幸福度ランキングトップ,フィンランド,経済
(画像=Karavanov_Lev/Shutterstock.com)
山中勇樹
山中勇樹
ライター/編集者。主に企業経営者への取材・インタビューを通じて、ビジネス系の文章(書籍・雑誌等)を執筆。インタビュー実績多数。

国連の関連団体が毎年発表している「世界幸福度ランキング」は、誰もが気になる“幸福度”を基準にしていることもあり、毎年多くの人に注目されています。そのうち、例年のごとく上位につけているのは北欧諸国です。ちなみに日本は50位前後と、低い順位に甘んじているのが実情です。

2018年に続いて2019年もナンバーワンだったフィンランド。日本から遠く離れたこの国は、なぜ世界幸福度ランキングで1位を獲得できているのでしょうか。日本の現状と比較しつつ、その理由について探っていきましょう。

経済状況に見るフィンランドと日本の違い

世界幸福度ランキングは、「GDP」「社会的支援」「健康寿命」「自由度」「寛大さ」「腐敗度」という6つの指標を元に順位付けされており、幸福の度合いを幅広い視点で捉えていると言えそうです。とくに経済状況に着目すると、フィンランドと日本は次のような点で違いがあります。

女性の活躍

ここ数年、日本でも「女性活躍推進法」が整備されるなど、社会全体として女性が活躍できる土壌が作られつつあります。しかし、長きにわたって社会に浸透してきた家父長制や男性中心の終身雇用制度は根強く、役職者という点で見ても、男性と同じように働いている女性は少ないのが実情です。

一方でフィンランドは、1986年に男女平等に関する法律が可決され、その後も追加の法律で性差別が禁止されています。男女間の不平等は未だに残っているものの、女性のフルタイム就業率は高く、育児休暇をとる父親の数も増えています。女性の活躍が経済を後押ししていることは間違いなさそうです。

グローバル人材の育成

また、グローバル人材の育成という点でもフィンランドは強みを発揮しています。島国である日本は、語学だけでなく文化の点でもグローバル化が遅れています。外国人観光客や就業者は増えつつあるものの、経済の担い手として受け入れる体制が整っているとは言えません。

しかしフィンランドでは、徹底的な語学教育が行われており、国の基幹産業であるICT人材を着実に育成しています。大学では第四外国語が学ばれていることに加え、博士号取得過程ではビジネスに活用できるプロジェクトへの参加など、産学連携が実を結んでいる点にも注目です。

経済を担うのは人である

これら2つのポイントを比較してみても、日本は人材への関心が薄いと言わざるを得ません。経済の担い手は“人”が基本です。とくに、女性とグローバル人材に加えて、これからは高齢者が活躍できる社会をつくることが求められます。その点、フィンランドから学べることはまだまだたくさんありそうです。

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