2006年、オハイオ州立大学の研究員、ジェイ・L・ザゴルスキー氏が発表した論文「Do you have to be smart to be rich? The impact of IQ on wealth, income and financial distress」では、「IQスコアが高いからといって経済力があるとは限らない」としています。なぜIQと経済力は比例しないのでしょうか。
IQと年収は確かに比例する
前述の論文で、ジェイ・L・ザゴルスキー氏は、「IQスコアが1ポイント上がるごとに年収も234ドルから616ドル増える」としながらも、「IQと経済力は相関性がない」と発表しました。
「年収=経済力」ではない。高所得者が陥りがちな物欲の罠
なぜIQと経済力は比例しないのでしょうか。IQと年収が高いからといって、経済的に困窮しないとは限らないというのがその理由です。年収が高くとも倒産間際の会社を経営していたり、クレジットカードを限度額いっぱいまで使っていたりと、財政的な苦痛を感じている人は少なからず存在し、経済的困難を抱えてしまうケースもみられます。曰く、「高IQの人は他の人ほど節約しない」というのです。
就学前教育が後の人生を左右する?~IQが低くてもお金持ちになれる~
一方で、IQは人並みでも高い収入を得て、経済力も兼ね備えている人も多くいます。この違いはどこから生まれるのでしょうか。
日本では、子どもの将来を考えるうえで「IQテスト」や「学力テスト」の結果を重視します。これらのテストの点が低ければ将来を悲観し、高ければ思わず期待する親も少なくないでしょう。ところが、2000年にノーベル賞を受賞した経済学者、ジェームズ・ヘックマン教授の研究によれば、将来の年収を上げるうえで大切なのは、粘り強さや自制心など非認知能力を育てる就学前の幼児教育だと言います。
ヘックマン教授の著書「幼児教育の経済学」では、就学前教育とその後の追跡調査の結果、就学前教育を受けた子どもは、40歳時点で29%が月給2,000ドル以上の収入を得て、36%が持ち家を所有していました。一方で、就学前教育を受けていない子どものケースでは、月給2,000ドル以上の収入を得ているのはわずか7%にとどまっています。
今からでも間に合う!IQよりも重要なのは性格だった
収入を含め、人生の満足度の向上に最も重要な性格の因子は「誠実さ」であると言います。ヘックマン教授の研究では、誠実さを持つ人は年収、仕事、成績などさまざまな部分で満足度が高いとのことです。
これから年収を上げていきたいのなら、必要なスキルを習得するのと同時に、誠実さを意識して行動してみてはいかがでしょうか。
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