融資地獄 「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ 不動産投資ローンの罠と救済策
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(本記事は、小島 拓氏の著書『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ 不動産投資』幻冬舎の中から一部を抜粋・編集しています)

地方のRC造マンション

今でこそ融資は厳しくなりましたが、2〜3年前までは地方の大型物件が買いやすい市況でした。普通のサラリーマンでも、自己資金を使うことなく数億円の物件を買うことができたのです。

不正融資問題では「かぼちゃの馬車事件」が大きく取り上げられていますが、実際のところ地方のRC造マンションに関しても、「スルガスキーム」と呼ばれる、スルガ銀行で融資を受けることを前提としたグレーな手法が横行していました。

そのため、流通しているのは「良い物件」ではなくて、「銀行から評価が出る物件」になっていました。具体的にいえば、地方にある築20年程度、利回り8%以上の物件です。

「カーテンスキーム」といって、空室だらけの部屋にカーテンをつけることで入居率が高いように見せかける……そんな不正もあります。

つまり、大規模マンションを空室が多い状態で買うわけです。その際に、入居付けのできる相場家賃に引き直して収支シミュレーションを行っているのであればいいのですが、多くは家賃をできる限り高く見せて融資を目一杯引くようなやり方をしていますから、パッと見は「建物の状態も良い、入居率も良い、利回りもそこそこ良い物件」なのです。

実際には入居率が低く、家賃を下げなければ入居付けできない地雷のような物件であることが多いのです。加えて大型物件は戸数が多く、修繕費やメンテナンスが非常に高くつきます。特に、地方のエレベーターありの築古物件は高コストになりがちです。さらに入居が付かなければ、家賃を下げることに加えて、広告費など客付けのためのコストもかかります。

これでは表面利回りが10%あっても、実質で見れば7%程度です。そしてそんな物件は珍しくありません。こんな物件をスルガ銀行の4・5%の金利で借りてしまえば、キャッシュフローはほぼ出ませんし、急な修繕や退去が重なるなど何かしら想定外の事態が起これば、手持ち資金が尽きて、月々の収支がマイナスになってしまうのも当然でしょう。

赤字の区分マンション

失敗の線引きが難しい面はあるものの、新築区分マンションで失敗したと感じている人も多く見られます。

サラリーマン大家候補生の方々が、持っているだけで赤字を垂れ流す物件を「年金や保険代わりになる」という売り文句で、元気のいい若い営業マンに売りつけられているようです。

都心の新築区分マンションは今なお活発に取引されているようですが、実は闇深い業界でもあります。この業界には同業者間でのお友達の紹介をベースとした提携ローンというものが存在します。

一部の銀行が扱っており、不動産価格が高騰している現在では、1Kのマンションに新築シェアハウス顔負け(ちょっと大げさで、そこまでではないですが)の強気な融資をするケースもあります。

業者がこの提携ローンを獲得するためには、業界の偉大な先輩に頭を下げ、偉大な先輩の後輩である同世代の人間に頭を下げつつすり寄る……といったロビー活動が必須です。

また、今回のテーマである「かぼちゃの馬車」とつながりがあることもあります。

業者に言われるまま収益が上がらない新築区分マンションを複数戸持ってしまい、月々数万円の持ち出しのせいで生活が苦しいなか、収支の改善に最適な物件として新築シェアハウスを紹介され、購入した方も多数いるようなのです。すがるような思いで新築シェアハウスに手を出したつもりが、とんだトラップだったということになってしまいました。

これらは、私が実際に相談を受けたり体験したりしている事例です。強くお伝えしたいのは、問題は「かぼちゃの馬車」だけではないということです。

不動産投資にはいくつかの手法があります。私のもとへ相談に訪れる方はさまざまな物件に投資されていますが、それぞれ失敗のケースは異なります。勉強不足により、当初想定していた収益を得ることなく赤字状態に陥っている方は後を絶ちません。

融資地獄 「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ 不動産投資
小島 拓
1983年、東京都生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、不動産投資会社勤務を経て、2012年に独立し起業。2018年1月には業界の健全化を図る目的で、一般社団法人首都圏小規模住宅協会を発足。代表理事に就任。『「融資地獄」行き予防サロン』を設置して投資家の無料相談を受け付けるなど、あくまで公平・中立な立場から各方面に提言を行い、業界の健全化にむけて活動している。主な著書に『不動産会社が書けない「有名大家」の裏話』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ 不動産投資
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