空き家
(画像=beeboys/stock.adobe.com)
江尻圭佑
江尻圭佑
不動産投資・金融・デジタルマーケティング系の記事執筆業をメインで取り扱う福岡県在住のフリーライター。ライターだが話し好きなため、執筆作業は音声入力も併用し、インタビュー記事の作成なども行う。

近年、日本では空き家問題が深刻化しています。全国に存在する空き家の数は年々増え続けており、相続で空き家を手に入れたものの、その活用方法で頭を悩まされている方も多いのではないでしょうか。

本稿では、そんな方のために空き家の活用方法についてご紹介します。空き家活用で利用できる補助金についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

空き家はどのくらいある?

少子高齢化などの影響を受け、日本の空き家数は年々増加傾向にあります。NPO法人「空家・空地管理センター」の発表によると、総務省が行う2018年住宅・土地統計調査で日本の空き家数は約846万戸(前回調査は約820万戸)でした。

これは、日本の全住宅に占める空き家率が13.55%で、2013年の前回調査(約13.52%)を超えて、空き家数とともに過去最高記録でした。

空き家は放置することで「倒壊リスク」「火災リスク」「犯罪を誘発」「地域の治安や環境の悪化」など、さまざまな弊害を招きます。これらが問題視され、2014年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)」が成立されました。

同法律では、空き家に対し行政が以下の措置をとることが可能になっています。

  • 空き家に関する実態調査
  • 空き家の所有者への管理の指導
  • 空き家跡地の活用促進
  • 放置されている空き家を「特定空家」に指定することが可能
  • 特定空家に対して指導などが行える
  • 特定空家に対して罰金や行政代執行を行える

このように、国も空き家問題については重要視しており、空き家問題の解決に力を入れているのです。

空き家の活用方法とは?

使う予定のない空き家を無駄に所有していても固定資産税が膨らみ、空き家を放置して特定空家に認定されてしまうと、固定資産税の優遇措置を受けることもできなくなります。

そこで、空き家を有効活用することが選択肢として上がります。空き家活用で、賃料などの収入を得ることができれば、固定資産税などの維持費を賄えるだけでなく、不労所得を得ることも可能です。

空き家の活用方法は、大別すると以下の3種類となります。

  • 修繕して賃貸として貸し出す
  • 解体して土地を運用する
  • 売却する

以下、それぞれについて個別に説明します。

修繕して賃貸として貸し出す

空き家の修繕・リフォームなどを行い、賃貸やシェアハウスとして貸し出す活用方法です。適切に活用すれば家賃収入を得ることができ、そこから維持費をまかない、余った分を不労所得として得ることが可能です。

人の居住用の住居として貸し出すだけでなく、建物や立地の条件によっては店舗として業者に貸し出すこともできます。

「元々飲食店として運営されていた」「倉庫として利用されていた」などの理由で元の設備がそのまま残っている場合、比較的少ない資金で、業者に貸し出せるだけの環境を整えることも不可能ではではありません。

しかしながら、賃貸として貸し出す活用方法は、借主が見つかるまでは利益が全く得られないことがデメリットとなります。

そのため、空き家を賃貸として貸し出す場合、周辺環境や需要について事前にリサーチする、不動産会社に宣伝を依頼するなど、入念な準備を行いましょう。

解体して土地を運用する

建物の築年数が古く、どれだけ修繕しても活用が見込めそうにないケースでは、建物そのものは壊してしまって土地のみを運用する手段もあります。

資金や土地面積がある場合は、新たにアパートなどを建設して運営する、資金に余裕がないなら、駐車場経営などの初期投資が少ない活用方法が考えられます。

土地活用の主な方法としては、次のような手法が考えられます。

  • アパート、マンション経営
  • 駐車場経営
  • コインランドリー活用
  • コンビニ貸し出し
  • 太陽光発電

土地活用では、賃貸として貸し出す時と同様、土地運用においても収益をあげるためには、ニーズや周辺エリアの調査などが必要になります。

売却する

空き家や土地の活用方法を紹介してきましたが、活用することは考えず、そのまま売却してしまう手段もあります。売却すればまとまった資金が手に入り、空き家の維持費を支払い続ける心配もなくなります。

しかし、不動産売却においてネックとなるのは、値付け価格です。不動産の価格というものは値段をつける明確な基準がなく、建物の築年数が古い場合はほとんど資産価値がないため解体する必要があります。

そのため、空き家を売却する場合は自分が売りたい空き家の相場について把握するようにしなければなりませんので、以下を念頭において売却を検討しましょう。

  • 複数の不動産会社に査定を依頼する
  • 空き家にインスペクションを実施し適切な価格を割り出す
  • 周辺の不動産の売り出し価格や取引実績などから相場を割り出す

空き家活用で利用可能な補助金

前述のように、日本において空き家の数はここ数十年、増加傾向にあります。空き家を放置すると、倒壊リスクや周辺環境の悪化などのリスクがあるため、行政としても積極的に空き家活用に対する補助制度を打ち出しています。

現在日本で受けることのできる、空き家に対する補助制度としては、以下のようなものがあります。

  • 空き家再生等推進事業
  • 空き家対策総合支援事業
  • 先駆的空き家対策モデル事業

支給される補助金の使い道としては、主に空き家の改修やリフォーム、建て替えなどに発生する建築費用となります。その金額は自治体により異なるのですが、最大で100万円ほどの補助金を受け取ることも可能です。

ただし、改修工事を依頼する業者は目的の空き家が存在するエリア内の業者に頼む必要があるなど、補助金を申請する際にいくつかのルールが設けられていますので、事前に該当の自治体に問い合わせてみましょう。

もし空き家を相続することになったら?「相続放棄」はするべきか?

現在、空き家を所有していなくとも、親族が亡くなった際に遺産相続として継承する可能性もあります。

前述のように、空き家といえども適切に運用すれば不労所得を得ることも可能ですが、「自己資金が足りない」「時間に余裕がない」などの理由で相続する空き家を手放す方もいるのではないでしょうか。

そのような場合には「相続放棄」が選択肢として挙がります。

相続放棄は、遺産相続で受け取ることのできる財産全てを放棄する制度です。すでにご説明した通り、空き家は放置してしまえば「固定資産税の支払い義務が発生する」「倒壊・火災リスクが発生する」など、そのままではマイナスの資産になりかねません。

そこで相続放棄が検討されるのですが、相続放棄を行うと「現金」「預貯金」「著作権」などのプラスの財産も手放さなければなることがデメリットです。

そのため、いざという時に慌てなくてもいいよう、相続することになる財産については、被相続人となり得る人物とよく相談をしておきましょう。

<プラスの資産の例>

  • 土地や家屋などの不動産
  • 車や家具などの動産
  • 現金
  • 預貯金などの金銭債権
  • 著作権や特許権などの各種権利

<マイナスの資産の例>

  • 各種負債の支払い義務
  • 賃料などの未払い金の支払い義務
  • 他人の債務に対する返済義務(連帯保証人だった場合)

まとめ

空き家は、放置すれば倒壊や火災の危険性が上昇したり、地域の治安悪化に繋がったりします。空き家の活用方法としては、賃貸で不労所得を得る手段が考えられますが、買い手が見つかりそうなら売却してしまう選択肢もあります。

空き家活用で発生する補助金なども存在しますので、空き家を持て余している方は、ぜひ一度前向きな活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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