税金
2019.6.26

なぜ富裕層はわざわざ借金してまでアパートを建てるのか

(画像=decoplus/Shutterstock.com)
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2016年、ある個人向けローンの新規融資額がピークを迎えました。そのローンとはアパートローン、つまり大家さんが行うアパートやマンションの建設資金です。なぜわざわざ借金してまで、他人に貸すための家を作るのでしょうか?富裕層の中には、多くの預貯金を持っているにも関わらず、アパートローンを借りる人もいます。その理由は、「お金持ちの税金」といわれる相続税への対策を抜きにしては語ることができません。

タネも仕掛けも違法性もなく「消える財産」

富裕層がこぞって借金をするようになった背景には、2015年の相続税法改正があります。この改正では、一定額まで相続税がかからない基礎控除額の枠が減らされました。実質的な増税です。

相続税は、遺産が多ければ多いほど税率が高くなり、納める税金も増えます。富裕層としては、なるべくたくさんの財産を家族に残してあげたいと思うはずです。そこで、実際の財産を減らさず (むしろ増やしながら)税金計算上の「見た目の財産」を減らそうとします。その方法の1つが、借金をしてアパートを買うことなのです。

この仕組みのポイントとなるのは、相続税における次の2つのルールです。
・借金があったら、それを差し引いた総額に対して相続税がかかる
・土地や建物は時価よりも低く見積もられる
特に2番目の、「時価より低く」というところが重要です。通常の売買価格に対して建物は7割、土地は8割ほどに評価されます。

ある富裕層の例

例えば、ある富裕層は預貯金を3億円持っているとします。そのまま亡くなると、3億円に対して相続税がかかります(話を簡単にするため、基礎控除や優遇制度などは無視して考えます)。

この人が預貯金の中から1億円を頭金として出し、3億円のローンを組み、計4億円でマンションを建てたとします。不幸にも建設してすぐに亡くなってしまい、遺産として残したのは預貯金2億円、ローン3億円、ローン含めて4億円で建てたマンションでした。マンションの税金計算上の評価は3億円です。

するとローンを差し引いた遺産全体の金額は、【預貯金】2億円+【マンションの評価】3億円-【マンション建設のためのローン】3億円=2億円となります。そのまま預貯金で持っているよりも、相続税の対象となる財産を1億円減らせたわけです。仮に税率が30%だとすると、3,000万円の節税になります。

もちろん預貯金を使って土地を買うだけでも税金計算上の遺産総額は下がります。この人がローンを組まずに1億円の土地を買っていたら、相続税計算上の評価は8,000万円くらいになるでしょう。減税効果は600万円ほどです。ローンを使ったときの3,000万円には遠く及びません。

アパートに入居者がいるとさらなる節税に

先ほどの例では、4億円のマンションが相続税計算上、3億円として評価されていました。時価の75%になったわけです。これはマンションの全部屋が空室だったときの場合です。入居者がいたら、もっと下がります。「貸家建付地の評価」がなされるからです。

貸家建付地の評価とは、相続財産である土地にアパートやマンションを立てて他人に貸しているとき、相続税計算上の評価を下げられる制度をいいます。部屋を貸している間は所有者としての自由が制限されるため、その分を考慮して土地としての価値を評価する、という考え方です。

入居者がいる部屋の数が多ければ多いほど、土地の評価は下げられます。賃貸用の床面積のうち、実際に賃貸している部屋の床面積の割合である「賃貸割合」が高いほど、減額される幅が増えるからです。

土地を買うだけでなく、わざわざアパートやマンションを建てるのは、さらなる節税のためでもあります。満室経営は立派な相続税対策なのです。

アパート経営は利回りのよい投資である

満室のアパートは、オーナーの資産を着実に増やしていくことができる「お金のなる木」です。さらに、富裕層にとって頭の痛い、相続税への対策という側面もあります。アパートを建てるだけでも相続税を減らす効果はありますが、多くの入居者を獲得してアパート経営に成功すれば、より多くの節税が期待できます。

この「資産を増やしながら、同時に節税にもなる」という一石二鳥の効果が、富裕層にアパートローンを組ませるのです。

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