賃貸経営をしていく中で考えるべきリスクは多くありますが、その中でも、発生する確率が相対的に高く、影響が大きいものに家賃滞納リスクがあります。
私生活で常識的な人とお付き合いをしてきた人は、家賃を滞納する人などほとんどいないと思うかもしれません。
しかし、不動産投資を始めると、世の中にはそういった人が一定数いることがわかります。
家賃滞納の被害に遭ったことのない人は、家賃滞納リスクの怖さがわからないかもしれません。今回は、実際にあった家賃滞納の話と、家賃滞納の防止策を中心にお伝えしたいと思います。
本当にあった家賃滞納の話
23区に2LDKのデザイナーズ区分マンションを購入した人がいます。
彼は購入後、すぐに入居者募集を始めました。その結果、家賃交渉をしてこない40代自営業者の女性と、家賃の減額交渉をしてきた30代医師の2件の申し込みがありました。彼は家賃滞納リスクの怖さを知らなかったため、家賃を満額受け取れる40代の女性を入居者として受け入れました。
それが、彼の家賃滞納地獄の始まりでした。その入居者は、何と初月から家賃を払わなかったのです。その後、内容証明郵便を送ったり、帰宅するのを待ち伏せして家賃の支払いを求めたりしました。しかし、家賃保証会社に入っておらず、かつ連帯保証人もしっかりした人ではなかったので、家賃の支払いがない状態が半年続きました。
半年後のある日、その部屋に行ってみると人影はなく、夜逃げされていました。しかも、そのマンションのウリだったドラム式全自動洗濯機が盗まれていたのです。刑事事件として立件し、最終的に居場所を突き止めましたが、彼女は洗濯機を盗んだことを認めず、さらに家賃も払わない状況が続き、最終的に彼が泣き寝入りすることになってしまったのです。
ここまで悲惨な話はあまりないかもしれませんが、家賃滞納の怖さは、入居者が100%悪い状況であるにも関わらず、法律的に強引に追い出すことができないことにあります。
また、税務的には家賃滞納をされていても収入として計上しなければならないルールになっています。したがって、家賃が入金されていないにも関わらず、税金は支払わなければならないという二重苦になってしまうのです。
家賃滞納防止策について
家賃滞納の怖さはおわかりいただけたかと思いますが、家賃滞納は防止することができます。
その代表的な方法は、入居者契約時に保証会社による家賃保障を必須にすることです。多くの大家さんがこの方法を採用しています。
保証会社は家賃滞納時の家賃を保証してくれることに加えて、家賃滞納者に対する法的手続きを進めてくれることも大きなメリットです。もし自分で法的手続きを行う場合、時間や労力、費用もかかります。
保証会社の加入金は、入居者負担で家賃の50~100%が相場です。入居者がこの費用負担を嫌がり契約に至らないこともあり得ますが、保証会社に加入させることで家賃滞納リスクを軽減できることを考えると、特別な理由がない限り保証会社への加入を必須とするのがベターです。
連帯保証人を立ててもらう方法もありますが、家賃を滞納をする人の連帯保証人はしっかりした人物でないことも多いので、連帯保証人だけだと家賃滞納リスクを回避できるとは言い難いです。
その他、懇親会などを開いて入居者とコミュニケーションを取ることで家賃滞納リスクを下げることもできますが、自分の時間やお金をある程度割くことになるので、費用対効果を求める人にとっては得策ではないでしょう。
家賃滞納は、家賃が入ってこないという金銭的ダメージのほかに、その後の強制執行などの法的手続きを進める上での精神的苦痛も伴います。こういったリスクをほぼ回避できる保証会社をつけるのが、現在の代表的な家賃滞納リスクをヘッジする方法です。実際、保証会社への加入を必須とするオーナーが増えているので、一つの選択肢として検討してみてください。
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