不動産投資を検討している人のなかには「不動産の開発コストはどれくらい?」「開発コストの内訳が知りたい」などマンションやアパートに関するさまざまな疑問を持っている人もいるかもしれません。開発コストを把握することは、マンションやアパート経営する際の資金計画や運用計画を立てるうえで必要です。
本記事では、マンションやアパートを建設するためのコストの内訳や計算方法、構造ごとの特徴、建築会社の選び方について詳しく解説していきます。最後まで読んでマンションやアパート建設を検討する際の参考にしていただけると幸いです。
不動産の開発コストはいくら?
マンションやアパートなどを建築することは、土地活用の代表的な方法になります。またマンション・アパート経営を始める際、真っ先に理解しておかなくてはいけないのが不動産の開発コストです。ちなみに不動産の建築に掛かる開発コストは、主に以下の3つに分けられます。
- 本体の建築費用
- 付帯工事の費用
- その他費用
上記の開発コストを把握しておくことで資金運用や家賃設定など運用計画を正確に立てることが可能です。
マンションの開発コスト
マンションの開発コストを把握するためには、以下のポイントを理解しておく必要があります。
- マンションの建設費用の相場
- マンションの建設費用の計算方法
- 付帯工事の費用
- マンション建築以外の費用
マンションの建設費用の相場
構造別、階数別に見たマンション(50坪)の建築費の相場は、以下の通りです。
鉄骨造り(S造) | 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造) | |
---|---|---|---|
2階建て | 7,600万円 | 9,400万円 | 1億2,000万円 |
3階建て | 1億1,400万円 | 1億4,100万円 | 1億8,000万円 |
4階建て | 1億5,200万円 | 1億8,800万円 | 2億4,000万円 |
5階建て | 1億9,000万円 | 2億3,500万円 | 3億円 |
ただし上記の数値はあくまでも基準値です。建築会社や部屋数、規模、設備やグレード、マンション建築する地域によっても異なるため、目安程度に考えるようにしてください。
マンションの建設費用の計算方法
マンションの建築費用は、前述したように建築会社や部屋数などさまざまな要素で変わります。ただし大まかな費用については、以下の計算方法で計算することが可能です。
- 建築費用=坪単価×延床面積
とはいえ上記の坪単価は、建物の構造や立地などによって変わるため、注意が必要です。ちなみに構造別の坪単価の全国平均は、以下になります。
建物の構造 | 坪単価 |
---|---|
鉄骨造り(S造) | 約76万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 約92万円 |
鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造) | 約98万円 |
出典:2020年度 建築着工統計調査から著者が作成
立地によっても坪単価は異なるため、注意が必要です。
付帯工事の費用
マンションを建築するためには、水道やガスのインフラ整備の費用や地盤調査の費用など建築費用以外の費用が思った以上にかかります。付随工事にかかる費用が付帯工事の費用です。付帯工事の費用の目安は、本体建築費の10~20%程度といわれています。ただし付帯工事の費用は、建築する土地によって大きく異なるため、あくまでも目安です。
マンション建築以外の費用
マンション建築には、建築費用や付帯工事以外の費用もかかります。例えば税金や申請書類の手数料、印紙代、司法書士への依頼料などの費用が挙げられます。これらの費用は、全体の費用の5~10%程度が目安です。
アパートの開発コスト
アパートの開発コストは、前述したマンションの開発コストと同様のポイントを押さえておくと把握しやすくなります。主な費用は、以下の3つです。
- アパートの建設費用
- 付帯工事の費用
- アパートの建築以外の費用
アパートの建設費用の計算方法については、前述した「建築費用=坪単価×延床面積」と同様です。
アパートの建設費用の相場
構造別、階数別に見たアパート(50坪)の建築費の相場は、以下の通りです。
木造 | 鉄骨造り(S造) | 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造) | |
---|---|---|---|---|
建設費用 | 5,360万~ 7,100万円 | 7,140万~ 8,900万円 | 9,700万~ 1億3,000万円 | 1億2,100万~ 1億3,000万円 |
ただし建築会社や部屋数、マンションを建築する地域によって費用は大きく異なるため、目安程度に考えるようにしてください。
構造ごとのメリットデメリット
マンションやアパートを建設する際に重要なポイントとなる構造で代表的なものは、以下の3つです。
- 木造
- 鉄骨造り(S造)
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
木造のメリットデメリット
木造の最大のメリットは、建設コストが軽減できることです。他の構造と比較して建築費が少ないため、建築費用を抑えることができます。一方でデメリットは、遮音性と耐火性の低さです。「生活音が聞こえやすい」「火事に弱い」といった特性があることから他の構造よりは人気が低くなるため、家賃設定を他の構造よりも安くしないと入居者が集まりにくいでしょう。
鉄骨造のメリットデメリット
鉄骨造のメリットは、木造と比べて強度が高く耐震性や耐火性が高いことです。火災温度は、約500~1,000度に対して鉄の融点は約1,500度のため、簡単に鉄骨が崩れ落ちてしまう可能性は低いでしょう。しかし火災の熱により鉄骨の剛性や耐力が低下する可能性は十分にあります。さらに断熱性が低い点もデメリットです。断熱材などを使用しないと快適な部屋にならない可能性があります。
鉄筋コンクリートのメリットデメリット
鉄筋コンクリートの特徴は、鉄骨造や木造と比較しても強度が高く遮音性や耐震性、耐火性が高いことです。そのため、生活音を気にしなくて住むことができるので人気があります。一方で多額の建設コストがかかることはデメリットです。家賃を高めに設定しないと採算が取れにくい一面があるため、鉄筋コンクリート造で建築する際は、予算や立地などの条件をよく考えることが重要となります。
建設会社の選び方
マンションなどの不動産を建設する際に重要なのが建設会社です。しかし「どの建設会社を選べば良いのか分からない」という人も少なくありません。以下で建設会社を選ぶときの4つのポイントをピックアップしました。
- 担当者のレスポンスが迅速で丁寧
- 実績が豊富
- 建築後の計画を示してくれる
- アフターサービスが充実している
担当者のレスポンスが迅速で丁寧
担当者のレスポンスが迅速で丁寧なことは、信頼できるビジネスパートナーであるかを判断するのに重要なポイントとなります。アパートやマンションは、建設を検討している段階だけでなく建設中もさまざまな疑問や要望などが出てくるため、担当者が丁寧に疑問を解消してくれないと気持ちよく取引ができません。
実績が豊富
信頼できる建設会社を判断するためには、実績の豊富さが重要になります。なぜなら建設会社には、マンションやアパートの他に戸建て住宅など得意な種類や分野があるからです。あまり実績がない建設会社に依頼してしまうと後々トラブルの原因となりかねません。
建築後の計画を示してくれる
マンションやアパートなどの不動産の経営は、数十年間にわたる長期投資になります。そのため建設後の修繕計画や経営計画を提案してくれることは、非常に重要です。建物のメンテナンスや修繕計画について提案、アフターフォローを提案してくれる建設会社は信頼できる可能性が高いでしょう。
アフターサービスが充実している
建設会社を選ぶ際は、補償やサポートが充実していることも信頼できる会社かどうか判断するためのポイントです。例えば万が一住宅に欠陥があった場合の対応や雨漏りやシロアリなどの対応をしてくれるかどうかは非常に重要となります。
まとめ
不動産の開発コストを理解しておくことは、アパートやマンションを建設して経営するうえで非常に重要です。開発コストを把握することで資金計画や運用計画をより一層綿密に立てることができるようになります。マンションやアパートを建設して運用することを検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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