海外不動産
2019.12.30

バンコクにおけるコワーキング・スペース

(Photo by Vladimir Proskurovskiy on Unsplash)
(Photo by Vladimir Proskurovskiy on Unsplash)
米国、ヨーロッパを中心にますます人気のコワーキング・スペースですが、アジアの国々にもその人気の波が押し寄せています。タイも例外ではありません。

コワーキング・スペースの歴史

コワーキング・スペース・オーナーのための総合情報サイトCoworking Resourcesによると、ソフトウェア・エンジニアのブラッド・ニューバーグ氏が、2005年、サンフランシスコでコワーキング・スペースを始めたのがきっかけと言われています。

同様のアイディアはそれ以前も存在し、1995年にベルリンで設立されたC-baseが、世界で最初のハッカースペースの一つでした。また1999年には、ニューヨークで42 West 24が営業を開始しています。こちらも、コワーキング・スペースの先駆けですが、現在のようなコミュニティの概念はありませんでした。

コワーキング・スペースのコンセプトはフリーランサーを中心に確実に人気を集めてきました。コワーキング・スペースは、フリーランサーにとって、異なる業種の人と交流しながら、居心地の良い空間で仕事ができる場所なのです。会議室、キッチン、パブリックエリアを提供しているところもあり、日割り、月割りで賃料を払うことができるコワーキング・スペースは、従来のオフィスと比べると非常にフレキシブルな働き方を提供してくれるのです。

コワーキング・スペースの意義は、なんといってもコミュニティにあります。コワーキング・スペースを通じて、メンバーはより大きなコミュニティにアクセスし、ソーシャルイベントなどでコネクションを作り、新しいビジネスチャンスを開拓することができます。

スタートアップ企業やフリーランサーのための場所だと思われてきたコワーキング・スペースですが、今では、様々な規模や事業タイプの企業もメンバーに加えています。コワーキングのモデルは、その戦略的なロケーションも手伝って、現在では幅広い事業に受け入れられています。

タイにおけるコワーキング・スペースの歴史

タイ初のコワーキング・スペースと言われているのが、2012年にオープンしたHUBBA(フッバ)です。現在は、エカマイ、チョンノンシー、オンヌット、サラデーンに4つの拠点を構えています。

HUBBAの登場以降、2012年にはたった4拠点だったバンコクにおけるコワーキング・スペースは、2013年には12拠点、2014年には20拠点、2015年は60拠点と着実に数を増やしてきました。

バンコクのコワーキング・スペースのトレンド

2019年9月17日Bangkok Post紙は、バンコクのコワーキング・スペースが今後2年間で50%増加するだろうと報じています。これは、米中貿易戦争が激化する中、多くの海外企業がタイに移転してくるからだという不動産サービス会社コリヤーズ・インターナショナル・タイランドのレポートに基づくものです。

貿易戦争を受けて生産移転を検討する企業にとって、タイは新しい生産拠点の候補となることができます。同紙は、景気の低迷にかかわらず、大手のコワーキング・スペース事業者がバンコクで事業拡大を続けるだろうとしています。

タイへの移管を計画する企業は、オペレーションの立ち上げのために賃貸オフィスを探します。しかし、バンコクのオフィス供給、特に中心業務地区(Central Business District(CBD))エリアにおけるグレードAオフィスは限定的です。また、バンコクのオフィス空室率は、過去6年間10%以下で推移しており、過去10年間で最低レベルとなっています。よって、これらの企業は新規のオフィス供給があるまで、コワーキング・スペースを利用することが考えられるというのです。

さらに、コリヤーズの市場リサーチによると、2021年までにバンコクオフィス市場には、50,000㎡の新規コワーキング・スペース供給があるとしています。

新規供給のうち、78%が大手2社によるものです。

アメリカ発のWeWorkは合計20,000㎡を5つのロケーションに投入します。ラチャテウィーエリアのスプリング・タワーとシリピンヨー・ビルディング、ラマ四世通りのザ・パーク、チットロム通りのワニッサー・ビルディングと、ペッブリー通りのスティ・ビルディングで、スティ・ビルディングはオープン済みです。

シンガポールのJustCoは、合計19,000㎡を投入予定です。シーロム通りのシーロム・センター・ビルディング、ラチャプラソン交差点のアマリン・タワー、サムヤーンエリアのサムヤーン・ミットタウンには最大となる12,000㎡でこちらはオープン済みです。2019年9月にオープンしたサムヤーン・ミットタウンは、タイ大手財閥TCCグループの不動産会社ゴールデンランド・プロパティ―・デベロップメントの開発で、商業エリア(地下1階~地上5階)、オフィス棟、マンション・ホテル棟から構成される複合施設です。深夜のショッピングも楽しめる24時間営業ゾーンがあったり、MUJIカフェ・タイ1号店も入ったりと、日本人在住者にも話題の最新スポットです。

ベルギー発のリージャス(Regus)も、2021年4月MRTフアイクワン駅近くのM9ラチャダーに新しい拠点のオープンを予定しています。

マレーシアのコワーキング・スペース事業者コモン・グラウンド(Common Ground)と2018年ジョイントベンチャーを組んだセントラル・パタナは、2拠点のコワーキング・スペースをオープン予定です。チットロム/サイアムエリアの巨大ショッピングセンター、セントラルワールド(Central World)(1,500㎡)とラマ9世MRT駅近くのGタワー(4,500㎡、オープン済み)です。

リテール業者の中には、平日の買い物客を増やそうと、CBDエリアのショッピングセンターの中にコワーキング・スペースを設けることに積極的なものもあります。

コリヤーズによると、2018年末時点でバンコクのコワーキング・スペース数は120拠点、総面積は108,370㎡、2019年末までには140拠点を超えると予想しています。

うち90%超は現在のマス・トランジット(大量輸送機関)路線駅の近くにあり、88%はCBDエリアのグレードAオフィスタワーにあります。

2019年8月時点コワーキング・スペースをロケーション別にみると、スクンビット(29%)、シーロム・サトーン(23%)、サイアム・パトゥムワン(24%)、ルンピニ(12%)となりました。
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