不動産クラウドファンディングを「運用期間」で選ぶ際に知っておくべきこと
(画像=Pixelbliss/stock.adobe.com)
田中タスク
田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。

不動産クラウドファンディングは、少額からできる不動産投資として人気を集めています。ただ一口に不動産クラウドファンディングといっても運営事業者やファンドによって特徴が大きく異なり、重視すべきポイントの一つに運用期間が挙げられます。

不動産クラウドファンディングは、「原則途中解約ができない」「解約できても違約金などで不利になる」こともあるため、自身の投資戦略にあった運用期間のファンドを選ぶことが重要です。運用期間は、短いと数ヵ月~1年未満、長いと数年に及ぶものなどさまざまです。

この記事では、運用期間の長短で異なるメリットやデメリット、運用期間が短い運用会社、長い運用会社について紹介します。

目次

  1. 不動産クラウドファンディングで運用期間が重要な理由
  2. 運用期間が短い不動産クラウドファンディングの特徴
  3. 運用期間が長い不動産クラウドファンディングの特徴
  4. 運用期間の短いファンドが多い会社
  5. 運用期間の長いファンドが多い会社
  6. まとめ

不動産クラウドファンディングで運用期間が重要な理由

不動産クラウドファンディングとして募集・運用されている案件の多くは、不動産特定共同事業法を法的な根拠として組成されています。これらの案件は、原則途中解約ができません。また非上場で流動性が低くなることから「いつお金が戻ってくるのか」=運用期間を十分に意識することが必要です。

運用期間が短い不動産クラウドファンディングの特徴

最初に運用期間が短い不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットについて解説します。なおここでいう「運用期間が短い」とは、おおむね運用期間が1年未満のものです。

運用期間が短いことのメリット

①リスクを管理しやすい
運用期間が短いため、経済情勢の変化などが起きても影響を受けにくい点はメリットです。もし何らかの変化が起きてもそれほど時間が経たないうちに運用期間の満了を迎えるため、影響を軽微に抑えやすいでしょう。

②魅力的な案件を見つけた場合に次の行動がしやすい
運用期間が短いと資金の拘束期間も短いため、好条件の不動産クラウドファンディング案件を見つけた場合、再投資できるチャンスが広がります。

運用期間が短いことのデメリット

①投資効率を高めにくい
資金をリスクにさらす期間が短くなるメリットの一方で、「運用されていない期間が発生する」というデメリットがあります。投資している案件が期間満了を迎えて資金が戻ってきて、投資案件があったとしても募集期間が終了するまでは運用が始まりません。そのためすぐに次の案件が収益につながらず機会損失となります。

これらの理由から運用期間が短い場合は、リスクが低い半面、投資効率が高めにくくなる点がデメリットといえるでしょう。

②魅力的な案件がいつもあるとは限らない
運用期間が満了して資金が戻ってきても、その時点でちょうど自分が投資したい魅力的な案件を募集しているとは限りません。不動産クラウドファンディングは、さまざまな事業者が運営しており多くの案件募集がありますが、自分の意向に合うものがなければ投資はできません。機会損失を避けるためにその時点である案件へ安易に投資してしまうと、満足のいく収益が得られない可能性があります。

最悪の場合、損失を被る可能性もあるため、運用期間が短い不動産クラウドファンディングの再投資では「待つこと」も重要です。

運用期間が長い不動産クラウドファンディングの特徴

次に運用期間が長い不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットも見てみましょう。なおここでいう「長期」とは、原則運用期間が2~3年程度のものを想定しています。

運用期間が長いことのメリット

①投資効率が高くなる
運用期間が長い不動産クラウドファンディングは、期間満了までが長く空白期間がない分だけ投資効率が高くなります。そのため「できるだけ資金を動かさずに分配金を安定的に得たい」という人にとっては、運用期間が長い不動産クラウドファンディングのほうが適しているでしょう。

②魅力的な案件に投資すれば安定的利益が続く
運用期間が長ければ新しい案件を探す回数も少なくなるため、魅力の薄い案件に投資してしまうリスクも低くなり、安定して利益を得ることが期待できます。

運用期間が長いことのデメリット

①運用期間が長くなるとリスクも高くなる
運用期間が長くなると、運用中に投資環境の変化などが起きて影響を受ける可能性が高くなります。短期運用型であれば影響が軽微なうちに期間満了を迎えられるかもしれません。しかし運用期間が長いと影響を直に受けてしまう可能性もあるでしょう。

②資金の流動性が低くなる
長期運用型では、資金の流動性の低さがデメリットになります。運用期間中に他の魅力的な案件を見つけても原則解約できないため、資金移動は現実的ではありません。追加資金がなければ魅力的な案件を見つけても行動を起こせないため、機会損失となる可能性があります。

運用期間の短いファンドが多い会社

・Rimple(リンプル)

Rimple
引用:Rimple

東京23区のマンションかつ運用期間が6ヵ月の案件が多い傾向です。現金だけでなく各種ポイントシステムからポイントを移行して投資資金に充当することができます。

・Jointoα(ジョイントアルファ)

Jointoα
引用:Jointoα

多くの不動産クラウドファンディングの最低投資額は1万円ですが、Jointoαは最低投資額が10万円です。案件の運用期間は、6~12ヵ月が多くなっています。大手ゼネコンの穴吹工務の系列会社ということもあり、運用物件は全国各地にまたがっておりリスクの分散性にも優れています。

・ONIGIRI Funding(おにぎり ファンディング)

ONIGIRI Funding

最短3ヵ月の案件があるなど短期運用型案件を中心に運用している事業者です。案件の募集金額も数百万円という小規模なものが多いため満額に達しやすいでしょう。また投資額が少ないため、総じて期待利回りが高いことも特徴の一つです。

運用期間の長いファンドが多い会社

・BATSUNAGU(バツナグ)

BATSUNAGU
引用:BATSUNAGU

運用期間は、最短6ヵ月のものがありますが1~2年の案件が中心です。SDGs(持続可能な開発目標)を意識した案件が多いなどクラウドファンディングが持つ役割の一つ「社会貢献性の強い案件」が多く見られます。

・COZUCHI(コヅチ)

COZUCHI
引用:COZUCHI

長期運用型だけではなく、2ヵ月など短い案件~7年に及ぶものまで幅広いラインナップが特徴です。利回りは、総じて高めで多くの案件が満額達成となり、なかには1,000%超の達成率になっている案件もあります。

・TSON(ティーソン)

TSON
引用:TSON

独自開発AIによって選定した運用物件ごとに案件が組成されています。「キャピタル型」「インカム型」「インカム重視型」の3つに案件を分類しており、インカム型の運用期間は最短でも3年、長いものだと10年です。

まとめ

不動産クラウドファンディングの運用期間の長短は、それぞれにメリットとデメリットがあります。なお運用期間の長短については、「どちらが優れている」という比較ではなく、投資家自身の好みや資金事情によって最適な運用期間を選ぶのが本筋です。本稿で紹介した運用期間が長い案件、短い案件のそれぞれを主力とする6つの運用会社を参考に投資先を選んでみてはいかがでしょうか。

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