シンガポール不動産：CCR、RCR、OCRとは？

シンガポールに訪れたり、住んだりしたことがあれば、頭文字をとった略語の多さに驚かれる方もいるでしょう。

2011年SMAPが出演するCMに使われたことから認知度が急激に上昇、最近では日本のアニメ映画の舞台ともなったマリーナ・ベイ・サンズは「MBS」、いまや世界のトップ大学ランキングでも上位に食い込むシンガポール大学「NUS」や南洋工科大学「NTU」、高速道路には「CTE」、「AYE」、「PIE」、シンガポール人の大半が住む住宅開発庁およびその公団住宅を指す「HDB」と、とにかく略語が多いのです。

そんな中、シンガポールで不動産を探すうえで、CCR、RCR、OCRという単語に出会うことがあります。シンガポール不動産における、これらの単語の意味を見ていきましょう。

都市再開発庁（URA）が定める地域区分

シンガポールの都市開発庁URAは、シンガポールを３つの大きな地域「市場セグメント」に分けています。これがCCR、RCR、OCRです。その他に知っておくべきこととして、都市開発計画上の地域（以下の地図参照）と、郵便番号別のディストリクト（District）があります。

▼シンガポールの地域（出所：URAを元に作成）

CCR（Core Central Region）：コア・セントラル

このエリアには、３つのディストリクト（9、10、11）とダウンタウン・コアと呼ばれる経済・文化の中心的なエリアとユニバーサルスタジオでおなじみのセントーサが含まれます。CCRは、シンガポールの中心地とみなされています。

CCRには、シンガポールの中心的な首都機能の集まるエリアが含まれており、その大部分は、大規模な商業ビルがそびえるCBD（中心業務地区）で構成されています。このエリアには、様々なアメニティが備わっており、高級レストラン、ショッピングモール、ホテルなどが点在しています。

そもそも土地が少ないのに加えて、街の中心となる金融街に近い、あるいは金融街の中にあるため、このエリアの住宅物件または商業物件は、シンガポールでも、また世界でも最も高い物件のひとつです。多くの物件がフリーホールド（永久的に不動産を所有できる権利）となっています。

▼CCR（青、黄色、ピンクで色づけされた部分）（出所：URA）

RCR（Rest of Central Region）：セントラル・コア以外

この地域は、「中核でない中央地域」と定義されています。RCRエリアは、中央地域にありながら、ディストリクト9、10、11、ダウンタウン・コア・プランニング・エリアとセントーサ以外のエリアとなります。

RCRは、中間価格帯の高品質コンドミニアムやバンガローがあることで知られています。この地域にあるHDBでさえも、他の地域のHDBと比べると高めの値段となっています。

このエリアの住宅物件の多くは小さめで、ユニットの中には、セントラル以外（OCR）（以下で解説）のユニットより若干高いだけの値段設定となっているものもあります。

MRT（地下鉄）路線の発達にともない、この地域は、CCRエリアと比べると値段も安く、それでいてシンガポールのCBD（中心業務地区）に比較的近いことから、RCRエリアの物件を選ぶ駐在員が賃貸するのに人気のエリアとなることでしょう。

OCR（Outside Central Region）：セントラル以外

この地域には、CCRまたはRCRに該当しないすべてのエリアが含まれます。ディストリクト16～19、22～28で構成されています。

この地域には、民間の物件よりも、公団住宅HDBが集中しています。民間の物件には、大型コンドミニアム、テラス、タウンハウス、エグゼクティブ・コンドミニアム（EC）などがあります。

これらのディストリクトの住宅価格は、CCRやRCRにあるものと比べて低くなっています。中核ディストリクトの外にありますが、シンガポールには発達した公共交通機関網があるため、この地域に住居を構える人も多くいます。

加えて、シンガポール政府が推進する分散化計画に基づき、銀行やテクノロジー企業などがこの地域の中心エリアにオフィスを構える例が増えており、これもまたOCRに住居を構える魅力を高めることにつながっています。

このエリアの物件は、リースホールド（不動産を所有できる期間があらかじめ定められているもの）が多くなっているようです。

OCRは、4つの都市計画上の地域（前述の地図参照）にグループ化することができます。