんの財産を家族に残してあげたいと思うことでしょう。

そこで実際の財産は減らさず (むしろ増やしながら)税金計算上の「見た目の財産」を減らそうとします。その方法の一つが借金をしてアパートを買うことです。この仕組みのポイントとなる以下2つのルールを確認してみましょう。

・相続税は借金を差し引いた総額に対してかかる
・土地や建物は時価よりも低く見積もられる

特に2番目の「時価よりも低く見積もられる」というところが重要です。通常の売買価格に対して建物は7割、土地は8割ほどに評価されます。

2.ある富裕層の節税時例

例えば預貯金を3億円持っている富裕層がそのまま亡くなると、額面同様の3億円に対して相続税がかかります。(話を簡単にするため、ここでは基礎控除や優遇制度などは無視して考えます)では預貯金の中から1億円を頭金として3億円のローンを組み、計4億円でマンションを建てた場合はどうなるでしょうか。

建設してすぐに亡くなった場合、遺産として残るのは預貯金2億円、ローン3億円、ローン含めて4億円で建てたマンションです。税金計算上、マンションの評価は3億円となり、ローンを差し引いた遺産全体の金額は「預貯金2億円+マンションの評価3億円-マンション建設のためのローン3億円=2億円」となります。

そのまま預貯金で持っているよりも相続税の対象となる財産を1億円減らせたことになるわけです。仮に税率が30%だとすると3,000万円の節税になります。もちろん預貯金を使って土地を買うだけでも、税金計算上の遺産総額を下げることは可能です。もしローンを組まずに1億円の土地を買っていた場合、相続税計算上の評価は約80%の8,000万円くらいになるでしょう。

税率が30%の場合、差額の2,000万円×30%で減税効果は600万円ほどです。ローンを使ったときの3,000万円には遠く及びません。

3.アパートに入居者がいるとさらなる節税に

先ほどの例では、4億円のマンションが相続税計算上で3億円として評価されていたため、時価の75%になりました。これはマンションの全部屋が空室だったときの場合です。もし入居者がいた場合は「貸家建付地の評価」となるため、さらに下がることになります。貸家建付地の評価とは、相続財産である土地にアパートやマンションを建てて他人に貸しているとき、相続税計算上の評価を下げられる制度です。

部屋を貸している間は所有者としての自由が制限されるため、その分を考慮して土地としての価値を評価する、という考えです。この制度では、入居者がいる部屋の数が多ければ多いほど土地の評価は下げられます。賃貸用の床面積のうち、実際に賃貸している部屋の床面積の割合である「賃貸割合」が高くなるにつれて減額される幅が増えるからです。満室経営は立派な相続税対策になるのです。

4.「一棟」マンションやアパートがおすすめである理由

相続税対策のために不動産投資をしようとする場合、主に以下の5つのような選択肢があります。

・一棟マンション(アパート)を新築・保有し賃貸運用
・一棟マンション(アパート)の中古物件を購入し賃貸運用
・一棟マンションの一室を区分所有し賃貸運用
・一軒家を新築・保有し賃貸運用
・一軒家の中古物件を購入し賃貸運用

このうち一棟マンションを新築して保有する方法と中古物件を購入する方法は、富裕層が不動産投資をする際にはぜひ選択肢として検討したいものです。その主な理由を5つ挙げてそれぞれについて説明していきましょう。

4-1.不動産価格が下がりにくい「都心」などを投資エリアに選ぶことができる

不動産投資は金融機関から融資を受けてスタートするのが一般的です。ただし、融資可能額は不動産投資を検討している人の資産状況や不動産投資の実績などによって大きく変わってきます。不動産投資を検討している人の資産が少ない場合は、金融機関側にとって貸し倒れのリスクが高くなるため、融資額が低く留まる傾向があります。

一方で富裕層の場合は、融資の希望金額が一定程度大きくなっても審査に落ちてしまうことはあまりありません。そのため不動産の価格が下がりにくい「都心」かつ建設費用や中古物件の購入費用が大きくなる「一棟型」で不動産投資を始める場合でも、必要な金額の融資を受けやすい傾向にあります。これは富裕層であることの強みといえるでしょう。

また都心の場合は不動産価値が高まることにより「売却益」(キャピタルゲイン)で成果をあげることができる可能性も高くなります。

4-2.一棟型は資産価値が高くなるため銀行融資の際に有利になりやすい

一棟型のマンションやアパートは資産価値も高くなるため、一棟型を不動産投資の対象としていること自体が審査の際に有利に働きます。一棟型が資産価値として高くなる理由は、建物だけではなく土地も保有しているからです。建物は老朽化によって資産価値が落ちていきますが、土地の評価は一般的に建物よりも下がりにくくなっています。

また金融機関側は融資可能枠を検討する際、契約者がローンを払えなくなったときのことを想定します。資産価値が高い一棟型のマンションや一棟型アパートの場合、売却することで一定額の回収が可能になるため、ほかの不動産投資の方法よりも融資審査の際、有利になるのです。

4-3.区分所有するよりも空室対策のリニューアルをしやすい

一棟型でアパートやマンションを保有すると、対象物件全体のオーナーになるため「リニューアルなどを行いやすい」といったメリットがあります。アパートやマンションを借りようとしている人が求めることは時代とともに変化しています。建物も経年による老朽化は避けられませんが、物件全体のオーナーであればリノベーションを行うことで付加価値を高めることも可能になります。

区分所有マンションの場合、空室対策のためにエントランススペースの改装や設備の入れ替え、共有スペースの内装や外壁などのリニューアルをしようとするとほかの区分所有者との調整などで時間がかかりますが、物件全体のオーナーの場合はこういった調整を行う必要がないため、その点も大きなメリットといえるでしょう。

4-4.空室率の振れ幅が小さくなり、収入に対するリスクが小さくなる

不動産投資は空室リスクとの戦いです。空室が増えれば増えるほど家賃収入(インカムゲイン)が減り利回りに影響してきます。例えば区分保有や一軒家を一つしか保有してない場合は、空室率は「0%」か「100%」になります。

一方、一棟型は部屋数が多いため空室率が0%になる可能性は低く、リスク分散が可能です。家賃収入のリスクヘッジを考えるのであれば一棟型のマンションやアパートを検討するようにしましょう。

4-5.利回りが高い傾向がある

一般的にアパートやマンションは、区分所有するよりも一棟保有するほうが平均的な「表面利回り」が高くなる傾向があります。ただし、維持管理や修繕のための費用が大きくかさむ場合は「実質利回り」が一定程度低くなることも考えられるため、注意が必要です。

5.アパート経営は利回りのよい投資である

満室のアパートやマンションは、オーナーの資産を着実に増やしてくれる「お金のなる木」です。さらに富裕層にとって頭の痛い相続税対策という側面もあります。アパートを建てるだけでも相続税を減らす効果はありますが、多くの入居者を獲得してアパート経営に成功すればより高い節税効果が期待できるでしょう。

「資産を増やしながら同時に節税にもなる」という一石二鳥の効果が、富裕層でもローンを組む最大の理由です。

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